見出し画像

「ギリシア神話」のたしなみ

ギリシア哲学理解の一環として、ギリシア神話の全体像を掴むべく購入&読了。

著者自身あとがきで「骨と皮ばかり」と述べているごとく、膨大なギリシア神話の世界を新書1冊で収めるのは無理があり、神々と英雄の名前を追っかけ続けて追っかけ続けて、そのまま読み終わってしまう、という印象。1964年出版の新書なので致し方ない。

これではどうしようもないので、途中から神々と英雄の系図を自分で作成しつつ通読する方法に変えてみたら、なんとか大雑把には全体像が理解できたという感じ(下図参照)。

スクリーンショット 2021-02-16 12.57.34

何しろゼウスは、とにかく女好き。ゼウスの子供がごまんといるので、これがまたややこしい原因。

スクリーンショット 2021-02-17 15.31.07

名称も、ギリシア語読みをそのまま忠実に守っているのか、通常ローマ名や英語などで使われている名称とは若干違っていて、これも読んでいて辛い状況。

そこで三省堂神保町本店にていろいろ探した結果、以下「世界一よくわかる!ギリシャ神話キャラクター事典」購入。確かにこっちはよく分かります。キャラ別の特徴と名画にネットフリックスやディズニー動画など、今に通じる作品の紹介はもちろん、主な神話の図解や神話の世界地図なんかもあり、非常に分かりやすい。これはおすすめです。

とりあえず重要な神&英雄をピックアップしてその特徴をメモ。

■ゼウス(ラテン名:ユピテル、英語名:ジュピター、以下同様)。
大地=ガイアと、天空=ウーラノスの娘レイアークロノスの末子。父クロノス(&ティタン神族)と戦い、兄姉を父から助けるなど、最強の神となったことからギリシア神話の最高神として君臨アポローンアテーナーヘラクレートスなど子だくさん。父クロノスに勝利後、大地はゼウス海・川・湖は兄のポセイドーン、冥界は同じく兄のハデスが治めることとなる。

■ポセイドーンネプトゥーヌスネプチューン
ゼウスの兄。ゼウスに次ぐオリュムポスの神。海などの水の支配者。大地と地震の神、馬の神。怪物(ミーノータウルス等)や野蛮な人間を子供に持つのが特徴。我々の世代的にはアニメ「バビル2世」で登場するキャラ。ディズニーで登場するトリトンは、ポセイドーンの子供。

■ハーデース(プルトー、プルート)
ゼウスの兄。冥界を支配する不吉な神。姪ペルセポネを妻にすべく拉致したため、怒った豊穣の神、ペルセポネのお母さんデメテル(ゼウスの姉&愛人)がペルセポネの父ゼウスに訴え、ゼウスがハデスと交渉して半年だけペルセポネを自然界に戻すことで、季節が生まれたといいます。

■へーラー(ユーノー、ジュノー)
ゼウスの正妻にしてお姉さん。オリュンポスの女神中、最大の女神で浮気ばかりの夫ゼウスに対する嫉妬心でいつも大変な状況。サモス島・アルゴス地方からの崇拝。天の川を英語で「ミルキーウエイ」というのは、天の川はゼウスがヘラの寝ている間に出させたヘーラーのお乳だから。ヘラのお乳を飲まないと神になれなかったので、ゼウスが愛人の子供たちに飲ませようとしたからです。

■アプロディーテー(ウェヌス、ヴィーナス)
愛、美、豊穣の女神。ウーラノスの男子局部が息子クロノスに切除され、放たれた精子が海と受精して誕生したという、なんとも神話らしい産まれかた。あの美しいボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」はその後の様子を絵に表現したわけです。キュプロスのパポス、アマトゥース、ペロポネソス南方のキュテー島、コリントスなどから崇拝。スパルタの戦争の女神。キューピッド(エロス)は息子。

■アポローン(アポロ、アポロ)
デルポイの神殿の守護者。太陽、予言、音楽、医術、弓術、家畜の神。化け物ティトゥオス退治。疫病によって人を罰する。ピュータゴラース派の崇拝の中心。ソクラテスがデルポイで信託を受けたのもアポローン。

*今のコロナ禍もギリシア神話に基づけば「アポローンが人を罰している」ということになります。

■アテーナー
アクロポリスの守護の女神。織物、陶器、冶金、医術、その他技術の更に戦の女神。アテネのアクロポリス守護神

■ヘレーン
男神プロメーテウスの孫。ドーリス人(スパルタ)、イオーニア人(アテネ)、アイオリス人(レスボス&アナトリア)、アカイア人などギリシア諸族の始祖は、ヘへレーンの後裔とされている。したがってギリシア人は自称ヘレネスと呼んでいるのも、ヘレーンからきているということ。

他にも数え切れないほどの神々&英雄がいますが、紹介はこの程度。

彼らは神話の登場人物としてスーパーマン・スーパーウーマン的存在として、人間の喜怒哀楽をそのまま体現した存在。ヒンドゥー教や北欧神話、日本の記紀神話など、他の多神教と同様、神々の人間臭いところが、とても面白い。しかもどこまでが神様でどこからが人間か、あるいは半神半人か、ちょっとわかりにくい。

地方ごとに崇拝されている神々があって、アテネならもちろんアテナーイ(女神)。イタリアサッカー、セリエAの注目株アタランタ(本拠地ベルガモ)は、女神アタランテーから来ているのですね。足が速かったというアタランテーですが、どのような理由でギリシアの女神をクラブ名に使ったのかは不明。そしてオランダの名門アヤックス(本拠地アムステルダム)は、トロイ戦争で活躍したギリシア戦士アイアスから。

別途、中田敦彦のYouTube大学も試聴してみましたが、キャラ強すぎて個人的には長時間視聴するにはちょっとツラい感じでした。

ギリシア神話に興味があれば、まずは「ギリシア神話 キャラクター事典」をお勧めします。

*写真:2007年 バチカン美術館 ラオコーン像










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?