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【アーセナル】PremierLeague/第26節/vsBournemouth(H)【ごとこの備忘録】

試合前展望

 前半こそ苦戦を強いられたものの終了間際に叩き込んだ2点+後半の2点で結果として4発大勝を収めたエヴァートン戦から中2日。昇格組ボーンマスとの今季2戦目がやってきた。

 前節同様、優勝を決めるうえで現在降格圏に沈むボーンマスをホームに迎えての試合で必ず勝たなければならない試合。直前のシティvsニューカッスルはシティが堅実に2得点を収め勝ち点差を一時的に2pt差へと縮めている。プレッシャーがかかるだろうがなんとしても勝ってほしいところ。

試合結果

 間違いなく歴史に残る、とんでもない試合を見てしまった…グーナーで本当に良かった。

ARS 3-2 BOU
ARS:トーマス 62'(Aスミスロウ) ホワイト 70'(Aネルソン) ネルソン 90+7'
BOU:ビリング 1' セネシ 57'(Aロズウェル)
PL公式MOTM:ホワイト
Arsenal公式,個人的MOTM:ネルソン

https://www.premierleague.com/match/75161

スターティングメンバー

左アーセナル、右ボーンマス

試合展開

 いきなり、何の突拍子もなく、試合開始直後のアーセナルの一瞬の隙を突いたところからスコアは動いた。

1' キックオフから右大外へ展開、エリア内へ放り込んだボールにビリングが抜け出して合わせボーンマス先制

 完全に意表を突かれた格好。クロス前のジンチェンコの対応、エリア内で選手間をすり抜けて入ってきたボールの処理が出来なかったバックラインたち、みな気を抜いていたことは否めないだろう。

 そしてボーンマスにとってはまさに狙い通り。得点できればラッキー、くらいで捉えていたであろうキックオフ直後のデザインされた先制パンチで見事先制点を奪ったのだから、終盤まで耐えてワンチャンスを掴むプランを上回るものを手にした。

 さて急いで追いついて試合を振り出しに戻したいアーセナルは前節から3枚の変更。アルテタ曰く出場時間の調整が目的でここまで出ずっぱりであったホワイトとジャカを下げ、IHには左利きのプレイメーカータイプの2人が並ぶ形に。そして今節はヴェンゲル指揮下にいた選手がスタメンに1人もいないという37年ぶりの試合となった。

 そんなスタメン組は代わって入ったメンバー含めてクオリティを落とさずにプレー出来ていたように思う。得点直後は予想通り11人全員が自陣に戻ってゴール前にバスを停めるボーンマス、それに対してエンジン全開で猛攻をかけまくった。

 ただ1人、冨安だけは芳しくないパフォーマンスだった。元々守備面に定評のある選手で、特に引いて守ってくる相手には足元の技術もアイディアも特筆したものがない冨安は、サカへのオーバーラップのサポートが少ないことも相まってイマイチだったというのが正直な感想だろう。

 更に追い打ちをかけたのが20分過ぎに起こったトロサールの負傷交代。CF起用が今節も上手く機能しブロック攻略に糸口を見いだせそうだっただけに非常に悔やまれる交代となってしまった。代わって入ったのがまだ慣らし期間のスミスロウ、戻ってきたばかりの10番にチームを救う命運を託すことになった。また、ジェズスがリハビリ中、エディも怪我でベンチ外という事で本職CF不在の中マルティネッリをCFへコンバートして残りを戦った。

 それでもまだ救いだったのが、似たような試合展開となったエヴァートン、ニューカッスル程守備が固くなかったこと。2チームよりも人を並べただけ感の強いブロックにはまだ幾分か活路が見えたように思う。ただ人数をかけた分ハーフスペースのランニングはべったり付いてケアされ、中央はシュートブロックを繰り返し、突破しようにも難易度の高いリンクアッププレーを重ねなければならない。ということで苦戦。

 こうして先制点の不幸、トロサールの負傷交代といったチームに追い打ちをかける出来事もあり、前半の内から焦りの色は隠せないアーセナルであった。

 たまらず後半から冨安に代わりホワイトを投入。個人的には上記で触れたように妥当な交代であったように思う。冨安にとっては試合早々から追いかけなければならない展開になってしまい少々可哀想な部分もあったが…。

