見出し画像

那須さんのサイバーなビジュアルには決意が込められていました

こんにちは、プロボノのぐっちです。
今回は4Heartsの小冊子やりょうさんの記事の見出し画像にもなっていた、
那須さんのサイバーなビジュアルについてです。


小冊子やりょうさんの記事の見出しになっている画像
4Hearts代表の那須さん本人です

りょうさんの記事はこちら。

他にもこんな画像もあります。


秋田の記事を書くためにインタビューした時に、
「スマートグラスを着けているじじばばのイメージがパッと浮かんだ」
と那須さんは言われていました。

以前から那須さんのSF好きは知っていたけれど、
「SF好きなだけで、そんなにパッと”じじばば+スマートグラス”のイメージが浮かぶのだろうか?」
という疑問を感じました。

加えて、那須さんのnoteの記事「沈黙の音の中で、私はサイボーグになろうと思った。#1〜#4」を読んで、ここでも「SF好き」と「サーボーグになろうと思った」の間に距離があると感じたので、そのすき間を埋めようと思い、今回記事にすることにしました。

スマートグラスはなんと! 那須さん自作!
(ontennaについてはこちら→https://ontenna.jp

写真の撮影と画像編集をしてくださったのは写真家のキツネツキさん(https://kitsunetsuki.jp)。
那須さんが以前からキツネツキさんの作品が好きで、面識もないのにいきなり撮影をお願いして撮ってもらったそう。
撮影場所は渋谷のスクランブル交差点です。

なぜSFなのか 〜サイバーなビジュアルの起源〜

そもそも那須さんがなぜSF好きかというと・・・。

子供の頃、マンガはあまり買ってもらえず、家にあるのはドラゴンボールとドラえもんぐらい。それを読んでしまったらあとは読むものがない。
自宅にはお母さんの蔵書があったので、それを読むか、図書館に行くか、学校の図書室に行くか、だったそう。

お母さんがSF好きで蔵書が全部SF小説だったそうで、小3ぐらいで漫画を卒業して、それらのSF小説を国語辞典を片手に読んだのだそうです。
アイザック・アシモフやアーサー・C・クラークの「2001年宇宙の旅」「幼年期の終わり」などなど。
中でもアーサー・C・クラークの「宇宙島へ行く少年」が大好きで、擦り切れるぐらいまで読んだそう。宇宙ステーションに行く夢を叶えた人が宇宙に行った時の感情にフォーカスした内容で、読みながらとても感情移入できて好きだったとのこと。

小4の頃にはハンダゴテを使ってICチップを繋いでロボットを組み立てていたそう。神戸高専(那須さんは神戸出身)がロボコンに出場していたので、自分もそういうのをやってみたいと思っていたそうです。

さらに、
4歳で聴覚障がいとわかってから、晩御飯の時には海外のビデオを字幕で見ていたそうで、ここでも見るのはもっぱらSFアクション系だったそうです。
好きな映画を挙げてもらったところ、
「スターウォーズ」「スタートレック」はmust。
シュワちゃんの「トータル・リコール」、ウォシャウスキー監督の「マトリックス」「クラウド・アトラス」、クリストファー・ノーランの「インセプション」「インターステラー」などなど、次々に出てきました。

小学生で「幼年期の終わり」とか「宇宙島へ行く少年」とか普通は読まないのでは?
国語辞典片手に読んだってことは、よほどピタッとハマったんですね。

サイバーなビジュアルに込められた決意 : 「これが私の価値」「気づいたのだからやるしかない」

那須さんが人工内耳の手術をしたのは2019年1月のこと。
効き耳である左耳が膜がかかったように聞こえづらくなり、仕事でのコミュニケーションが取れなくなってきたそう。

那須さんのように生まれつき聞こえない人は大人になるまでの間に音の記憶があまりないため、人工内耳で電気信号に変えた音がそれまでの音の記憶と結びついて”馴染んでいく”というのがあまりないのだそう。
そのため、大人になってから人工内耳を付けても効果が薄いことが多く、言語聴覚士2名立会いのもとで、効果がみられないかもしれないことに同意する念書を書かされたそう。

