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吹っ切れるきっかけをくれた恩人

「もう、いいんじゃないですか?」
何度も何度もお世話になったカウンセラーの方がある時そう言ってくれた。

常に眠たそうな表情で、柳に風といった印象(スミマセン)のその方は、

「もうそんなに自分を責めたり、一生懸命やろうとしたり、積極的とか、キャリアがどうしたとか、そんなことは考えなくて、もういいんじゃないですか。好きなように生きていきましょうよ」

泰然自若とした感で、そんなふうに、ゆったり、じっくり、そして染み入るように話してくれた。

認知行動療法という言葉も方法も初めて知った。匙を投げずに根気よく教えてくださった。今ではカウンセラーという立場を超えて個人的に「緩いおつきあい」をさせていただいていると勝手に思っている。

自分では気にしていないと言いながら、周りの評価に(一喜)一憂してみたり、まだ取り掛かってもいない仕事に過度な心配をしてみたり。いろんな懸念を自ら探しだし、小さなことでクヨクヨする。自分では重大に思うことでも、他人から見たら「?」のようなことばかりなのだろう。

そんな自分の性格や考え方を理解してくださったうえで、投げかけてくれたアドバイスだった。

知らない間にがんじがらめに固く絡まった結び目の、一番上がひとつ解け、
長年落ちることのなかったシミのようなものが、少し滲んでいった瞬間だった。
「ふぅーーーーーーーーーーーーーー」と深呼吸をしてみた。

後から分かったことだったが、自分が飼っていた「黒い犬」はその時少し、だが確実に小さくなった。

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