俺の「夢の皮財布」2023年の振り返りと、来年の目標と

『やめとこう、夢になるといけない』

と言うのは、有名な落語「芝浜」、関西では「夢の皮財布」のサゲ(オチ)のセリフであります。

皆様、こんばんは。終わらない大掃除の途中からトロピカルダンディ・ジョルでんねん。昨日告知していた通り、長ーい今年の振り返りを始めます。

さて、いきなり話を反らせますが、皆様「夢の皮財布」という落語はご存知ですか?上方では「夢の皮財布」、江戸では「芝浜」という名前の噺で、芝浜の方が有名でしょうか。

立川談志家元が十八番とし、数々の名人が年末になるとかける、おそらく最も有名な落語の噺の一つですが、意外と内容を知らない人の多い噺でもあります。

才能があるが酒に溺れて仕事を蔑ろにし生活に困窮する魚屋が、ある朝奥さんに市場に行けと起こされる
。しかし、時間を間違えて起こされたので、市場が開いていない。市場が開くまで海に日の出を眺めに行くと、浜辺(江戸落語だと芝の浜、上方落語だと住吉の浜)で大金の入った革の財布を拾う。

「これは幸運だ!仕事なんかせずに当分遊んで暮らせるぞ!」と喜び勇んだ魚屋は、市場に行かず家に舞い戻り、女将さんに「財布を拾った!これで働かなくていいぞ!」と息巻いて、一眠りしたあと友達を招いて大宴会を開く。

そのまま酔い潰れて眠った魚屋は、翌朝また女将さんに市場に行けと起こされる。「何を言っている昨日財布を拾ったやろ!」と魚屋は怒るが、女将さんは「何のこと?そんなもの拾っていない。それは夢に違いない。もしや昨日の酒盛りは夢で拾ったと思い込んだ財布の金をアテにしての大宴会だったのか?」と憤る。

このままでは、借金の取り立てが押し寄せる大晦日に2人で首を括らないといけないと嘆く女将を見て、魚屋は一念発起して酒をやめて仕事に邁進する。元々腕の良かった魚屋は、お客さんを取り戻し、数年後には大通りに大店を開くまでに成長する。

そうしたある大晦日の晩に、女将さんは「革財布を拾ったのは夢だと言ったが、実は本当に拾っていた。しかしあれを持ち帰って我が物にすると、あなたは仕事をしなくなるし、下手をするとお上に捕まり胴体と首が離れてしまうことになるかもしれないと思った。心配して長屋の大家に相談すると、「夢だ!」と言って魚屋を騙せ。その間にこの財布を役所に届ける。と言われ、酒盛りを開いて酔い潰れたあなたをだました。しかし時が経ち、落とし主が見つからずお上から財布が引き渡された。あなたを騙した事は申し訳なかった。どんな裁きをも受ける」と告白する。

自分を思っての嘘に感動した魚屋は女将さんを許す。心配がなくなり安心した女将さんは、旦那さんにあの財布を拾った日の酒盛以来やめていた酒を勧める。飲もうとする魚屋は盃を持ち、口をつける直前まで行くが、お酒を飲まない。「なぜ飲まないのか?」と尋ねる女将に、魚屋は一言「やめとこう、夢になるといけない」と言って噺は終わる。

Spotifyや、YouTubeでいろんな人の芝浜を聞いたことがあるが、生で見たのは去年の夏に桂雀太さんがどこかで季節外れにかけたのが初めて。

去年の年末にも、寄席で雀太さんがかけたのも見に行きましたね。今年も大晦日に繁昌亭の昼席のトリが雀太さんだったので、夢の皮財布がかかると思いチケットを取っていましたが、雀太さん体調不良につき休演となり見れず終いとなりました。(雀太さんゆっくり休んでくださいね)

体調不良と言うと、今年はそれこそ、人生で初めて「身体を壊した」という表現がしっくり来るような症状に3度見舞われました。5月の足首、夏場の自律神経、10月からの坐骨神経痛。

その都度、臨時休業を繰り返して、お客様やスタッフに多大な迷惑をかけてしまいました。

お酒自体は5月の足首のタイミングでほぼ辞めて、8月の周年を最後にテイスティングを除いてはまったく飲んでいません。もちろん今日も。

お酒をほぼ飲まなくなった今年は、ボロボロの身体に反して、これまでの仕事の内容が評価される1年でした。

年明けのJAPANESE CURRY AWARDの受賞から2度の全国放送でのカレーの紹介(なんと一回はダウンタウンDX!!)に、岡山、東京のカレーイベントへの招待、食べログ100名店への選出などなど。本当にありがとうございました!