でも那須さんは膜が取れて以前の状態くらいに戻ってくれればいいと思い、手術に踏み切ったそうです。(結果、膜が取れて以前の状態に戻りました。)

那須さんが手術をした頃から人工内耳がスマホ対応になり、スマホでボリューム調節や、モード切替え(レストランモード、1対1モード、屋外モードなど)ができるようになったそうで、そうしたことができるということを発信していこうと思い、Twitter(現”X”)を始めたそうです。
そこで、どうせ発信するなら、「カッコいいサイバーな感じでやっていこう」と思ったそう。

人工内耳のスマホアプリのホーム画面

人工内耳は結構パワーがあるそうで、左右のバランスを取るために手術をしていない側(右耳)の補聴器もリニューアルしようということになり、人工内耳の体外装置も補聴器もカッコいい白色に。

左から補聴器、人工内耳、AppleWatch
右が那須さん自作のスマートグラス

手術する時には左耳の上の髪の毛を剃るのですが、これも「そのまま見せていこう」となったそうです。

人工内耳の手術に向けて髪を剃ったところ

こうしてTwitterを始めたとはいえ、
『自分はそんなに積極的に前に出て「見て見て!」というタイプではないので、ただつぶやいているだけだった』
のだそう。

ただのつぶやきの画像がアピールへと転換する契機がそのあと立て続けに起きます。
順を追って並べると・・・

  • 人工内耳の手術したのが2019年1月

  • その年の9月に4Heartsを市民団体として立ち上げ

  • キツネツキさんによる写真撮影

  • 2020年5月に4Heartsを法人化

  • 同じく5月にNoteの「沈黙の音の中で、私はサイボーグになろうと思った。#1」を投稿

  • 2020年8月 茅ヶ崎タウンニュースに那須さんのインタビュー記事掲載

  • 2020年11月 茅ヶ崎のフリーペーパー「Cheeega」からインタビューのリクエストがあり対談

自分をまず理解して、自分を言語化して、自己理解ができたら次は
”これが私の価値なんだ”と認識して周りに提供できるようになる、
そのプロセスというか、決意が、「沈黙の音の中で、私はサイボーグになろうと思った」というタイトルになったのだそう。

加えて、Cheeegaのインタビュアーとの対談の際に、
「前に出てくのは覚悟が必要だが、自分は前に出ていくタイプではない。どうしたらいいか」
と相談をしたところ、返ってきた応えは、
「あなたは問題に気づいてしまったのだから、腹をくくって、やるしかないでしょ。気づいてしまった人はやらなきゃいけないんですよ」
だったそう。

こうしたいろいろなことが複合的に重なって、腹をくくった決意があのビジュアルに込められているとのこと。

ただSFが好きなだけではない、色々な意味があのビジュアルに入っていることがわかって私はとてもスッキリしました。同時にあのビジュアルの見方が変わりました。
それにしても、ちょうど良いタイミングにちょうど必要なことが起きていて、いつもながら不思議に思います。

最後に、インタビューしていて気になったことを聞いてみた

那須さん 小学校の時から「今まで聞こえない人なんか来たことがありません」とか、大学では「今まで聴覚障がい者を受け入れたことがないです」とか言われて、もうずっーとフロンティアを走ってきたような感じ。開拓していくような感じだった。そういう時って余計な注目を浴びるし、目立ってしまうし、それが嫌だった。
だから、大人になって世間に出たら絶対にひっそりと生きていきたいって思ってたんですけど、気がついたらこんなことしてるっていう状況・・・。
ぐっち オリジナルの自分が出てきて、こういう目立つことをしている自分の足を引っ張ったりはしないですか?
那須さん 足引っ張ったりしてると思う。だって本当だったらもっと名刺交換の場にガンガン出て行くとか、もっといろんな人と関わったりとか、いろいろと何か声をかけたりとか、たぶんもっと積極的にやって横の繋がりをどんどん作るのが代表の仕事なんだろうなって思う。だけど、なかなかそうはできてないです。

4Heartsの代表としてアクティブに活動されているので、ガンガン前に出ていく人だと思っていたので、本当はそうじゃないと知ってとても意外でした。
あのビジュアルで那須さんはきっと自分を鼓舞してるんだろうな。

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