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2023年10月の短歌


夜が早い。





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[10月1日]

定期的に摂取しなきゃ、あのこがわたしの為につくるオムライス

[10月3日]

夕方5時の紺色が濃くなって深夜0時の部屋が涼しい
 
週末の楽しみのため、この平日を何としても生き抜くのだ

[10月5日]

帰らなきゃ、だけど帰りたくないよ、あのこと会うと大体こんなん

[10月8日]

駅のホームで急ぐようにメモに綴る今日のライブのハイライト

この街の夜の温度はきっと、わたしの住む街と同じと思う

夜明けの色を着たきみが目の前を過ぎる  うつくしくてまぶしくて

朝焼けのシャツと宵のサングラスは人気のない駅によく映えた

[10月11日]
 
きみを苦しめる有象無象を宇宙の彼方に吹き飛ばしてやる

[10月13日]

しましまの期間限定ドリンクは推しを彷彿させてやまない

[10月16日]

ささやかな願いや祈りそんなもの、あなたが生きてりゃなんでもいい

[10月18日]

5時から5時5分のあいだに夕方がおわる10月の真ん中

[10月19日]

楽しかったライブが終わり、最終バスで思い出し笑いしてる

気心知れた仲間たちと放課後みたいに笑ってる推しは良き

その痛みやしんどさを耐えるきみが報われる世界であるべきだ

[10月21日]

届かない思いは今日も絵葉書の上でインクとおしゃべりしてる

[10月23日]

楽しい酒は大いに浴びよう  明日のことはひとまず置いとこう

[10月25日]

『好きだと思って』最近出来たパン屋のミルクフランスくれた君

[10月26日]

神でも仏でも星でも月でも、願えるものに見境ないよ

[10月28日]

がんばった今日があと45分で終わるから寿司を食べちゃおう

[10月30日]

めちゃめちゃ屁が出るが多分さっき食べたホットケーキのにおいがした

柔らかな目線と共に収まった、いつかのきみの幼い姿

[10月31日]

勝手にこぼれ落ちてわたしをぶちのめしていく血祭りの二日目





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