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追悼:稲盛和夫『アメーバ経営』という普遍原理

現役時代、経営企画などにも在籍していたので、どのような経営が理想なのか、会社としてどのような経営を目指すべきなのか、いつも考えていました。

会社のお金でいくつかのビジネススクールにも通わせていただきました。

その中で、一番と言ってもいいぐらい深く共感したのが、稲盛和夫のアメーバ経営。

一人一人が自ら考えて行動し、その結果がちゃんと数字で明確になること。これがアメーバ経営のキモ。現場が主役の採算管理です。

これを自分の会社でやってみたい。ぜひトライしたい、ということで、小売業に勤めていたので、全ての営業活動を売上視点から利益視点に変えるべく、売場単位の収支を算出する仕組みづくりのプロジェクトなどにも運良く参画。

残念ながらこの仕組み(管理会計)は完成したものの、現場は自分の組織の収支がガラス貼りになることを望んでおらず、結局あまり使ってもらえずじまい(一部のマニアックな従業員は喜んでましたが)。つまり私の勤務先では、おおよそは失敗してしまったわけです。

ほとんどの現場は「自分の仕事がどれだけ儲かっているか、は知りたくなかったし、興味もなかった」のです。むしろ「わからない方が良かった」と言った方がいいかもしれません(この姿勢自体を変える方が重要だったのですが、しがない一企画担当としては、そこまでは力不足でできませんでした)。

理想の管理会計だけを整えても、そこに魂が吹き込まれなければ、その仕組みは生きません。特にアメーバ経営の特徴の一つ「部門別採算制度」は「自分とこだけが儲かればいい」というような、ややもすれば独りよがりになる可能性もあります。

だから稲盛さんは経営トップの立場として、アメーバ経営という独創的な管理会計を整える一方で、「利他」の精神で本当にこの仕事が社会にとって(会社でないところがミソ)役に立つのか?その視点で現場の一人一人に納得してもらえるよう、常日頃から訴えていたのでしょう。

多分、私のように稲盛和夫のアメーバ経営に共鳴したビジネスパーソンはたくさんいると思います。そして彼の考え方は、時代や地域に関係なくどんな経営でも通用する普遍的な原理ではないかと今でも思います。

稲盛和夫さんに感謝です。ご冥福をお祈りいたします。

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