 そして後半も前半同様ボーンマス陣内でひたすら保持を続けどうにかこじあけようとするアーセナル。だが得点は再度ボーンマス側が獲得することに。

57' ボーンマス側初のCKにトーマスのマークを剥がして走りこんできたセネシが頭で合わせボーンマス2点目

 ここまでアーセナル側は10本以上のCKを獲得してきたが変化の少ない単調な放り込みであったため全てストーンに跳ね返され続けてきたのに対し、初のセットプレーを無下にせず決めきってきたボーンマス側にとってアウェイアーセナル戦で2-0は出来すぎだろう。

 予想だにしない展開だったのはアーセナル側も同様。余裕で勝てると高をくくっていたわけではないだろうが0-2にされた事は事実。正直筆者も諦めかけ、数年前の暗黒期以来の観戦断念をしようと考えていたその時だった。

62' 12本目となるCKで、跳ね返されたボールをスミスロウが頭でゴール前に折り返し、走りこんできたトーマスが押し込みアーセナル1点目

 CKからチャンスが生まれずずっと手ごたえがなかった中で、2失点目の原因となってしまったトーマスが死に物狂いで1点をなんとかもぎ取ることに。直後プレータイム管理の為スミスロウを下げ、ずっと怪我離脱していたネルソンを投入。そしてそのネルソンが値千金の同点弾をアシストすることに。

70' 左で受けたネルソンから鋭いロブ性の折り返し、合わせたホワイトが強烈なバウンドボレーシュートを放ちネトに弾かれたがゴールラインを割っておりゴール、アーセナル同点

 ホワイトのアーセナルでの初ゴールをもってして試合は振り出しに戻る。これで息を吹き返したエミレーツスタジアム。より一層ボーンマスを押し込み続ける展開に。

 だがそう易々と追加点は生まれない。ハンド含め4度ものPK疑惑プレーの数々、背後からのアフタースライディングで削られる等プレー以外の面での追い風もありつつ、どうにかこうにか攻め続けているがあと一歩ゴールに届かない展開。今度こそ諦めかけていた。

 そうこうしている間に目安のアディショナルタイム6分が過ぎ、ボーンマス側の遅延行為分を加味してのラストワンプレーとなった97分のCK。そこでこの試合の、劇的な幕引きが待っていた。

90+7' ウーデゴールが蹴ったCKが跳ね返されボックス外で待機していたネルソンの元へ、冷静にトラップし収めたボールを逆足で振りぬいたシュートはボーンマス選手間をすり抜けゴールネットを揺らした、アーセナル逆転

 なんという、なんというカタルシス。開始9秒で先制されてからアディショナルタイムを過ぎた97分台での逆転弾という、計96分をかけた壮大な大逆転劇。途中出場のネルソンが同点弾、逆転弾両方に絡み、チームの見事なバウンスバックを演出して見せた。これにて無事勝ち点3ptを獲得、継続して2位シティに5pt差をキープである。

ピックアップ選手

リース・ネルソン

 彼抜きではこの試合は語れない。久々の試合となったが投入直後のホワイトへのアシストを筆頭に何度もボックス周辺で脅威となるドリブルを繰り返し、アディショナルタイムには非常に難易度の高い状況で劇的な決勝点を決めてみせた。ゲームチェンジャーとして120点の大活躍、文句なしのMOTMである。

 その他、失点に絡んだものの守備面で鬼の刈り取り力を見せたトーマス、チームの攻撃のタクトを振るい続けたジンチェンコとウーデゴール、キーパスとドリブル成功数を稼ぎ続け脅威となっていたサカ、記念すべき初ゴールの記録と攻撃面に迫力をプラスしたホワイト、押し込み続けた中で背後に空いた広大なスペースを2人でケアし続けたサリバとガブリエルなど、ほぼ全ての選手が準MOTM級の活躍を見せた。ネルソンが居なければ皆MOTMレベルであろう。

全体雑感・次戦に向けて

 数年、いや数十年先まで確実に語り継がれるだろう伝説的な試合となった今節。シティ戦の敗北以来、過密日程もあり心身ともに決して簡単ではなかっただろうが、アストンヴィラ戦の逆転劇も含め4戦4勝、苦しみながらもポッシブル勝ち点12ptを勝ち取ることに成功した。

 あとがきにこの気持ちを綴るにはとてもじゃないが言葉では言い表せられない。本当に、本当に勝てて良かった…。あまりにも嬉しすぎる。そしてチームを救ってくれたネルソンには一刻も早く契約延長を取り付けてくれ!!!!!

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