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「わさおが死にました」 人気アナの生々しい表現で放送界のルールを知って目からウロコポロリ

昨日の日テレ『スッキリ』で、水卜麻美アナウンサーが「"ブサかわ犬"として人気者だった わさお が死にました」とニュースを伝えました。

それを聞いていた高校3年生の娘が、「なんで亡くなるじゃなくて、死ぬなんだろう?なんか生々しい。昨日も電車の中で流れているニュースで わさお死ぬって流れてたし」

たしかに、「死ぬ」ってなんか生々しいし、特に水卜ちゃんのようなやさしい感じの人が言ってたので、なんか冷たい言い方じゃんとか思っちゃったんです。


そこでちょっと調べてみたら、NHK文研ブログが、「パンダが亡くなりました」はおかしいですか?という質問に答えていました。

テレビでアナウンサーが使う言葉はNHKが基準になっているでしょうから、間違いないはず!

NHKのニュースでは、「死ぬ」を原則にしています。「死亡」や「亡くなる」は「人」に対して使う表現で、動物に使うのはおかしいと考えられるためです。
しかし、「象のはな子が死にました」というと、事実は伝えているが、なまなましすぎて、違和感があるという方がいます。
一方で、「象のはな子が死亡しました」「象のはな子が亡くなりました」では、まるで人間のことを言っているようで、おかしいという方もいます。

なるほど、「死亡」「亡くなる」は、動物に使うのはおかしいんですね。知らんかった!

文研では、去年(2015年)の3月に「日本語のゆれに関する調査」を行い、その中で、動物が死んだときにニュースなどで使う表現について聞きました。
「日本語のゆれに関する調査」は、文研の「放送用語班」が、年に1回から2回実施している世論調査です。
調査では、「パンダ」「イリオモテヤマネコ」「飼い猫」「公園にいる猫」に対して、「死亡する」「亡くなる」「死ぬ」の“どの表現を使うとおかしいと思うか”を聞きました。
調査の結果は、図のとおりです。

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この結果を見ると、どの動物にも“「亡くなる」を使うのはおかしい”と感じられているようです。
特に、「公園にいた猫」に “「亡くなる」を使うのはおかしい”と感じられているようです。一方、同じ猫でも人間に身近な存在である「飼い猫」になると“「亡くなる」がおかしい”という人がやや少ないという結果になりました。

基本的には動物に「亡くなる」を使うのはおかしいと思っていて、公園にいた猫には思い入れがなくて、イリオモテヤマネコやパンダのような希少動物には少し思い入れがあって、飼い猫に対しては思い入れありまくりだから、「亡くなる」と言っても良いんじゃないか…と思っている人もいるということなんですね。ぼくは犬派ですが、その気持ちよくわかります。

象のはな子犬のわさおは、テレビなどのメディアで何回も何回も見てきているので、思い入れが一般的な象や犬とは違っていて、自分たちに近い存在( むしろ身内に近い感覚 )になっているから「死ぬ」という表現がきつく感じるのだと思います。


BiZPARKというサイトの「亡くなる」の正しい敬語の使い方【謙譲語・尊敬語】にこう書いてありました。

「亡くなる」という言葉は、死ぬことに対する丁寧な言い方なので、本来は自分にも身内にも使ってよい言葉です。やはり人が死ぬことについては、雑に取り扱わず丁寧な言い方をするのがモラルですよね。したがって、身内の死だからといって「亡くなる」という言葉を使ってはいけないことにはなりません。身内が亡くなる際も、「死ぬ」ではなく「亡くなる」といった丁寧な言い方をしましょう。

「死ぬ」より「亡くなる」の方が丁寧な言い方なんだから、家族同然の買っている犬や猫や、メディアで何年間も見てきて知り合い感覚になっている犬のわさおのような場合は、「亡くなる」って言いたくなっちゃいますよね。「"ブサかわ犬"として人気者だった わさお が亡くなりました」の方が、水卜アナには合っているような気がします。NHKのビシッとしたザ・アナウンサーみたいな人だったら「死にました」でも違和感がないのかもしれません。発言する人のイメージによるんでしょうね。

水卜アナが「わさおが死にました」と言っている時の画面には、テロップで「人気者 ”ブサかわ犬” わさお 天国へ・・・」と出ていました。

文字にすると「死にました」という言葉は強すぎるし、音にした時に「天国へ召されました」というのはなんか違和感がある。耳で聞くのと目で見るのでは感じ方が違うので、テレビでは使い分けているんですね。

目からウロコポロリ


これからは、聞く言葉と見る言葉での伝わり方の違いを意識してテレビを見てみようと思います。


先ほどのBiZPARKのサイトに「亡くなる以外の言葉の一覧」として、25もの言葉が出ていました。

◉死亡(しぼう)◉死去(しきょ)◉絶命(ぜつめい)◉永眠(えいみん)◉他界(たかい)◉薨御(こうぎょ)◉薨去(こうきょ)◉卒去(そっきょ)◉長逝(ちょうせい)◉棄世(きせい)◉早世(そうせい)◉急逝(きゅうせい)◉頓死(とんし)◉逝去(せいきょ)◉永逝(えいせい)◉夭折(ようせつ)◉帰天(きてん)◉召天(しょうてん)◉昇天(しょうてん)◉帰幽(きゆう)◉崩御(ほうぎょ)◉夭逝(ようせい)◉天寿を全うする(てんじゅをまっとうする)◉大往生(だいおうじょう)◉鬼籍に入る(きせきにいる)

知らない言葉がたくさん!こんな多くの死についての言葉があるのって、日本くらいなんじゃないでしょうか。

死ぬまでに、この中の幾つの言葉を使うんだろう。

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