見出し画像

富士箱根トレイルを分割して歩く(2/3)

 富士箱根トレイルは箱根の金時山から富士山須走口の5合目を繋ぐ43kmのロングトレイルコースです。
 一度に歩くにはハードなコースですが、分割で歩けば普通のハイカーでも日帰りで楽しむことができます。
 今回は中間部を歩いてきました。なかなか良いコースでしたのでご紹介します。

時期

 6月

アクセス

行き

 東京から中央線で大月まで約1時間40分
 大月から富士急電鉄で富士山駅まで約50分
 富士急駅から富士急バスで三国山ハイキングコースまで約50分

帰り

 駿河小山駅から国府津まで御殿場線で約45分
 国府津から東京まで東海道本線で約1時間10分

紹介ルート

 三国山ハイキングコースバス停~鉄砲木ノ頭~三国山~明神峠~湯船山~白クラノ頭~サンショウバラの丘~世附峠~不老山~駿河小山駅
距離:19.9km 登り:1,050m 下り:1,773m

三国山ハイキングコースバス停~鉄砲木ノ頭

 バス停付近にはトイレらしいものは見えないので富士山駅で済ました方がよさそうです。ただしハイキングコースを少し歩けば駐車場のトイレがあります。
 バス停で降りて振り返ればもう富士山が大きく見えます。綺麗に見えた場合はとりあえず写真を撮っておきましょう!富士山は歩いているうちに雲がかかりやすいのでシャッターチャンスは逃さずに!
 車に気を付けてバス停の反対側に渡り路地に入っていきます。少しだけ舗装路を歩きますが、すぐ左手にハイキングコースへの入口案内があるので、案内に従って未舗装路に入ります。三国山への案内板に従い歩いて行きましょう!
 この辺の道はまだ登りではなくフラットです。雨による浸食のせいかすり鉢状の1列じゃないと歩けない道が多いです。暫く歩いていると一旦舗装路に出ます。案内板は舗装路に沿って右に行くよう示していますが無視して舗装路を渡り、反対側の山道に入っていきます。すぐに林を抜けて開放的な場所に出ます。斜面の上を見上げると富士山を眺めているらしい観光客が沢山立っているので、そちらの方に向かって登っていきましょう!
 観光客が立っていた場所まで行くと、そこが駐車場だとわかります。ここにトイレもありますので我慢している場合は駆け込んでください。この場所からは山中湖や富士山が良く見えますが、鉄砲木ノ頭の方が景色は素晴らしいので先に進みます。
 トイレの左側に道があるので登っていきます。一面が草原で気持ちが良いですが日陰が無いので暑いです。登山道は雨の浸食で崩れているところが多く、回避した踏み跡が複数あって迷いますが、とにかく目の前に見える一番高い丘を目指せば問題ないので安心して踏み跡の濃い道を歩いていけば間違いありません。
 一番高いところが鉄砲木ノ頭ですが、まん丸球状の丘なので実は山頂が見えている様で未だ見えていません。山頂は近いと思い込んで速足で登っていくとへばってしまいますので、ゆっくりマイペースで登っていきましょう。

鉄砲木ノ頭への登り

 祠が見えたら山頂です。振り帰るのを我慢して祠の近くまで登り、もしも団体なら一斉に振り向いてみましょう!感嘆の声が漏れること間違いなしの山中湖と富士山絶景を楽しむことができます。暫く富士山の眺めを楽しんだら。名残惜しいですが先が長いので三国山に向かいましょう!

鉄砲木ノ頭からの眺め

鉄砲木ノ頭~三国山

 鉄砲木ノ頭から南方向に坂を下ります。目の前の一番高いところが三国山です。富士山から連なる稜線が富士箱根トレイルのコースですが、今回は富士山川にはいかず、三国浜から左に下っていきます。
 森の中に突っ込んで少し歩くと舗装路に出てきます。すぐ右に駐車場があるので車の人はここに停めてハイキングを楽しむことができます。
 舗装路を渡って向かいの森に入ります。ここから三国山への登り返しですが登山道(踏み跡)は沢山枝分かれしています。どうやら冬季に迂回したときの踏み跡やピンテ(ピンクテープ)が残っていてわかりづらくなっている様です。ただし、ここから三国山まではひたすら登りなので基本的に登ってさえいれば三国山の頂上に着くことができます。踏み跡に惑わされず上へ上へと向かいましょう!
 頂上が近づいてくると傾斜が徐々になだらかになっていきます。富士箱根トレイルの案内柱があれば三国山山頂です。山頂は木々に囲まれているため残念ながらあまり展望が良くありません。
 さて、ここから先が今回の目的である富士箱根トレイルです。頑張っていきましょう!

