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日本百名山「甲武信ヶ岳」と埼玉県最高峰「三宝山」(2/2)

 梅雨の晴れ間、一時的に南岸低気圧が強まったので週末関東近くは晴れるらしい。その代わり昨日・一昨日と熱帯夜が続きエアコンかけないと室温が32度から下がらない。
 標高が1,000m上がると気温は6℃下がるのだから、2,000mオーバーのテント場に行けば12℃下がって涼しく眠れるはず!ということで今回は甲武信小屋(標高約2,400m)にテント泊しに行くことにしました。
 今回は1泊2日で日本百名山「甲武信ヶ岳」と埼玉県最高峰「三宝山」に登るコースを紹介します。

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時期

7初旬月 梅雨

アクセス

 西沢渓谷入口から山梨交通バスで塩山駅まで約1時間
 塩山駅から中央線で東京まで約2時間(新宿から特急利用で約1時間30分)
 ※塩山駅へのバスは終末のみの運行期間があるので注意しましょう!

紹介ルート

 2日目 甲武信小屋(テント泊)~破風山(西破風山)~東破風山~雁坂嶺~雁坂峠~雁坂小屋~雁坂峠~沓切沢橋~道の駅みとみ~西沢渓谷入口バス停
距離:15.7km 登り:731m 下り:1,991m

甲武信小屋(テント泊)~破風山(西破風山)

 せっかく涼しかったのになぜか眠れず、目が覚めてしまったので朝4時頃外へ。雲は多そうですが朝日は良さそう。とはいえ甲武信ヶ岳山頂に登っても西側の風景しか見えないので朝日は楽しめません。なので甲武信小屋前から朝日を楽しみます。今日も良い天気になりそうです。

地平線の雲の上から遅めの朝日

 何故か早朝はギリギリau電波が届いたので念のため最新の天気予報をチェックします。昨日チェックしたときは曇り予報だったのに最新では14時頃から3時間ほど通り雨が降る予報に変わっていました。午前中に下山した方がよさそうです。ちなみに今回使いませんでしたが甲武信小屋にはauの「山小屋WiFi」があるので、300円で2時間WiFiが使えます。通信速度はどんな感じなのでしょう?
 本日はもう山頂には寄らないことにして簡単に朝食を摂った後、テントを撤収して6時には甲武信小屋を発ちます。昨夜は星空が綺麗でしたが地面からの湿気は多かったらしくフライシートの内側はかなり結露していました。
 日の出前は気温が17℃程まで下がっていましたが、朝日を浴びるとすぐに20℃を越えてしまいました。歩くとちょっと暑いです。昨日歩いた木賊山山頂を通らず巻き道を使って破風山に向かいます。巻き道を使うと全体的にフラットなのでかなり楽です。
 登山道は朝から小さな羽虫が絶好調!この羽虫は風が吹く開けた稜線部にはほとんどいないのですが、森の中には広範囲で居る様です。普段は岩などに留まっていますが、登山者が近くを通ると一斉に飛びたっ様です。
 昨日登ってきた戸渡尾根方面の分岐近くまで歩いたら左の破風さん方面へ。道は徐々に下りはじめ、森を抜け砂地に出ると展望が開けました。正面にはこれから向かう破風山が綺麗に見えます。右手には富士山がすそ野まで綺麗に見えます。

これから歩く稜線 正面が破風山

 先が長いので展望を楽しむのもそこそこに、砂に足を滑らせないよう慎重に下っていきます。すると、なんとまだハクサンシャクナゲが残っていました!昨日花が全くなかった戸渡尾根からはそれほど離れた場所ではありませんが植生は異なるのでしょうか?こちらの尾根に来て大正解でした。ですが困ったことにまた写真を撮るために足が止まってしまいます。

ハクサンシャクナゲ

 縞枯れの稜線を抜けて300m程下ると破風山避難小屋が見えてきます。ここが破風山へ向かう最低鞍部の様です。避難小屋にはダルマストーブが置いてあって冬でも避難が可能な様でした。
 小屋前からは富士山も観え、なかなか景観も良い場所でした。

