聞かれてないことを喋るひとは信用できる

聞かれていないことを話すと「きいてないから」と言われる。そりゃそうでしょう?だって聞かれてないんだから、聞かれてないこと喋っちゃだめよね、どうだろう。そうでしたっけ?聞かれていないことは話しちゃダメなんでしたっけ?

自分の身の上話だとか、自慢話だとか、ぺらぺらとよく喋るひとがいて、嫌われている。いつからか日本には、「聞かれていないことを話すと嫌われる説」が根付いている。「会話は傾聴が9割」、上司がやってはいけないことランキング、「自慢してはいけない、説教してはいけない、昔話をしてはいけない」など、信憑性が怪しい9割本や、TikTokで流れる所ジョージの教えなどがまかり通る世界だ。いつから、言いたいことが言えない世の中になったのだろうか。

幼少期に剣道の道場に通っていた。日曜午前の稽古が終わると、先生たちは近所の公園で缶ビールを飲み始める。われわれ子どもたちは公園でかけっこをしたり、公園の真ん中にあるプリン型の山に登ったり滑ったりして遊ぶ。おやつ休憩をとりながら、赤ら顔の先生たちと話していると、聞いてないことをたくさん話してくれた。よっぱらっているのか、何度も同じ話をするのだが、子どもの自分にたくさん話してくれることは嬉しかった。剣道の話も、学校や人生の話も、下ネタもセクハラもたくさんあった。とても楽しい思い出だ。

「聞かれていないことは話さない」文化に慣れてしまうと、「聞かれるまで黙っとく」を美徳とするひとが増える。みんな空気を読んで無口だ。話したいことがあっても、自分からは話せない。つまり、聞き手が引き出さないと会話にならない。「会話は引き出し方が9割」なのだ。なんて面倒な世界だろう。ほしい情報も、ほしくない情報も、なんでもかんでも自発的に話してくれるあのおじちゃんたちが喜ばれる時代がきているように思う。聞いてないのになんでも話してくれるなんて、なんてコスパがいいのだろう。

話を戻そう。みんな自分の話をしてくれない。聞かれなければ話さない。どんなに悪どい思想の持ち主でも、詐欺師でも、聞かれなければ話さない。後々トラブルになったとしても、「聞かれなかったから話さなかった」がまかり通る世界になってしまった。詐欺師が詐欺を働きやすい世界だ。

そしてつっこみ大国だ。「こいつなんの話してんだ?」とか、「いやきいてないからー!」というツッコミが一般化するほどお笑い大国になってしまった。私の瞬発力どうよ、つっこんでやったわよ、お笑い偏差値高いでしょと、聞いてないことを話すやからに即座に突っ込めるほどのお笑いスキル、常にお笑いアンテナを張っているようには見せない。ガツガツしてないけど気づいちゃうのよ、あたし。もはや聞かれていないことを話すオヤジより、「そういうの気づいちゃいますの人」の方が気持ち悪い。聞いてないことをなんでも話してくれる人が好きだ。駆け引きしない、裏表のない、聞いてないことを喋り続けるうざいやつが好きだ。

今日も、最後まで読んでいただきありがとうございます。嫌われる勇気をもって、自分のことをさらけだそう。

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