三国山

三国山~明神峠

 がんばっていきましょう!と言いつつ、実は今回ご紹介するコースではこの三国山が最高所となります。つばり、この先も登り返しはありますが基本的には下り基調です。
 三国山から尾根を下っていくと海側から気持ちよい風が吹いてきました。暑い日でしたがこの分ならまだまだ頑張れそうです。
 道中には何箇所か送電線鉄塔が建っている場所があり、鉄塔の近くでは木が切り開かれているため展望を楽しむことができます。稜線の右手に見える山塊は箱根山、左手は丹沢山です。

鉄塔広場からの丹沢山塊

 稜線を下っていくと舗装路に出ます。ここが三国山登山口の様です。鉄砲木ノ頭よりこちらから登った方が標高差が少ないですが、駐車スペースは狭くあまり止められないようです。通りを渡った反対側には富士箱根トレイルを示す看板があるので表示に従って進みます。ここからは時々右側に箱根山を望みながらなだらかに下る道で楽しく軽快に歩くことができます。
 右手下方の舗装路が徐々に近づいてくると仮設トイレが2基建っています。ここまで来れば明神峠はすぐそこです。
 明神峠には今回のゴールである駿河湖山駅からバスが1日1本だけ出ているので、ここから富士箱根トレイルを歩くこともできます。また、下りも一本だけあるのでエスケープなどで利用される方はバス時間に注意しましょう!

明神峠~サンショウバラの丘

 明神峠からちょっと登り返しになりますが、全体としては下り基調で道はなだらかなのでそれほど苦ではありません。
 道中はあまり見どころがなく割と単調な歩きが続きます。明神山山頂もあるようですが気づかず素通りしてしまいました。、頂らしき標識を見つけたのは既に湯船山でした。展望はあまりありませんが三等三角点があったので結構要所?の山の様です。

湯船山

 次の山頂である白クラノ頭も割と変化がなく樹林帯で展望もなく、話題にできるような急坂もないので淡々と歩いてすぐ到着です。
 白クラノ頭からちょっとだけ強めの下りになりますが、それほど苦労するものではないでしょう。気づくと周囲がまったくの無音で自分の足音だけが聞こえます。山を歩いていると何故か虫の声も鳥の声も聞こえない区間が時々あります。なにか障りのある場所なのかな?と思って独り怖くなるのは私だけでしょうか?
 峰坂峠まで下ると平らな場所が多少ありました。休憩に良さそうで既に団体がたむろしてました。登山道に大股で座って仲間とのおしゃべりを興じているおじいさんを見る限りちゃんとしたマナーを学べる山岳会ではなく、町内会か何かのハイキングなのでしょう。ささっと通り抜けます。
 峰坂峠からは再び登りに転じます。ここからは森を抜けて明るい道になり、この時期は青い空とウツギの白い花のコントラストが綺麗でした。
 登りの距離は大したことはありません。すぐに同じ種類の低木に囲まれた丘に出ました。ここがサンショウバラの丘の様です。サンショウバラの季節は5~7月の様ですが訪れたときは既にすべての花が落ちていて残念でした。花の咲いているときはもっと見事な景色でしょう!

