製薬会社の社内講師でぶっこんできた話 「数字」に右往左往させられる国民皆保険制度下の医療難民達

こんにちは。異端の内科医Dr.Dskeです。

某有名製薬会社のMRさんから「社内講師」というのを頼まれて行ってきました。
社内講師とは、製薬メーカーが年に何度か行う社員の勉強会みたいなもので、どなたか医師に依頼して、扱っている製品などに関わる講演をしてもらい、それについて質疑応答を行うクローズな会の事です。

今回私は「私の糖尿病治療」とだけ題して言ってきました。
一般的な糖尿病治療についての話をしながら徐々に話題は「いかに薬を使わないか」「続けている薬をいかにやめるか」という製薬会社で話す内容とは思えない内容へと進めていきました。

例えばみんなが飲んでいる降圧剤。
「血圧130超えたら」という謳い文句で国民に降圧剤を飲ませようとするあれです。聞く話によれば国内の高血圧患者数は4300万人だとかw 大人の半数あまりが高血圧患者である計算になります。実際そうなのかと言えば
高血圧学会が出しているガイドラインで125/75以下に下げるというものがありこれを超えた人を高血圧と定義したらまぁそのくらいの数になるのかもしれません。
しかし現実的に治療が必要な数値なのかと言われたらそんなわけはなく、高齢者であればむしろもっと高い方が安心出来るかもしれない基準が設定されているわけです。
さらに血圧が上がっている原因にアプローチせずに125/75という「数字」だけで薬を飲ませたら、やめたらまた上がるので一生飲み続ける構図が出来上がってしまいます、それこそが製薬会社、学会の思惑なのですが。。。


続いてはコレステロール
「悪玉コレステロールを下げましょう」という謳い文句があります。悪玉が多すぎると脳梗塞、心筋梗塞などの血管が詰まる病気になりやすいからという話。
これ自体は間違ってはいないとは思います。
ただ悪玉が高い人が全員そうなるわけではないという事と、脳梗塞、心筋梗塞の原因になる点ではコレステロールは「悪者」であるかもしれませんが、ホルモンの原料となったり、細胞膜の形成する際に必要なものでもあるという点も考慮すれば、循環器内科医が良く言っていた「lower than better(下げれば下げる程良い)」という事にはならないわけです。


最後に糖尿病
これも食事療法を考える際に必ず登場するのが
「カロリー」です。身長からその人の適正カロリーが計算されますが、出てきた食事を見るとまぁ白米が多いことに驚きます。糖尿病は「砂糖、糖質依存症」であると考えますが、病院の治療食でもかなり多くの糖質が含まれるケースがほとんどのようです。

薬物依存の患者の治療に薬物を摂取させながら治療しようとしているようなものかもしれません(極論ですが)
何が言いたいかと言うと、糖尿病治療という観点からだけならカロリーではなく糖質を制限する必要があります。
ここで再三申し上げている数字の話が出てきます。
「血圧130」
「悪玉コレステロール140」
などと同じように一日のカロリー1800と言われたら
「あー、一食600までなんだな」という風にイメージさせやすいわけです。
しかしこれが「糖質50gまで」となると全くイメージが出来ないわけです。患者はもちろん医者側も。

そして3食を規則正しくというのも良く言われますがおそらくこれもカロリー理論が最も扱い易いのが3食食べる事なのでは?と穿った見方も出来るわけです。

結局はコロナの陽性者数と同じように「数字」を示すと患者は行動するということなのでしょうか。

薬を売る、プロモーションする立場の人間を前にこんな話をしてきてみました(依頼講師なのでお金もいただいています)が意外な程に質疑応答が盛んに行われたのは幸いでした。
「私が患者だったら先生のような考えの方に診てもらいたい」という社員さんもいたのは嬉しい限りでした。

来月以降もそんな依頼が入ってきているので忙しいけどなるべくお受けした広めて行きたいなと思う次第であります。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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