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正しい人を正しく巻き込む技術

はじめに

こんにちは。カミナシでPMをしている後藤といいます。

現在、新規事業に携わりつつ、さまざまなお客様や社内メンバーと協力して、プロジェクトの成功を目指して日々奮闘しています。
PMは、多くの関係者を巻き込みながら、複数のプロジェクトを立ち上げ、推進することが各所で発生します。
プロジェクトを成功に導くためには、適切な人材を効果的に関与させる技術が欠かせません。この会社に入社してから、いくつかの失敗を経験しながら、最適な進め方を模索してきました。

失敗を繰り返す中で、自分の中で「これはどのプロジェクトでも意識しないといけないな」と思えるポイントがいくつかあったので、今回記事におこしてみました。

この記事では、プロジェクトをスムーズに進行させ、予期せぬ障害を回避しつつ、目標達成を目指すための手法をご紹介します!


途中で起こる突発的な反対意見や「聞いてなかった」を無くす

プロジェクト進行中には、予期しない問題や反対意見がしばしば発生します。
PMでよくある「聞いてなかった」には、例えば以下のような問題が起こります。

例1: スコープに対する誤解

プロジェクトのスコープが十分に共有されていなかったため、開発チームが必要とされる機能を超えた製品を開発してしまった。開発途中で、顧客から「この機能は要求していない」という意見が上がり、社内リソースの浪費を招いてしまった。

例2: スケジュールに対する誤解

プロジェクトの納期について関係者間での合意が十分に取れておらず、進行中に「その日程では無理だ」という声が開発から上がった。
結果として、プロジェクトの全体スケジュールが遅れ、顧客への価値提供が遅れてしまい、信頼を損ねてしまう。

例3: 成果に対する期待値のズレ

顧客との間でプロジェクトに対する期待値や成果物の比較基準が明確に設定されていなかったため、途中参加者が他のプロジェクトと比較しやすい状況が生まれた。
比較対象のプロジェクトとは性質が異なる場合でも、具体的な評価基準や成果の重要性が共有されていないと、誤った判断を下されてしまい、解約に至ってしまう。

どの問題も、適切な関係者を適切なタイミングで巻き込み、誰とどのようなことを認識を合わせて進めるかの設計が不十分であるために起こります。

これらの問題を効果的に管理するためには、プロジェクトの初期段階でしっかりと計画を立て、全関係者が同じ情報を共有している状態を作ることが重要です。
これから、プロジェクトの設計と遂行において注意すべきポイントを詳しく説明していきます。

向かうべき方向、ゴールを定める

プロジェクトのゴール設定は、その成功を左右する重要な要素です。ゴールは明確で達成可能でなければなりません。

目標設定は、SMARTやHEARTなど様々なフレームワークがありますが、僕の中で何よりも重要だなと思うのは、

「その時巻き込むべき関係者と目指す姿を正確に捉え、共通認識にできたのか?」

がとても重要だなと感じます。

かつて、自分が考える理想の目標を設定し、他の関係者との対話が少ないままプロジェクトを進めた結果、重要な関係者の認識がずれプロジェクトが進行してしまったことがありました。

全員の認識がずれている図(「6人の盲人と象」より)

自分がイメージする「理想の姿」が、全員の共通の目指すべき方向として受け入れられず、これが逆に関係者間での溝を深め、共通言語として機能しない問題が発生しました。

その結果として...
・一部の関係者は、目指すべき姿を大きく捉えており、結果として実際の成果との間に期待値のずれが発生する
・また他の関係者は、目指すべき姿が全く異なる方向を向いているのではないかと疑問を持ってしまう

など、各種関係者と認識の齟齬が起こり、なかなかうまく物事が進められなくなった経験が多々あります。

このようなミスを避けるためにも、特に重要だと思うのは、関係者との対話や、進め方や認識を揃えるための細かなフォローやコミュニケーションを尽くすことだと今は強く感じています。

では、このようなプロジェクトの進め方はどのようにしていけば良いのでしょうか?
私が上記で困った際に、社内のメンバーが教えてくれた効果的な型がありますので、型にそってご紹介します!

プロジェクトの進め方の型を知る

プロジェクト進め方の型

プロジェクトをうまく進めていく上で、以下と認識を合わせていく必要があります。

1. 目的
2. スコープ
3. スケジュール
4. 体制

それぞれに対して、自分が実践する中で思ったことや、重要だよなと感じるポイントを書いていきます。

1. 目的の設定

プロジェクトの目的設定では、その核となる価値を定義します。
BtoB SaaSを企画する上で良く現れるシーンとしては、提供されるサービスや製品が解決すべき具体的な問題や課題を明確にし、それにどのように対応するかを決定することが求められます。

目的を設定する際に注意すべき点は、一つの問題や課題に固執せず、途中で発生する不確実な事態にも対処することです。

関係者の方は、日々様々な問題や課題に触れ合って仕事を進めています。

プロジェクトを進める中で、どのような進め方をしていても、自分が予期せぬ問題や課題に遭遇する瞬間が必ずあります。
目的を一度決めた後にそれを変更せずに進めると、プロジェクトの実態との乖離が生じ、気づいた時には認識の大きなズレが発生していることも少なくありません。
そのため、状況を常に観察しながら相手と細かいすり合わせを重ねて、時には方向を変えていきながら柔軟に対応することが求められます。