サンショウバラの丘

 右手には箱根の山が展望でき振り返ると富士山も観えました。ベンチなどはありませんが好展望地なのでここでランチを摂るのも良いかもしれません。ただ日差しを遮るもののないので夏は暑くてランチ休憩には向かないようです。

サンショウバラの丘~不老山

 サンショウバラの丘から世附峠になだらかに下ります。ほどなく世附峠に到着。ベンチあり、仮設トイレありでランチ休憩している方も虎ほら見えました。
 ここからの登り返しもこれまで通りで楽々かな?と思いましたが次第に急登に変わります。ただし距離がそれほどでもなかったおかげでそれほど苦労はしませんでした。坂がなだらかになったかな?と思ったらすぐ不老山の南峰に到着です。
 一応南峰としていますが、不老山の山頂は北峰の方なので山頂碑は無く低いベンチのようなものと分岐案内板があるだけでした。ちなみにここから案内板の上に金太郎像が乗り始めます。

案内板の上に金太郎

 分岐を左に少し下ってすぐまたなだらかに登ります。大した距離ではなく不老生山頂に到着です。こちらにはテーブルベンチが1つありますが、すでにおじさん達が占拠中。山頂碑の後ろの木はサンショウバラで、幸いなことに花が少し残っていました。サンショウバラの花(扉写真)を楽しんだ後、少し離れた倒木をベンチにしてランチ休憩にします。

不老山

不老山~駿河小山駅

 富士箱根トレイルは南峰から駿河小山駅の方につながっているため、食事後は南峰に戻ります。先ほど山頂に向かったのとは逆方向の南側の登山道に進みます。
 すぐに分岐があり、真っすぐ尾根を下りるコースと右下の谷に下りるコースがある様です。富士箱根トレイルは尾根道の方になるので、そのまま尾根道を降りていきます。ちなみに谷ルートの方はこの時期既にヤマビルが出ていた様なので、ヤマビル嫌いの方は尾根ルートがお勧めです。
 尾根ルートと言っても完全に尾根筋を通るわけではないようです。巻き道を多用しているため登り返しはほとんどなく、ほぼほぼフラットな薄い下り坂が続きます。
 最後の奈良尾山に向かって緩やかに登りますが、一番高いところには案内板の破片が落ちているだけで山頂碑のようなものは見つかりませんでした。
 駿河小山駅への最後の下りは舗装路に出る前の手すり付きの急階段だけ要注意です。手すりは傾いてて強度が心配だし、ステップには土が堆積してもはや滑りやすい下り坂になっていました。最後にけがをしない様注意しながら下りていきましょう!

最後の手すり場

 沢の河原にでたらすぐその先で舗装路になります。舗装路に出たら念のため足回りをヤマビルチェック!します。一匹も付いてませんでしたので尾根コースは安心です。
 舗装路をそのまま下り、広い通りに出たところに自動販売機があるので疲れている方はここで給水できます。ここから川を挟んだ向こう側が駿河小山駅なのですが真っすぐ川を越える手段がないので右の方から大回りして向こう岸に渡ります。
 駿河小山駅前には小さなお土産屋があり、ちょっとソフトドリンクを飲むくらいはできますがガッツリ下山飯を食べられるような場所はありませんでした。駅の改札外に広い待合室と自動販売機があるので、こちらでシャツだけ着替え、次の電車を待ちます。電車の本数は割とある方なので、そこまで待たずに帰りの途に就くことができるでしょう。

下山飯

 御殿場線で松田まで出ました。アクセスの項には国府津まで出るルートを書いていますが、私の家は小田急線に乗り換えた方が安いのでここで新松田駅に乗り換えます。
 乗り換えついでに雫(旧「丸七」)という焼きカツ丼屋へ立ち寄りました。下山後はビタミンB群を含む豚肉の塊を入れて疲労回復してから帰るのがお勧めです。ちょっとお高く高カロリーですが下山飯には最適でした!

雫の焼きカツ丼(上)

豆知識

サンショウバラ

 日本の固有種で神奈川・静岡・山梨エリアに分布するバラ科の花です。花びらは薔薇の様に重なり合っておらず、一重なのでいわゆる薔薇の花のイメージとは異なります。花は咲くと1日で落ちてしまう様ですが次々に咲くため一定期間は楽しめます。
 枝には棘があり、葉の形は山椒に似て枝の周りに小さな丸い葉が並んでいます。花名もこの葉の形に由来する様です。
 箱根町の町花、山中湖村の村花で、開花時期は5~7月の様ですがサンショウバラの丘の花は6月には全て落ちていました。

サンショウバラ

動画


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?