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エビデンスを無性に取りたくなった話

ミラクルカットという商品がある
いわゆる万能包丁でサクサク切れちゃう魔法の包丁とでも言ったところか

刃の部分は波になっていていわゆるセレーション(波刃)である
本体にはダマスカス鋼のような模様があるが現代ではダマスカス鋼の生成は不可能と言われているのでおそらくただのデザインだ
セレーションの特徴としては固いものの切断に有利 切断というよりは傷をつけながら切って行くイメージだ

本体自体の素材はステンレス製 
ステンレスの特徴として①酸や塩分に強い②錆にくい③鋼に近い切味という特徴
メンテナンスは中性洗剤でスポンジで清掃し切味を保持し続けるには使用頻度にもよるが月一回は研ぐ必要がある

ステンレスを研ぐときのポイントは
1. 砥石300~400番で荒砥
2. 砥石800~1,000番で中砥
3. 砥石4,000番で仕上げが理想

ただ、波刃だけに一般的には研げなく専門店や専用機器を使用する必要がある

はたしてこの包丁は本当に切味抜群なのか?セレーション包丁ってすごいのかどうか気になった
まず刃物の切味とは科学的にどうなんだろうという疑問が沸いた

ちょうど慶應義塾大学理工学部機械工学科にて2015年に実験を行っていたので参考にさせてもらった

刃角と刃厚の関係
刃角 
垂直な力(F)で物に刃を入れると物にかかる圧力は刃と物が接する表面積(S)に反比例する
また刃角(α)が小さくなればなるほど物にかかる圧力が大きくなり物が切れやすくなる

刃厚
実際に物を切るときに切る方向以外にも力がかかってしまうことが多い
刃に力(P)が刃の根本から一定距離(L)離れたところで切るほう方向に垂直にかかったとする”たわみ”(y)は

y=P(L×L×L)/3EI

で表すことができる

E=ヤング率(弾性範囲における(ε)ひずみと(σ)応力の比例定数 E=σ/ε

断面の幅を(b)刃厚を(h)とすると

I=b(h×h×h)/12 I=断面二次モーメント(部析の変形のしにくさ)
厚い刃のほうがたわみによって生じる影響が少ないことが言える

実験結果
刃角が小さいほど刃厚が薄いほど小さい力で切れるが刃厚が薄いほどばらつきが大きくなる

なので適正な厚みであってもセレーションでは安定性がないため毎度ミリ単位の正確さで刃角を合わせていく技術が必要
謳い文句に偽りなし!ただ技術力が相当必要だよ!ということですね、
よくわかります

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