見出し画像

「創作大賞」KV、トロフィー、会場装飾…全デザインの裏側

「創作大賞」とは

インターネットでの創作すべてを対象にした、日本最大級の投稿コンテストです。 第2回となる今回は、16のメディアが協賛し小説やマンガ、エッセイなどさまざまなジャンルで作品を募集。 2023年4月25日〜7月17日の約3ヶ月間で、昨年の約2倍となる33,981作品の応募が寄せられました。

今回はそんな創作大賞を演出した制作物のプロセスについて書こうと思います。

キービジュアル

ロゴを踏まえたメッセージ
今年の創作大賞のデザインが担うキービジュアル(KV)の目的は二つありました。去年できたロゴを活かしながら、昨年のデザインから進化した世界観を表現し、より権威ある賞であることを演出することです。

ポイントは、風格や権威を感じさせるビジュアルを作り出すこと。昨年の伝統的で文学的なテーマからイメージを一新し、黒を基調とした背景に華やかさと豪華さを加える新しい方向性を模索しました。

インスピレーションの源
デザインソースとして、世界的に知られる権威ある賞の雰囲気、特に、文学賞よりも華やかなアカデミー賞やオスカーのようなトンマナを参考にしました。最終的には、アールデコ調の装飾を取り入れることで、この新しいKVを完成させる方向で進むことになりました。

初期段階で皆さんに意見をいただく
Pinterestなどで集めたリファレンス


完成したキービジュアル


トロフィーの制作プロセス

去年に引き続き、受賞者へお渡しするトロフィーの制作を行いました。

デザインは、キービジュアル(KV)の世界観とnoteのブランドイメージが矛盾しないように慎重に考慮しました。
noteのシンプルでありながらも王道なデザインと、マットブラックの質感は生かしつつ、KVのアールデコ様式の装飾やゴールドのアクセントを反映しています。

実現したいデザインと実現できる仕様・予算のせめぎあい

また、このトロフィーには、ダイヤモンドの原石のような意味を中心の真鍮部分で表現しています。黒の部分はアクリル、ゴールド部分は真鍮で構成され、マットな質感を出すために、アクリルに塗装を用いています。

右)素材サンプル。真鍮が見た目よりだいぶ重く、持つとより重厚感がある

文字の部分には、noteのフォント(note-font)を使用し、今回は材質とデザインの関係で彫り込みではなくインクジェット印刷を用いています。モダンで洗練されていながら、風格ある佇まいを目指しました。

ご協力:友成工芸さま

物撮りのプロセスとビジョン

撮影の準備: 今年は撮影に必要な予算を確保できたたため、撮影の準備を同時進行で行いました。

ビジュアルの方向性: 目指すビジュアルは、重厚感がありつつも洗練された品のある王道スタイル。しかし、光沢あるゴリゴリのデザインではなく、マットブラックと鈍い光のゴールドを用いて、シックで品格のある佇まいを目指しました。

背景の検証、クリアな白も捨てがたい/カンプを制作し、事前にアングルハンティングも行った

インスピレーションの源: ビューティー系のビジュアルやマットブラックのプロダクトをリファレンスにしました。白背景と黒背景のどちらにするか迷いましたが、最終的にはカメラマンさんのアドバイスと創作大賞directorの志村さんのご意見もいただき、黒の背景に。

PPM資料

撮影の実施: 授賞式の前日に撮影を行いました。一発で完璧なビジュアルを捉えるのは難しかったため、レタッチで様々な調整を加えることに作戦変更。パーツごとに撮影し、表現したい理想の状態を目指すことになりました。(納品日と授賞式のわずかな時間に撮影も行わなければならず、日程もギリギリでハラハラでした。)

照明やストロボ、アングルを変えながら(久々の撮影楽しい)

レタッチ: 一発撮りだと見せたい部分をそれぞれ都合よく表現することができなかったので、レタッチで背景の光、天面、正面、側面、映り込み、床とそれぞれ別のカットを合成していただきました。
(一発撮りで撮れた雰囲気の違う一枚もいい感じだったので、見出画像に使ってみました。)

一発どりで表現するのは難しかったので、 何枚かの写真を合成


完成!

