3月31日

一年前の今日は、希望や新たな環境での期待とかとはかけ離れた、ほぼ諦めみたいな気持ちでいっぱいだったことを覚えている。薄オレンジの夕焼けの中、隣駅の川沿いを家までずっと歩いた。疲れ果てたことも覚えている。
あれがたった一年前なことには、つくづく時の流れよ…と途方もない気持ちになる。早まったりゆったりしたり永遠だったり。

今年の3月31日は送り出す側だった。
たった半年関わった人たちだったが、今かなり寂しい。たかが半年、されど半年。たくさんお世話になった。中途入社といえど社会人なんて言えない、ほとんど新卒の私に丁寧に何もかもを教えてくれた。
一人ひとりの仕事での振る舞いや言葉遣い、対応の仕方にはもれなくすべて学ぶものがあった。

複数人の退職者の中で、教育係のように常に教えてサポートしてくれた人がいる。
その人の迅速かつ丁寧・快活・頼りたくなる仕事ぶりは私の目標だ。
どんなに業務過多で多忙でも、ネームプレートの角に貼られた一人ひとり違うラインストーンシール、受付横に置かれたぬいぐるみを季節ごとの衣装に着せ替えること、ショートカットしてしまいたくなる細かな共有事項の報告、挙げたらキリがないほどに丁寧で温度感のある仕事ぶりには尊敬の念しか湧かない。
大雑把で、大方伝わればいいんじゃん?スタンスの私だったが、こう在りたい、信頼を積み重ねるとはこういうことだと強く強く感じる。
明日からその人はもういない職場で、その人だったらどうする?と立場を空想して行動したい。烏滸がましくも、また関わった時間も短すぎるけど、私はその人の、人としての在り方を継ぎたいのだ。

さて、その人は「やりたいこと」に向けて次のステップにうつる。退職を聞いた時は「がーん」の一言に尽きたが、理由を聞いて、なによりも嬉しかった。
仕事に潰されて疲弊して辞めるのではなく、黙々と準備をして、やることをこなして、好機を逃さず掴み取る。こんなに軽やかで華麗なことはない。そこも含めて憧れ、私も必ずそうなりたい。

というのを伝えたいと数ヶ月前から思っていて、口頭ではとても言えないからメッセージを送った。文章を誰かに向けて書くのは好きだけどこそばゆい感じになりそうで、普段そんなコミュニケーションはしたことがなかったからなおさら注意深く、でも勢いのままに送った。そしたら先ほど返信がきて、まさかの私の倍以上の文章量で、いつも自分は考えすぎなんだよなと笑ってしまった。ちゃんと伝わる人で嬉しかった。もっと一緒に働きたかった。

明日からまた新たな出会いがある。
私は、私のしてもらったように接する。そうして伝播していったらすごくいいことだと思っている。

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