問題が起こっている要素や原因を掘り下げて目的を整理
業務フローを整理して、業務の全体像や課題を把握

・どの問題・課題が最も優先度が高いのか
・なぜ問題・課題が起こっているのか
・どこで問題・課題が起こっているのか
・この問題・課題は誰が関わっているのか
・いつこの問題・課題が発生しているのか

上記のように問題や課題を関係者と話す前に構造的に仮説を組み、関係者と一緒に議論しながら目的を定めていったり、業務全体像への解像度を上げていく。
もしプロジェクト途中で認識にズレがあるようだったら、早めに方向転換するための計画を考えて、実行に即時で動く。

決めた目的に疑問を持ち、実行中に方向修正を加えていくことで、最も確からしい目的を関係者と一緒に推進していくことが必要だと感じます。

2. 対象範囲(スコープ)の定義

スコープを定義することで、自分たちが提供できることと、相手の期待値をうまくすり合わせることができます。
このスコープをきちんと押さえることにより、多数の不要なリソースを割いてしまうことや、逆に必要な要件が全く満たされていないなどのがっかり要因を最小限にすることが出来ます。
個人的にはPMとしてはここがとても肝心で、やるべきこと以上にやらないことをすり合わせることに各自のコミュニケーションの差異が現れてくるなと感じます。

ここで個人的に重要だなと思うポイントは、
『スコープに迷いが出た時には、複数の選択肢を自身の中で候補を持ち社内外で対話して決定へ持っていけたか』
だと、強く感じています。

たとえばPMとして機能の必要性に迷った際、例えば比較軸として、以下の点を考慮して進める必要があります。

・この要件が顧客にとってなぜ必要か、その背景にある問題や課題は何か。
・この問題や課題を解決するための可能な解決策はどのようなものがあるか。
・各解決策を採用する際のコストはどれくらいかかるのか。

各問題や課題に対する捉え方も一つの視点からではなく複数の視点から覗くこと。
また、解決策においても1つの選択肢だけではなく、複数の選択肢を持つことにより、判断軸となるための情報も厚くなり、判断に困らない状態になるように感じます。
如何に手元に選択肢を持てるかが勝負所です。

3. スケジュールの計画

プロジェクトのタイムラインを設計する際には、各タスクに必要な時間とリソースを考慮してスケジュールを作成していきます。
プロジェクトの優先順位を考慮し、「相手が実現したいと考えているスケジュールに沿った提案ができているか」という点を意識しながらスケジュールを計画していきます。

外部の関係者に関しては例えば:

・繁忙期と重なっていないか。
・人員や端末の準備など、各種事項の調整が現実的な計画であるか。
・相手が期待する成果とスコープ、目標期限が一致しているか。

社内の関係者に関しては例えば:

・開発見積もりが現実的でなく、無理な状態で提案していないか。
・スクラムを進める中で、提供時期に変動が生じた場合に調整が可能かどうか。

さまざまなポイントを検討しながら、誰がどの範囲まで対応を担当するかを明確にしていく必要があります。スケジュールが決定されれば、その後の体制作りを進める必要があります。

4. 体制の構築

先に定めたスケジュールに基づいてタスクを推進する担当者を、各関係者との相談を通じて決定する必要があります。

また、細かいタスクが発生することもありますが、その際にはタスクに対する理解が深い適切な人に依頼することが重要です。そうしないと、プロジェクトの巻き戻しのリスクが発生する可能性があります。

タスクの特性を理解しつつ、適切な人へのアサインを行い、場合によってはPMもボトルネックとなりそうな箇所に積極的に介入して問題を解決することが重要です。

プロジェクトの進行をスムーズにするため、障害となる要因を除去しながら最適な体制やチーム構成を社内外で構築していくことが大切です。

「話すべき時に」「話すべきことを」「話すべき人に話す」

上記のようなプロジェクト進行のための型を守りつつ重要なのはやはり

『対話する相手の立場にたち、細かくコミュニケーションを取り続け、実行に移せたのか』
に尽きるなと思います。どれだけの相手とどれだけの量対話を進めて来られたのか、それらを実行にうつせたかが結果として正しく物事を進めていけるポイントだと思います。

プロジェクトに関わる全ての関係者の期待値や自分たちが提供できることを正しく理解し、それに応じて適切な情報を適切なタイミングで適切な人へ伝えて、行動に移していく。

「話すべき時に」「話すべきことを」「話すべき人に話す」

この繰り返しで、スムーズなプロジェクト進行を実現できると思います。

最後に

今回、正しい人を正しく巻き込む技術について最近教えてもらったり実践しながら感じたことを記事に書いてみました。

ただこの進め方自体も銀の弾丸的に使えるものではなく、やはり相手との対話を積み重ねていく中で、実行し適宜方向転換していきながら、相手を巻き込む必要があります。

一つ一つのコミュニケーションに頭を使って思いやりとプロ意識を持って会話を尽くすこと。

これがとても重要だなと強く感じます。

今後も社内外を問わず、適切な人を巻き込みながら、事業に貢献する製品企画を推進していきます!

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