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2023年3月の短歌


あったかくなってまいりました。


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[3月5日]

きみが魅せた今日のすべてこの十年かっこよかった終わりの一瞬

起き抜けにアイス食べちゃう3月5日今日はどうやら記念日なので

[3月8日]

気づけば夜の空の低いとこから卵の黄身がこちらを見てた

[3月10日]

希望から絶望に塗り替えられたあの時から歩みを止めない

あの人のことやいつかの思い出をひとつひとつを短い歌に

健やかにあなたが生きていればいい楽しく酒を飲んでる最高

[3月11日]

灯りなくテレビも観れずTwitterひたすら見てた夜が明けるまで

電気毛布つけるの忘れたけど、もう夜はぬるいから大丈夫

[3月13日]

考えることがじわじわ楽しくて黒のメモ帳引っ張り出した

休みの日雨を聴きながら布団でうとうとするのしあわせすぎる

[3月15日]

『あの夜はつらかったな』と励ました、このかわいそうな誰かは自分

[3月16日]

健気かどうかわからない、だけどあなたが生きてることで救われる

抱きしめることも寄り添うことも出来ないくせに君を思って泣く

[3月17日]

飲み会で残った酒をもらって家でも飲んだくれて昼寝する

[3月18日]

好きなものだらだら見てるだけなのになんでだろうね飽きないふしぎ

切り取られた世界の中でぐるぐると動く箱と動かない僕

[3月19日]

そのおもしろラジオが始まったのはまだ薄青い日曜の朝

削られて打ちのめされても気高い君の瞳は強くきらめく

わたしの憧れの人たちは小さな日常を丁寧に綴る

[3月20日]

わたしは大人になっていたモツ煮込みをとても美味しく食べたから

いつも自信なさげだけど、お母さんのつくるからあげめちゃうまだよ

[3月21日]

そうかそうか春のせいなのかこの情緒がめちゃくちゃになる感じは

[3月23日]

いまでもあなたの端々にある穏やかさと優しさに夢をみる

きみをあなたと呼びたいときとあなたをきみと呼びたいときがあって

[3月24日]

偏屈で不屈なふたりの輝きアルマース、いいえブリリヤント

舞台上ふたつの光が重なってディスパーションする渋谷から

[3月25日]

あたたかい洗濯物に出会うまで狭めの宇宙で漂ってる

[3月26日]

今日は雨ですこしさむいから、たっぷりの湯につかってもう寝なね

アンパンマンポテトひと袋いったっていい、だってもう大人だし

[3月27日]

「あと五分話してもいい?」と聞く君ともう五分引き延ばすわたし

旅先から春の便りが届いた  おすそ分けしてくれてありがと

[3月28日]

日が暮れてくのを助手席から見てたスーパーの駐車場で君と

[3月29日]

いろんな街のいろんなパン屋で待っていてくれるアンパンマンパン

すこしづつ埋まっていくカレンダー、五月二十日までは生きとかないと

花粉症つらいのに(目が赤いのがかわいい)とか思ってごめんね

[3月30日]

だれにもなにも言わないでいなくなる1時間があってもいいでしょ

むこうの時計はもう6時なんだ  わたしのスマホは59分

手の甲を黒い虫が這っている  それは車窓に散った通り雨

[3月31日]

とんでもなくつらくて悲しくてどうしようもない月イチの地獄

皮が厚いみかんの味がする 剥くのを母に丸投げしたみかん

きみが言う  うわべ  うわずみ  だけほしい  それだけ飲んで生きていきたい

意外にも大きなきみの白い手は、やわらかそうで慈悲深そうで






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