ご協力:STUDIO LUSH LIFE Co.,Ltd photographer:高橋直也さま


メダルのデザインプロセス

今回初めてメダルもつくることになりました。
メダルをつくるのは初めてだったので、制作いただく業者さんを調べるところから始まりました。3社にコンタクトを取り、問い合わせをしながら実現可能なラインを探っていきました

サンプルを見ながら実現可能なラインとアイディアを模索

今回のメダルデザインは、エミー賞のメダルから着想を得ています。目指すのは、伝統的でありながらもモダンでシンプルなnoteのスタイルを反映し、今回のKVのイメージとも合い、かつ来年以降も創作大賞で使用できる普遍的なデザインにすることです。

フチの厚みや、凹凸がどんな効果をもたらすのかサンプルを見ながら検証する過程

色の選択: 当初は黒の塗装を加える計画でしたが、ロゴがゴールドに塗装されて見えてしまうため、ロゴは無彩色である必要があり、デザインはオールゴールドに決定しました。

デザインプロセス: 実際のモックアップを紙でシミュレーションするのは難しいため、初期のデザインはサンプルをもとに合成し、想像して進行しており、最後まで迷ったのはフチの有無でした。この不確実性を解消するため、CDO自ら直接3Dプリントを用いてシミュレーションを行ってくださったことで、デザインが実現可能&求めている表現になることに確信が持てました。(3Dプリンターのこんな使い方が!大感謝でした)

Slackでのやり取り
きちんとした写真を撮り損ねましたが、、、完成品!

ご協力:青谷製作所さま


授賞式の会場づくり

会場デザインの初期段階: 今年、授賞式の会場づくりにも深く関与しました。初めに、アールデコ調の建物をイメージし、グレートギャッツビーのような華やかな雰囲気を夢見てイメージを膨らませ、その後実際のnote placeに合わせて、より現実的なデザインへと方針を転換しました。

広がる夢、いつの日か、、、

会場を構成するアイテム: レッドカーペットは授賞式感を出る&使用しやすいアイテムなので、会場に絶対入れたい。一方で、イベントチーム協力のもと、会場で実際にシュミレーションしてみたところ、無理に背景の布をつけたり、キラキラ装飾を入れてしまうと学祭のような印象を与えてしまいプロフェッショナル感が損なわれてしまうため、これらを避け、note placeにふさわしい無理のないスタイルを模索しました。結果として、サイドに配置されたプロジェクターとお花が会場の雰囲気を引き立てる上で重要な役割を果たしました。

装飾のリファレンス

会場の花飾り

花の選定プロセス: お花の提案を何度か受けた結果、初期にご提案いただいたのに近いデザインに決定しました。noteのブランドカラーである白と黒を考慮した上で、白ではなく、今回のキーカラーであるゴールドを模した黄色のお花を選びました。ラグジュアリーホテルのロビーのような豪華さと、細かいパーツの美しさをオンシジウムとメラリューカで表現しています。

初め、お花は白をイメージ(お悔やみ感がでてしまう懸念)
左が白ベース、右が黄色ベース

装飾の印象: 納品されたお花の存在感には感動しました。お花は会場に祭典の雰囲気を一気にもたらしてくれました。来年はプロジェクターや本棚の周りにも飾る計画です。

フォトカンプで想像していたイメージのママ!当日の会場

ご協力:シーズン・ハーツさま


その他つくりものたくさん

プロジェクト素材制作:その他細かい作り物が当初計画されていた分だけでも30アイテムくらいあり、たくさんの展開物がありましたが、ディレクターチームの早期で入念な計画の元、粛々と進めていくことができました

最強のなんでもシート一部抜粋

今年はチラシやポスターも作成。これらは社員の母校である大学のキャンパスにも掲示していただくことができました。エモい

ゴールドは特色を使用 / チラシはカフェなどにも設定いただきました、感謝、、、!

当日配布する冊子:授賞式の直前にA1明朝のウエイトが追加発売される!というタイミングだったので喜び勇んで使用しました。
ロゴは秀英明朝をベースに前任者のデザイナーが一からつくったロゴなので、バナーなどでは秀英明朝を使用していますが、冊子はA1明朝と読みやすさを重視し、中ゴシックBBBを併用してデザインしました。
物量はあるので直前で不安もありましたが、久々のエディトリアルデザインは楽しかったです(要素も全部決まっていたのでスムーズに進んだ)
受賞者の方の手元にずっと残るものなので、いい紙を使ってOK by志村さんをいただき、紙の質感と写真の再現性の高いヴァンヌーボVGスノーホワイト130kgの表紙と、中はケント紙110kgを使用(特色は時間の関係で断念)
みなさんの喜びの声がうれしく、つくってよかったです。

今回はインデザインではなく、イラレで制作 /  受賞者の方達のnoteにも!

今回は授賞式にも参加させていただき、心に響くものがありました。
会場の後ろで見守らせていただきましたが、人となりが見える場所でクリエイターさんたちの存在を感じることはとても大事だなと当たり前のことですが、改めて思いました。

たくさんのご協力をいただき、今回も無事製作することができました。
大変感謝しています、ありがとうございました。

これからも引き続き、誰もが創作をはじめ、つづけられるように、デザイン面でのサポートをしていきたいと思います。


もらって帰ってきたお花

長くなりました、おしまい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?