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【アーセナル】PremierLeague/第8節/vsTottenhamHotspur(H)【ごとこの備忘録】

ARS 3-1 TOT
ARS:トーマス 20' ジェズス 49' ジャカ 67'
TOT:ケイン 31'

はじめに

 W杯の選手選考前最後の代表ウィークが明け、いよいよ戻ってきたプレミアリーグ。第8節は現在首位のアーセナルと3位のトッテナムによるノースロンドンダービーが幕を切るということで、近年でも最高潮の盛り上がりになることは間違いない。

 コンディション面では、怪我が危ぶまれたトーマス、頭部の外傷があったティアニーらが無事帰還、冨安も代表途中離脱という万全の措置を取っており、長期離脱中のエルネニーとトレーニング中の負傷によるセドリック、それと鼠径部の痛みに伴う手術を敢行し12月までの離脱が発表されたスミス=ロウ以外は全員フィットしているといったアーセナル。

 負ければ順位が入れ替わってしまうという背景もある中で、好調のジェズス、マルティネッリらが率いるスピード感あるダイナミックな攻撃陣が得点を重ね、またトッテナムお得意の撤退守備からのロングカウンターをこれまた好調のサリバ、ガブリエルが率いるバックラインが完璧に摘み取ることで何もさせない、そういった圧勝劇をホーム・エミレーツにて繰り広げたいところ。

各選手の評価

GK アーロン・ラムズデール

・スパーズのカウンター後における鋭いフィードによって盤面をひっくり返すシーンが散見され、ポジトラ時の素晴らしい旗手となっていた。また、オフサイド疑惑のあったセットプレーを神セーブで防ぐなど、ケインにPKを決められたシーン以外は失点の匂いがしない良い活躍であった。

LSB アレクサンドル・ジンチェンコ

・試合前半のビルドアップ時はおそらくリシャリソンのマーク基準をずらすためにいつもより絞らずガブリエルと距離を取る立ち位置に調整するなど、ボールを持たずとも試合を支配しようとする意識が見られた。ただ、高いキック精度やサッカーIQとは引き換えに、ボールロストや守備強度の低さが露呈するシーンが何度かあり、彼の弱点が加入後一番出てしまう試合となってしまった。対ビッグ6戦はティアニーの起用も十分考慮しても良いのではないだろうか。

LCB ガブリエル・マガリャンイス

・正直活躍するシーンをあまり見せられない試合となってしまった。攻撃面では悪くなかったもののスパーズの速攻に対処しきれない場面が多く、刈り取ることもディレイさせることも中途半端で残念な対応となった。更にボックス内で我慢しきれずスライディングからPK献上、スパーズの同点弾をも演出してしまった。ディフェンス陣のリーダーとして次節からは心機一転、またいつもの安定感と得点力を見せつけてほしい。

RCB ウィリアム・サリバ

・相方が不調ならば俺が頑張ると言わんばかりのサリバ。試合を重ねるごとにベストゲームなのではないかと本気で思ってしまうほどの完璧な試合運びを今日もグーナーに見せつけた。今節は何よりもまず鬼の落ち着きっぷり。被カウンター時には全てクリーンに刈り取って決定機を作らせず、また奪うだけでなくボールコントロールしてきちんと攻撃まで繋げてしまうところがケチのつけようがないところ。プレミア1年目&初のノーロンということを一切感じさせない存在感を試合を通して発揮した。これが21歳…末恐ろしい。個人的MOTM。

RSB ベン・ホワイト

・特段悪いところもないというのが印象で、こう書くと一見平凡なパフォーマンスだったのかと思われてしまうが、SBに対する要求度の高いアルテタアーセナルにおいて本職ではないホワイトがその役割を務めきれているのが凄いところ。中央での組み立て参加に適切な頻度・スピード・タイミングのオーバーラップ。ホワイトの頭の良さに伴う適応力を今節も遺憾なく発揮させた。冨安をいつスタメン復帰させればよいかアルテタは良い意味で頭を悩ませているに違いない。

DMF トーマス・パーティ

・前節は怪我明けの影響と思わしきシーンが見られたがなんのその、中盤における圧倒的な支配力を発揮していた。こう、トーマスがいるだけで攻守ともに90点台をキープできるとでもいうのか、高水準な試合内容を演出できてしまう、まさにチームの心臓。またアーセナル加入後、数えきれない程宇宙開発してはグーナーの頭を抱えさせたミドルがエミレーツスタジアムでのノースロンドンダービーにて遂に枠を捉え、GOTS級の先制点をマークした。データによるとなんとボックス外からの通算シュート数65本目における記録らしい。

LIH グラニト・ジャカ

・気づけばジャカ-ジェズスのホットラインを形成し、アーセナルの攻撃に厚みを持たせるために不可欠の働きをしているジャカ。惜しくも外れたジャカ砲がありつつ、先制後すぐに円陣内で檄を飛ばすシーンが前節に続いて見られ、プレー・メンタル面共に主柱となっていた。また勝利を決定づける3点目も記録、文句なしの試合となった。

