《インターン生日記》村ステイと「テランガ」精神から考えたセネガルの雇用問題について

2024年5月9日 20:29

こんにちは、現地インターン中のA.Iです。こちらに来てはや1ヶ月が経ち、様々な貴重な経験ができています。お洋服作りはというと、現在サンプル作成を終え、量産に入っている段階です。
さて、その中から今回は、セネガルの村ステイ体験と、そこで見聞きしたことについてご紹介したく記事にいたしました。

先日、週末を利用してダカール中心部から車でおよそ1時間、空港の近くの小さな村”Mbayard”に行ってきました。

滞在先はこちらの”Maison d'hotes Mbayard” という、いわゆるAirbnbのような宿泊施設↓

実はこちら、前回ご紹介した私のhost sisterのお母さんのご実家で、宿泊施設としても運用されています。
空港に近いため、深夜〜早朝にかけての乗継の旅行客にも重宝されているそうです。

村ということで、周辺はまだ整備されていない部分も多く、どこまでも広がる大地….
ですがお部屋は、お湯のシャワー＆バスタブにエアコン完備（セネガルではまだまだ当たり前ではないことです）と、とても快適に過ごせました。
（強いていうと、蚊帳はありますが、念の為ベープと虫除けは持参して使っていました。）

宿泊施設からすぐのサファリ”Bandia Reserve"のキリンたち。オススメ観光スポットです。

さて、タイトルに戻って”現地の雇用問題”についてですが、以下はあくまでセネガルのひとつの事例としてお読みいただけると幸いです。

西アフリカで、コートジボワールに次ぐ第2位の経済規模であるセネガルの失業率は、あるデータによると約40％にのぼると言われており、就職困難な状況は深刻な社会問題となっています。その要因としては、経済成長と雇用の創出がうまく連携していないことや、教育機会の不十分さ等いくつもの問題が指摘されています。

セネガルでは大手スーパーマーケットやインターネットを中心に、海外の企業が売上を伸ばしている背景もあり、そういった企業の経営層は海外の人材で固められ、経営知識が下働きのセネガル人には降りてこない、という背景もあるようです。

今回、こうした雇用事情についてはセネガル人へインタビューも行いましたが、その中で注目したのが、いわゆる”縁故採用”です。

セネガルでは縁故採用・家族経営が非常に多いそうですが、それ故に、十分な能力を有した人材で組織されず事業が成り行かなくなったり、逆に能力を持つ人がコネクションがないことが原因で職に就けなかったり…というような事態が往々にして起きているそうです。

その背景には、セネガルの言葉で「テランガ」という、困った時は当然のように助け合うという精神・考え方があり、特に家族や友人を大切にする文化があるように思えます。

「テランガ」は、雇用にポジティブに作用しているケースもあります。例えば、今回の宿泊施設も然りで、近所の若者をスタッフとして雇用しています。この辺りでは、義務教育（高校まで）だけを終えた人が多く、ただでさえ十分な雇用機会がない状況で、やはり都心部でいい労働環境の仕事に就くことは簡単ではありません。そのような中、言ってしまえば、小さな村の、わずか数名の雇用創出かもしれませんが、例えば、運転手として働いている男性は、この仕事をするようになってから、英語をインターネットで独学で身につけたり、お給料で家畜を育てることができたりしています。
今のセネガルにおいて、事業を行うことで雇用を創出し、さらに多くの＋αをもたらしているいい事例だと思います。

また、この話はゲヌの養鶏ビジネス支援や、ゲヌが商品の現地での安定的な生産・避難所の運営開始を目指していることと非常に通じるものがあると私は感じました。

一歩間違えばセネガルの経済発展の妨げとなってしまう「縁故採用」。一方で、「テランガ」の精神は、このように確実に誰かの助けとなっている場面もあるようです。雇用問題は文化とも密接に関係していて、セネガルで一個人ができることを考えるとますます難しい問題だと改めて感じました。

ですが、host sisterのお母さんの言葉を借りると、
　　ー"just do what you can do now" 「今自分ができることをする」

やはりそのような考えのもと行われる取り組みは、少なからず、誰かの何かの"GUÉNEU "「出口」のきっかけになるのでは…と多くのことを考えさせられた村ステイとなりました。