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数独を擬人化して愛を語る「超難問でも君は優しい」

数独大好き。

いつから君のこと、こんなに好きになったんだろう。
確か高校生くらいからやっていた。
その時はまだまだ君とのセッションが下手で。
こんなに元から数字が無いやつなんて解ける訳がないなんて暴言、よく吐いたっけ。

旅行先にすら君を連れて行く。
電車までの待ち時間、旅館での夜中、ひっそりと君を解く。
プレミアムな君とのプレシャスな時間。
楽しかった。

いつしか僕も妊娠して。
メンタル激落ちの時も、100均で買ってきた君をひたすらに解いた。
その僕の様子を見た夫に、それいくらで買ったのと聞かれたから、100円と言ったら、
すげーな。
だってさ。
その当時、コスパって言葉は無かったんだけど。
きっとそれを言いたかったんだと思う。

難解な君を知りたい。
そう思ってググったよ、「ナンプレ 解き方」。
難問編の解き方、意味不明なのいくつかあった、
マジで分からない浜田ロジック。
それでもいくつか新しくテクニックを知って、いつの間にか使いこなした。
もはや修行だ。

いつのまにかあの妊娠した子供がもう4歳。
新たにもうひとり可愛い赤ちゃんまでいて。
不思議だね、君との関係は密接になった。
君を解いてる瞬間は、育児のつらさを忘れられた。

スマホで落とした君をひたすらに解く。
デジタルな君は消しゴムもいらなくて便利だ。
でも何だかやはり寂しくて、本屋で買ったよ超難問。

いつのまにか僕は随分高いところにきてしまったようだ。
超難問でも究極上級でも、手応えがない。
龍、鳳凰、とか書かれたレベルになった自分がここにいる。
もはや万能感すらある。
たまにひとり時間を得た時、
電車の中で君を広げても恥ずかしくない。
だって解けるから。
シャーペン持ったままジッとしているのがこの界隈では恥だけれども、それがないから大丈夫。

君を見つめれば分かる。
あぁ、ここに1がくる、6がくる、9がくる。
そのひらめきと理解が、すっと心におさまる。

浜田ロジックが分からなくても基礎ができていればこの難問も解けるのだと分かった。
躓く事は無かった。
君は優しいのだ、超難問でも。

子供にテレビを奪われているから、朝食を食べながら君を広げる。
トースト片手に君を解く僕は、少しおかしかったのかもしれない。

夫に言われたよ。
ついに言われた。

「そのパズルやってる時間、資格の勉強でもすれば?」

※後に謝罪しています。

高校生の頃から君を知っている。
君と歩んだ。夫と出会う前から、僕らはそばにいた。
確かにこれ、なんかなんねぇかな、と思う瞬間もある。よぎる。
でも違うよね。
君を解いたあの瞬間、利害は一致しているんだから。

君を僕は捨てないよ。フィジカルとして。
超難問本を解きまくって、捨てないで貯めておこう。
それでいれてもらうんだ、棺桶に。それでいいじゃない。

ねぇ、数独好きな人いる?
なんか、お年寄りが新聞に載ったのをやってるイメージだけれども。
ここにいるんだよ、ガチ勢が。

僕が一番に愛してる。
何が資格の勉強だ、絶対負けねぇからな、テメェらなんかに。