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別に知らんでもいい神たちの話

おそらくあなたは知りますまいが、かつて人の

心の内には、小さな神様の国がございました。 

そこに住むのはアホの神とただの神。

ふたりはいつもお互いを罵りあっておりまし

た。

「お前はなんでそんなこともわからないんだ。

 本当にお前はアホだ。」

「いやいや、お前こそ、なんでそんな特徴がな

 いんだ。お前は本当に語るほどの価値もな

 いただの神じゃ」

そんな調子で2人の神はこんなくだらないこと

で日々言い争っておりましたが、事実この国は

ふたりの神によって泰平に治っておりました。

ところがそんな穏やかなこの国にとある変事が

起こったのです。

いつもの如く、ふたりの神が互いを罵り合って

おりますと突如としてふたりの前にひとりの神

が現れたのでした。

「お前さんたちは本当にくだらん。そんな呑気

 に過ごさずに、もっと展望を持て。」そう言

ってひとりの神は、アホの神とただの神に展望

を渡して消えた。

「展望とはなんや?、うまいもんかもしれん。

 わしがひとつ食うてみよう」

そう言ってアホの神は展望にかじりついた。

それを見た、ただの神はアホの神と同じように

ただただ展望を食べた。

おそらくあなたは知りますまいが、私たちが生

きる世の中が、どうも複雑になってしまったの

はこの呑気な神たちが展望を食べてしまったか

らなのです。

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