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【人狼論】要素の拾い方

人狼ゲームの本質

要素とは、人狼ゲームにおける「このPLが〇〇(人狼や市民など)である」と思う理由の事を言います。要素を適切に拾う事は、その的中率を高めるだけでなく、説得力を持たせるという点でも重要と言えます。

では、どうすれば要素を上手く拾えるのでしょうか。それを理解するには、人狼ゲームの本質を理解する必要があります。

人狼ゲームを人狼ゲームとして成り立たせているものは何でしょうか。
それは『情報の非対称性』と『勝利条件』という2つの規定であるとオレは考えます。この2つの規定は、各個人の行動に大きな影響を与えます。裏を返すと、人狼ゲームとは、そこから逆算して、誰が何者なのかを読み解いていくゲームとも言えるのです。

ここでは話を簡単にするために、2陣営配役で”何者なのか”の違いを説明をしましょう。
例えば占い師は、情報という観点では、占い能力によって誰が人狼か、またはそうでないかを知っています。更に、自分以外のPLが占いCOした場合には、その人物が人外であると知る事が出来ます。
また、勝利条件としては人狼の追放が目的となりますが、この勝利の確度を高めるために『全員から真占いだと決め打たれており、最終日まで生存している』事が重要となります。

同じ村陣営でも、市民とは情報や勝利条件が異なる事が分かるでしょうか。市民は情報という点では何も与えられていません。勝利のためには、人外を捕捉するか、村役職の十分条件を満たしてあげる事が目標となります。

反対に、人狼は誰が人狼かを最初から全て知っており、村を噛みや処刑にて同数以下にする事が目標です。そのため、人狼は村陣営と2つの規定に差異がないよう、見せかける必要があります。

配役によって偏りはありますが、要素とはまさにこの2つの規定によって発生します。そして究極的には、人狼ゲームとは2つの規定を自陣営に有利になるよう、コントロールしていくものとも言えます。

要素とはなにか?

では、具体的にどのような要素があるでしょうか。2つの規定が生み出す要素は、どちらも含有するものが殆どです。ここではその濃淡によって分類し、代表的な黒要素を列挙したいと思います。

◆情報の非対称性
・色透け…根拠なく他のPLの色が白/黒である前提になっている
・論理矛盾…同じ理由で異なる色付けが起きるなど、論理的に矛盾している
・思考飛躍…その発言となる根拠が乏しいまま結論が出ている
◆勝利条件
・ライン…〇〇と相方らしい行動をしている
・塗り思考…村に不当に縄を寄せようとする
・噛み…確定噛みや自身を疑っていた位置への噛みなど
・票回収…村からの印象を上げたり、占い対象から外れるように動く

ここで重要な事は、こうした要素は必ずしもそれがあるからと言って正解とは限らないという事です。黒要素の対極には白要素があります。精査は多角的に行う事で、より確度を高めていく事ができます。

『知らない』を識る

ここで1つ、面白い思考実験をしたいと思います。
市民、霊能、人狼の3人村において、村はどのような行動をとるのが最適でしょうか。下記に想定される2つの盤面を示します。

①市民がCOをしない場合、霊能と霊能騙りをする人狼が殴り合いとなり市民が判定役となるか、市民と人狼が殴り合い霊能が判定役となるかの二通りとなります。
②市民がCOを行うか霊能が潜伏する場合、市市市または霊霊霊の構成となり、全員がお互いに疑う状況となります。

まずは客観的に見てみましょう。村陣営は、①の場合に50%の確率で勝つ事ができ、②の場合には33%の確率で勝つ事が出来ます。
主観的にはどうでしょうか。どちらも”勝ち筋”という点では殆ど変化はありません。しかし、”情報”という点で、①では村と人狼では差が生じませんが、②においては差が生じます。つまり、要素という点では②の方が人狼を見つけやすいと言えます。

上記より、情報の非対称性による要素は、盤面によって左右されるという事が分かります。よく直感や経験、議論の流れなど、一般的には少し不可解な形で要素を取るPLがいますが、これらも全て盤面ありきなのです。

人狼ゲームにおいて、何も知らないというのはある種の強さです。一般に最白を取る市民というのはこの点から生じますし、人狼がその戦いに勝つ事はまずありません。
何故ならば、知っている事を知らないフリをしながら思考するという事は、本来人間には不可能だからです。人狼ゲームにおいて嘘をつくことは、実はさほど難しくありません。フリをする事はどんな実力者でも何%か思考リソースを消費しますが、その中で本当に知らない人よりも知ろうとする事こそが困難なのです。

反対に、村から情報の非対称性における黒要素が落ちるという事は、その性質上ほぼあり得ません。もしそう見えるとすれば、それはディスコミュニケ―ションが故です。

自身が村の時にどんな思考をするか、それを人狼の時にどう再現するのかという訓練は大事ですが、人狼が情報の非対称性から白要素を取れるのはよほど運が良い時だけ、と考えるのが良いでしょう。

また、情報の非対称性とは反対に、勝利条件から成る要素は、村が情報を得るにつれ確度が上がっていきます。
つまり「ここが黒であれば相方は~」というような考察が行いやすくなるわけです。しかし、人狼にとっては比較的コントロールしやすい要素でもあるので、先を見越した立ち回りを心がけましょう。

人狼ゲームに強くなる

まとめると、人狼が勝つには以下の3つが重要となります。

1、盤面をコントロールし、村との情報格差を減らす
2、黒要素を落とさず、ディスコミュニケーションを突いて攻撃する
3、勝利条件を利用し、自身の白要素に昇華する


1において最も行いやすいのは、人狼目線でも盤面を把握しきれない状況を作る事でしょうか。例えば狂人の潜伏や第三陣営を上手く扱うなどです。反対に、先述した判定役・市民・人狼というような、全員の視点が確定した盤面に持ち込む事も有効と言えます。
2では、盤面整理などの勝利条件に依った要素を取りながら考察を行う事も効果的です。黒要素が落ちにくくなります。
3はつまり、人外利のない行動をあえて増やしたり、相方らしくないように動く、などといった事です。また、どのタイミングでどの情報を見せるのか、あるいは隠すのかを考え、戦略的に立ち回りましょう。

逆に、村陣営で勝つには下記の3点が肝要です。

1、要素を的確に拾い、多角的に比較する
2、コミュニケーションを円滑にする
3、主観的(要素)にも客観的(進行論)にも勝率の高い進行をする


1では、実際にどういった要素の確度が高かったか常に反省を行うと、より正確な判断が出来るようになります。
2については、議論に上手く介入しながら双方の誤解を解いてあげるだけでなく、占い結果などによって思考更新を迫る事も有効です。
3ですが、これは上述の実験で示したように、主観と客観で勝率の高さはぶつかる事があります。両方を成立させる進行を心がけましょう。

以上の事を理解して練習すれば、効果的な上達と、自身の強みについてのより深い理解が得られるでしょう。

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