定性評価という観点では、これまでの人生を通して最大の評価を受けた1年でした。

しかし、前述の通り身体がボロボロの為、臨時休業を繰り返していたことや、これまでのお酒の面でのトラブルによるグダグダなオペレーションにより、定量評価(来客数、回転数、売上)などの面では本当に低空飛行を続けた1年でもありました。

自暴自棄になる時期も多々あり、ネガティブな投稿をSNSに繰り返し投稿して、沢山の人から心配をされ、お叱りを受けることもしばしば。

しかし支えてくれる沢山の人から、お叱り、アドバイス、励ましを受け、マインドセットを入れ替えてネガティブな投稿、発言の一切をやめました。

それ以来少しずつ風向きが変わり、なんとか激動の一年を終えることが出来ました。

仄かに感じる追い風の気配、いよいよ飛躍すべき来年を迎えるにあたり、夢の皮財布の舞台となった大晦日に、自分にとっての夢の皮財布を考えてみようと思います。

浜辺で拾った大金の入った皮財布。これは自分にとっての「才能・センス」というものだったんじゃないかな?と思います。

飲食経験、修行を一切せず、本で読んだ知識と、今思えばふざけた回数の試作で乗り込んだカレーの世界。

様々な幸運に恵まれ、間借り開始一年弱でテレビで紹介される機会に恵まれ、雑誌への掲載と優しい仲間に囲まれて、「ジョルさんセンスある!」とお褒めに預かる事が多々ありました。そうしていつの間にか天狗になっていたわけです。「俺には才能やセンスがある」と(死ぬほど恥ずかしい)

元来、酒に溺れるタイプの自分は、酒に溺れながらもこの皮財布をあるものだと思い込み、酒盛りをし、「営業」という名目で平日から店で大酒を飲み、仕事後も飲み歩く日々を過ごしていたわけです。

仕事に向き合わなくても、自分には皮財布に入った大金(センス・才能)があると恥ずかしながら思い込んでいたので、体調不良で休む日々の中の何割かは恥ずかしながら二日酔いだったり、お酒由来の怪我であることもありました(それ以外はだいたい自転車関係、あとキッチン設備の不調にもマジで困らされた


ですが、あの大金の入った財布(センスや才能と言ったもの)は夢で拾ったものであり、自分の手元にないことを女将さん(家族、スタッフ、仲間、友達、体調不良)に諭されて気がついたわけです。

身体を壊した事で、収入がなくなりこのままでは店が潰れてしまう!という危機感を感じた僕はそこからお酒を止めて、マインドセットを入れ替えて仕事に向き合ってきました。


まだ大通りに大店を構えるには程遠いですが、無事に年を越せる程度にはなりました。あると思っていた皮財布は、まだお上に届けられたまま僕の手元には帰ってきていませんし、もしかしたらそんな皮財布はあの噺とは違い、本当に夢で、なかったのかもしれません。

それでも、そんな財布はなくても、自分には女将さん(諭してくれる友人、仲間、スタッフなどの温かい関係者)が居てくれる事だけでも、本当に大切なものを実はもう手に入れてるわけです。これに気付けた事、そしてあの皮財布は夢だった(自分には才能もセンスもなかった)という事実を飲み込めた事が、何よりも大きい収穫だったと思います。

今、真面目に仕事に向き合い、マインドセットもポジティブをキープした状態で今年を終えて、来年に突入します。

例年なら、お休みするお正月も1/2から営業開始します。

今までの人生で一番仕事に向き合っている良い状態。
これが夢にならない為にも、来年も引き続きお酒は辞めたままにしようと思います。(とは言え、お酒の勉強もしたいので、どこかのタイミングで休日の前日だけ解禁する事も検討中でもあります。)

どこかで書きましたが「やってきた事は評価されたが、やり方が間違えていたから数字がついてこない」と言うのが2023年。

2024年は数字(売上、来客数、回転数)にこだわって仕事をしようと思います。売上の向上のために、Uberの再開、物販の強化もやるべきリストに入れています。

その中で、商品力強化も数字向上への一助になると思っています。食べ物、飲み物は勿論のこと、弊店の強力な商品は自分自身の存在であると言う、少し傲慢な思い込みもあります。

それを自惚れではなく、着実な数字に変換していく為に自分磨き、自分のアウトプットも来年のテーマであります。具体的には、、、

・魅力的な店主としての振る舞いは安定したテンション、素の自分より少しだけ高いテンションの維持

・「食べ物を頼まなくても、飲み物だけでもお店に行きたい」「飲み物頼んでもう少しお店に居たい」なと思わせるような話芸、おもてなしのスキル。その為に、より多くのインプット

・インプットした自分の好きなものに関する情報の定期的なアウトプット。来年は特に、以前から好きでしたが禁酒以降、加速度的にのめり込んだ「銭湯」をよりアウトプットしていく。(ZINEの製作とグッズの制作に力を入れる)

・健康を維持し、見映えを少しでも良くする為にダイエットの継続

などなどです。そしてその先に、先ほども言いましたが数字の上での評価を高めていこうと思います。具体的な数字は割愛しますが、2025年2月の40歳の節目にまとまった休みが取れるようにする!その為に必要な経費の金額が具体的な目標です。

至らないところはまだまだありますが、自分は最高の人運を持っている事は間違い無いので、そこを誇りつつ、感謝と尊敬を忘れずにこれまでの関係者、これからの関係者を巻き込みつつより成長していきたいと思います。

本当に1年間沢山のお客様、友人、家族、仲間、スタッフ、取引先、すれ違った人たち、みなさんありがとうございました!そして次の1年も何卒よろしくお願いします。今のこの現実が夢にならないように精進します!

それでは2024年もご陽気に!この次はモアベターよ!!あ〜ライナァウッ!!

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