破風山避難小屋

破風山避難小屋~破風山

 小屋前には水場まで20分の看板がありましたが、道は坂の下の方に続いていて大変そうだったので、ここでは給水にいかず先へ進みます。
 避難小屋からは200m強の登り返しになります。岩の段差が多い急登で、両サイドの枝も伸びて邪魔をするのでなかなか大変な道でした。ですが雁坂峠までの稜線歩きでは本格的な登りはここだけなので頑張って登りきりましょう!
 登っている途中で振り返ると歩いて来た稜線や甲武信ヶ岳が綺麗に見えてまたまた足が止まってしまいます。

甲武信ヶ岳方面を振り返る

 山頂が近くなると道は次第になだらかになり、しばらくして破風山山頂標識があります。破風山は双耳峰で東と西が在りますが、西のこちらの方が標高が高いので”破風山”としてはこちらが山頂になっているようです。なおこちらは山梨百名山の一つとなっています。
 山頂には三等三角点がありますが残念ながら展望はありません。

破風山(西破風山)山頂

破風山(西破風山)~東破風山

 東破風山への道はほぼフラットでやや下りです。これだけ聞くと楽々な道と思ってしまいますが稜線部は岩がゴロゴロして段差が多くあまり自由には歩けません。その代わり岩が露出した場所は展望も良く右手に見える富士山に元気づけられながら歩くことができます。

東・西破風山の途中は良い展望あり

 東破風山にも山頂碑はありますが、展望もなく割と地味です。先も長いので早々に下っていきます。

東破風山~雁坂嶺

 東破風山からは下りになります。少し下ると正面に雁坂嶺のたおやかな姿が現れます。登り返しはしますが遠めに見ても非常になだらかな稜線であることが伺えます。
 最低鞍部からの登り返しでも標高差は100mありません。ただ縞枯れ地帯の倒木は多く、印象としてはちょっと荒れているように感じます。

縞枯れ地帯

 山頂は少しだけ開けていて、富士山も見ることができました。こちらも三等三角点があり山梨百名山に数えられています。ベンチもありますが、雁坂峠から本格的に下りになるので、雁坂峠まで歩いてから休憩にしたいと思います。

雁坂嶺山頂

雁坂嶺~雁坂峠

 名前が同じ雁坂なので近くかな?と思いますがそこそこ距離はありますので雁坂嶺で疲れている場合は一旦山頂で休憩してから進んだ方が良いでしょう。
 なだらかな下り坂を暫く歩いていくと右下に笹原が開け、下の谷には森が広がっています。谷からまっすぐ登った稜線上にベンチが見えたらそこが雁坂峠です。
 雁坂峠は山頂でもないのにまだ標高2,000mオーバーの2,082m。日本三大峠の一つとされ、古くは日本武尊が蝦夷の地平定の際に歩いたとされている場所です。その他にも武田信玄の運用道路だったり、秩父観音霊場巡礼道だったり古くから交通の要所だったようですね。

雁坂峠

雁坂峠~雁坂小屋~雁坂峠

 さて、ここから稜線を離れて本格的な下山に入りますが水がありません。曇り空だから涼しく歩けるかな?と1L持ってきましたが、やはり足りなかったようです。とはいえ無計画にここまで歩いて来たわけではありません。この下の雁坂小屋で給水できるのでザックをデポし、ナルゲンボトルだけ持って下山ルートと反対側に下りていきます。
 峠の案内板を見ると標高1800mくらいの位置に雁坂小屋の絵が描かれていて200m以上下りるのか!と焦りますが、雁坂小屋の標高は1,955mだったので100mくらいで済みました。小屋の近くには日の出ビュースポットや夜景ビュースポットがあり、ここに留まって夜を越えるのも楽しそうです。ここからは北東方向の展望が開けていて両神山や谷川岳、日光白根山等を観ることができるので、展望を観るために立ち寄っても良いでしょう。

