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僕が男性の骨盤底筋強化で気をつけていること その①(雑記帳)

はじめに

今回のnoteの内容は決して医学的なアドバイスを含むものではありません
実際に強化が必要な方は主治医のアドバイスに従ってください。

Questでは現在も複数のシニア世代の男性の骨盤底筋強化のエクササイズを担当させていただいています。
その全ての方が前立腺癌の治療のために前立腺の全摘をした方です。

今回はその際に僕が個人的に気をつけていることをつれづれ書きたいと思います。

男性だからこそ

男性の場合、本来は前立腺が尿道を圧迫して尿もれを防いでいます。
ですから前立腺摘出前に会陰部(肛門と睾丸の間、俗にいう「蟻の門渡り」)や尿道の筋肉を意識的に使うことは稀です。
それが前立腺摘出手術をするといきなり押さえがなくなるわけですから尿もれが起こりやすくなるのはある意味必然。
女性が骨盤底筋の衰えにより尿もれが起こりやすくなるのとは原因が違うため、対処方法も異なります。

筋肉を鍛えるのではなく

では尿もれが起こるのは骨盤底筋が弱いから、鍛えたら改善するのでしょうか?
そうではないと考えています。
そもそも多くの男性は手術前に尿もれに関係する会陰部や尿道の筋肉を意識する経験がありません。
そこでまずやるべきことは会陰部に筋肉があり、随意的に自分の意思で収縮させることができることを知っていただくことです。

例えばトレーニーの多くは別に手脚を動かさなくても、大胸筋や大腿四頭筋をピクピク収縮させることができると思うのです。
この感覚と同じように会陰部から尿道の収縮を感じられたらあとはその感覚が鮮明になるように脳と筋肉をつなぐ「マッスルメモリー」を育てるように訓練するわけです。

ただ一般的なアドバイスによくあるような「肛門を締める」という意識でそれが身につくかは疑問だと思っています。

なぜなら神経支配と筋肉のやるべき目的が異なるから。
ですから「肛門を締める」ことだけを教わった男性は尿もれがうまく防げないことも多いようなのです。

ではどうすれば良いのか?

まずは会陰部の場所を特定し理解すること。
そして肛門ではなく会陰部から陰茎にかけての意識を育てること。
そのためには陰茎を腹部に引き込んだり陰茎を上方に持ち上げるような意識を持って筋肉を収縮させることです。

最初はご自分で会陰部に触れながら、そこに力を入れる感覚を育てることから始めると良いかもしれません。

とにかく他の動作習得と同じです。

早急に結果を求めず、心を落ち着かせて意識を集中すること。
そのためにも雑音をシャットアウトし、焦らずにじっくりと腰を落ち着けて取り組むことが重要です。

いつ始めるのが理想的なのか?

上記のように骨盤底筋のマッスルメモリーを強化するのには時間がかかります。
「今日始めたからもう尿もれが抑えられる」というものではありません。

それであるなら「前立腺摘出手術」が決まったらすぐにスタートしても早すぎることは決してありません。

これはアスリートの十字靭帯再建手術などと同じですよね。
手術前に出来うる強化をしておくことが術後のリハビリにおいて短期間で効果を出すポイントだと言えます。

コツがあるとしたら

「コツを掴む」とは本来「骨の動きの感覚を掴むこと」だと言われています。
では骨盤底筋はどんな骨の動きに関与するのでしょうか?

実は武術的には基本的な体の使い方にそれが含まれているのです。

それが「仙骨の締め」なのです。
僕は「仙骨の締め」を「尾骨を恥骨の方向に引っ張るようにすることで瞬間的に仙腸関節の緩みがなくなり、股関節を通して全身をつなげやすくする身体操作」だと思っています。

実際に後ろから僕の仙骨に触れてもらば、クッと仙骨が動く感覚が伝わるのですが、この時に収縮させているのが骨盤底筋で、特に会陰部から陰茎、そして尿道までを締めると「仙骨」を動かすことができるのです。

誰にお勧めなのか?

男性のかかる癌の中でも大腸癌と並び多いのが前立腺癌。
そういう意味でも癌ではない人も含めて上記の「仙骨の締め」など骨盤底筋のマッスルメモリーの強化は全ての方におすすめです。

さらにもう一つ

骨盤底筋で重要なのは「横隔膜」との関係です。
これをうまく利用すればさらに骨盤底筋の強化は加速します。
つまり「呼吸法」ですね。

この骨盤底筋の意識性を高める呼吸法については、また改めて書きますので、しばらくお待ちいただけたら幸いです。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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