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仲間意識もバイアスの一つ

今回も行動経済学(というか心理学)の教訓。

ここまで人間(ヒューマン)は、理性的(エコノ)でないのかと驚くばかりで「行動経済学系」がマイブームです。

さて本題は「内集団・外集団バイアス」

仲間意識を持つこと(「社会的アイデンティティ」ともいう)には「ほとんど根拠はない」ことがイギリスの心理学者ヘンリー・タジフェルによって提言されています。あるのはちょっとしたきっかけだけ。以下タジフェルの実験

(1)互いに面識のない人を集める
(2)コインの裏表で二つの集団に分ける
(3)片方の集団に「君たちは、もう一つの集団がこれまで知らなかった特定のタイプの芸術を好む傾向がある」と告げる

この結果、もう一つの集団のメンバーよりも同じ集団のメンバーの方に親しみを感じるという傾向が得られたといいます。タジフェルは、集団になる根拠が全くないにもかかわらず、仲間意識が生まれるということを証明したのです。

更に困ったこと(時として)に、些細なことにも関わらず仲間意識を持つと別の集団をみんな同じ性質の塊と思ってしまうらしい(外集団同質性バイアス)。これが悪化すると差別的感情につながっていきます。

一方で、仲間同士となった集団に対して過剰なほどの賛同しやすくなる。これが悪化すると極端な右翼的原理主義につながっていきます。

つまり我々は、
仲間意識を持つのは人間の性において必然だが、仲間意識を軸にした思考方法は、理性にバイアスをかけることは意識しておいた方がいい
という教訓。

個人的経験でいえば、きっかけは同じ会社だっただとか、同じ趣味だったとか些細なことでも、経験を共有化すると更に仲間意識は強くなるようには感じます。本来はおかしなことでもついつい仲間内のことであれば「それもありなん」と思ってしまいます。

イマドキは、なんでも「ワンチーム」といって、いろんな集団で仲間意識の醸成花盛りですが、一方でワンチームは内集団・外集団バイアスにかかりやすいので、システム2(意識的思考)を稼働させて真っ当な思考を確保しましょうということです。

*以上「Think Smart 13章:地元サッカーチームを応援したくなるわけ」より

写真:八千代市 新川の河津桜

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