RIH マーティン・ウーデゴール

・代表ウィーク直前に復帰した我らがキャプテン。今節はトーマスあたりの低い位置まで下りてくることも多めで、いつものようにあちこちに顔を出しては効果的なパスを供給することに尽力していた。特に撤退守備のチームに対して良く効くファーに巻いて落とすパスは、ゴールこそ生まれなかったもののスパーズの守備陣にとって常に脅威になり続けていた。

LWG ガブリエル・マルティネッリ

・裏街道へのチャレンジなど今日もパワフルな持ち運びを試合終盤まで見せつけたガビ。中へ切り込みスパーズ守備陣の目線をごっそり集めさせたことによってフリーになったジャカ弾の演出や、高いボールキープ力から我慢できずに踏みつけに行ったエメルソンに対してレッドを出させるといった試合を決める決定的な仕事をいくつも行っていた。

RWG ブカヨ・サカ

・いつもよりも大外に張るだけでなく中へ積極的に切り込む動きを見せ、今シーズンここまで一番といっていいキレあるドリブルを幾度も成功させていた。試合を通してペリシッチ、ラングレらに質的優位の状況を押し付け、そのまま抜いても良し、またホイビュアがサポートに来れば空いた中盤へカットバックしても良しとスパーズ目線では非常に鬱陶しい存在であったに違いない。結果2つ目の選択肢からトーマスのミドルも演出した。

CF ガブリエル・ジェズス

・受けてからの素早いターンと攻撃加速、自陣へのプレスバックからボール奪取。数あるジェズスの良いところの中でも今節は特にこの二点が目立っていた。またそれでいてボックス内へ侵入も怠らないため、結果サカのカットイン弾のこぼれを押し込むことで勝ち越し弾を演出するなどストライカーとしての役割もしっかり全うしており文句なしの一戦となった。

全体の雑感

  立ち上がりからゲームを支配、全グーナー待望のトーマス弾炸裂で素晴らしいスタートを切ったものの中々追加点を奪えず、逆にダービー特有の空気感にあてられスパーズの多彩なアタッカー陣によるカウンターに晒された結果PK献上で追いつかれるというなんとも煮え切らない前半。その後も不可解なファール判定に悩みつつも、後半立ち上がりから新エースジェズスが勝ち越し弾を記録、エメルソンの退場もありつつジャカの3点目で最高潮の盛り上がりを見せたエミレーツと、ダービーらしいカタルシスを感じる一戦となった。

試合展開

 ボールを持って支配的に進めたいアーセナル、リトリートから速攻に繋げたいスパーズとおおよそ予想通りの展開となった。

 アーセナル側としては、まず守備面において、ジャカがジェズスと共にCBにプレッシャーをかけることで各エリアにて数的同数プレスを確立させ、詰まったスパーズが長いボールを蹴ってきてもラインコントロールでオフサイドを誘発した。ここはユナイテッド戦の反省を活かせた場面であり、アーセナルのようなハイプレス志向のチームとしてはクリアしておきたい題目であったためここは良かった。

 また攻撃面では撤退守備をしてくるチームに対していくつかの解答を示せた前節ブレントフォード戦に続き、今節も相手WB/CBに対して質的優位を獲得したサカ、マルティネッリの揺さぶりによるブロック引き延ばし、また、守備者の目線移動を強要させるようなファーに巻いて落とすパスをサカ、ウーデゴールが何度もチャレンジしておりどちらもブロック破壊において一定の効果を発揮していたように思う。

 スパーズ側としては、カウンター発動時に特にリシャリソンの踏ん張りがききキープしたところから展開、前節ハットトリックを記録し復調の兆しを見せたソンによるほぼ独力の持ち上がりがシンプルながらもアーセナル守備陣にとって脅威になり続けていたように思う。ダービー特有の空気感も相まって、トランジションが速いテンポで繰り返される状況はスパーズにとって追い風となっていたが、ガブリエルはともかくサリバがこれをほとんどシャットダウン、ゴールの匂いがするようなシュートを打つには至らなかった。

 また、今節はいよいよ突入する10月の超過密日程に向けて早めに交代カードを切れていたのも良かった。トーマス、ジンチェンコを70分あたりでサンビ、ティアニーに変えていたところはサブの投入が遅いアルテタの成長ポイントというべき部分で、二人とも代役を全う出来ていたように思う。さらにその後入ったエディは両チーム疲弊した試合終盤においてプレーエリアを単独でがっつり引き上げることが出来、ヴィエイラもトランジション場面で活躍していた。勿論締めの冨安も健在である。

さいごに

 いやー、無事勝てて本当に良かった。これで我らがアーセナルは依然首位をキープ、スパーズにも勝ち点差4を付けとりあえず一安心といったところか。

 次節は対リバプール(H)。いつもなら敗色濃厚となるこのマッチアップだが、リバプールは今季ここまで中々波に乗り切れていない現状。執筆現在行われているリバプール対ブライトンでも、開始早々ブライトンに2点決められる苦しい展開となっており、まさに叩くなら今!といわんばかりである。

 トーマス、ウーデゴールらチームの中心選手を欠かさなければどんなチームにも勝てるという自信がついた今のアーセナル。無敗記録こそ途絶えているものの、開幕から首位をひた走るその実力と精神でPL優勝候補であるリバプールを叩きのめしたい。


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