雁坂小屋

 水は給水1回(容量制ではなさそう)あたり100円。沢水で冷やされたコーラが300円で売ってたのでこちらもいただいて行きます。山コーラはエネルギー補充に最高で、かなり元気を回復しました。
 雁坂小屋は小屋番さんも人当たり良く、雰囲気が良くて静かそうなので一度泊りに来たいと思いました。
 さて、水を十分確保できたので再び雁坂峠まで戻ります。戻り道は峠の直下だけ急ですがそれ以外はそれほど苦になりませんでした。

雁坂峠~沓切沢橋

 雁坂小屋のおじさんに「明日から天気予報に真っ赤な太陽が並んでて大変だね」と嫌な情報を教えていただいた(笑)ので出来れば下山したくなかったのですが、このまま峠にいても雨に降られるだけなので覚悟を決めて下っていきます(ちなみに家に帰ったら灼熱地獄でした)。
 下りはじめはかなりの急傾斜ですが九十九折で歩き易くなかなか良い道です。これなら初心者・初級者も安心かな?と思ったら甘かった・・・。沢に下りるまではトラバースと九十九折を繰り返す歩き易い道でしたが、沢沿いに入ると崩れやすそう・・・というか、過去に崩れた跡が随所にみられる怖い道になりました。

沢は水量が多く渡渉しづらい

 昨日今日と雨は未だ降っていませんが、梅雨時のせいか沢の水量も多く、渡渉も水没した岩を頼りにしないといけません。また、ロープは張ってあるものの斜面の沢(滝?)のような場所を渡渉する場面もあり、なかなかハードで気が抜けない道が続きます。

傾斜のある沢渡渉は滑りそうで怖い

 ということで下りきってみると初心者・初級者にはとてもお勧めできない道でした。ただし沢の景観は良く、滑床も綺麗で中級者以上にはお勧めしたい登山道でした。
 沓切沢橋まで到着してやっと人心地着くことができました。

沓切沢橋~道の駅みとみ~西沢渓谷入口バス停

 沓切沢橋からは舗装林道を歩くので楽ですが、路側帯には落石が堆積しています。あまり気を抜いて擁壁の側を歩いていると頭をやられますので注意しましょう。

落石が多い林道

 そして舗装路がつらい本質は暑さ!ここまで沢沿いの樹林帯だったせいか23℃ほどの気温でしたが、日差し降り注ぐ舗装路に出た途端30℃を越えました。林道はそこそこ長いのでこの時点で水を十分に持っていたほうがよさそうです。雁坂小屋で給水しておいてよかった。ちなみにこの先の雁坂トンネル手前の駐車場に自動販売機があるので、そこまで頑張れば給水できます。
 道の駅「みとみ」が近づくと右手にショートカットを示す小さな看板が立っているので未舗装路を降りていきます。再び舗装路に出たら道なりに左に行ってしまいそうですが、右に曲がって橋を渡るのが正解なので注意しましょう。
 国道140号に出たらもう目の前が道の駅です。
 ここでお土産を物色していこうと思いましたが、残念なことにバスの時間まで15分しかありませんでした。次のバスは2時間後になってしまうので仕方なくバス停に向かいます。この日は土曜日なので塩山駅行きのバスに乗ることができました。

下山飯

 バスで途中下車すると温泉があるのですが、バスの本数が少ないのと雨予報だったので駅まで一気に戻りました。駅に着いたら傘をさす程ではありませんでしたが小雨がぱらついていたので一安心です。
 駅前の「菊よし」さんに寄って独りお疲れ山していきます。山梨は馬の名産地でもあることから馬肉も特産品になっていて、こちらでは馬刺しの他に馬もつ煮を食べることができます。今回は頑張って歩いてきましたので両方ついてる「菊よし定食」を頂いて帰りました。疲れた体にスタミナ補給ばっちりの美味しいご飯でした。

菊よし定食

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