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【劣勢も結果の最大化】Arsenalマッチレビュー@PL第35節vsSpurs(A)/24.4.28


 ホームでのマージサイドダービー敗北、前節はウェストハム戦で痛恨ドローなど、リバプールが事実上の優勝争い脱落に。昨季と同じシティとの一騎打ちの様相を呈してきており、改めて本気で残り試合を消化していきたい。


マッチレポート

試合結果

TOT 2-3 ARS
15' ホイビュア(og)
27' サカ(ハヴァーツ)
38' ハヴァーツ(ライス)
64' ロメロ
87' ソン(pen)

https://www.premierleague.com

ハイライト映像

スターティングイレブン


試合トピックス

 アーセナルは冨安トーマスを2戦連続のスタメン起用。フルフィットしていないティンバーはU21での出場となったが、現有戦力における最強のオーダーとなった。

 序盤はスパーズスペース。守備時はマディソンがトーマスを監視し、3CBの両側に対してWGが圧をかける形。更にサカへのダブルチェックも欠かさず、基本はヴェルナーのプレスバック、間に合わない時はホイビュアが救援に来る形。

 また攻撃時にはクルセフスキが非常にボルテージの高い対面の冨安に対し互角以上の駆け引きを行う。攻守において押され気味なアーセナルは繋ぐ事が難しく、縦に早いサッカーを仕掛けるもロングボールの精度が足りず中々ゴールに迫れない。

 試合が落ち着いてくるとアーセナルはハイプレスから何度かチャンスを作る。そして生み出したCKのチャンスからホイビュアが頭でオウンゴールを決め、苦しみながらもアーセナルが先に得点を獲得する。

 失点を喫しはしたもののスパーズは攻撃の手を緩めない。負けじとセットプレーから繰り返しチャンスを作り、ロメロを中心に当たり強いバックスがヘディングで2度ポストを叩く。CKのこぼれからファンデフェンが叩き込むもオフサイドで難を逃れる。

 スパーズの猛攻に依然苦しみつつボックス内でファールすれすれの接触で何とか掻き出したところからロングカウンター発動、ハヴァーツが高精度のフィードをサカへ送り、カットインから左足で持ち帰り冷静に流し込んでまさかの2点目をゲット。内容を鑑みると出来すぎな序盤戦。

 追加点直後ヴェルナーが負傷しブレナンジョンソンが出場。

 アーセナルがここまで終始押し込まれる試合は久々。2週間の休息も相まってコンディション上々のスパーズは2失点を食らってもやる事は変わらずハイラインサッカーを継続する。

 更にアーセナルはライスのピンポイントCKにハヴァーツが頭で強烈に叩き込みまさかの3点目。1点目に続きホワイトの絶妙なキーパーブロックが効いた。

 劣勢ながらも中盤のトライアングルは活躍。ウーデゴールは言わずもがな、ライスは踏ん張りの効いた出足の良いタックルでスパーズの勢いを止め、トーマスは得意のターンでプレスを嘲笑うかのような前進でチームを助ける。

 スパーズはソンが抜け出しラヤとの1vs1を作るもここでも外し、中々チャンスを生かせない。スパーズの決定力不足に救われ続ける。

 連戦×アウェイのNLDで好調がかき消される程に苦しめられるも、超効率的な得点スタイルで大量リードして前半を折り返す。スパーズからすると納得のいかない試合展開となった。

 エンド変わって後半、奮わないホイビュアを差し置いてベンタンクールを代えサールを投入。前線でのボール関与人数を増やす狙いか。

 後半は両者ともにボールを持つ展開。スパーズはオープンプレーでも隙あらばロメロを最前線に送り込みターゲットとして果敢にゴールを狙う。アーセナルはトロサールへ展開してからカットインやオーバーラップ、3人目の動き出しでポケットを取りに行く。

 後半になっても中盤3枚のプレーはキレキレ。スパーズのハイプレスが若干間延びする事も追い風となり、トーマスが相手の3列目に対し前向きでドリブルを仕掛けられる。

 両チーム交代を行い試合が落ち着いてきたところで、ラヤが痛恨のパスミスからロメロとの1vs1を招き失点。完全にラヤの判断ミスが招いたゴールでこれは猛省すべきと同時に、ある種ラヤを起用するうえでの必要経費みたいなものか。

 1点を返したホームチームは会場の盛り上がりを背に更なる攻勢に出る。アーセナル側が前で潰し切りたい前線とリトリートして冷静に時間を進めたいバックスとで少し乖離が起こりライン間にパスを通されるように。ここでもクルセフスキが中心に。ただクロスに対してはラヤの的確なハイボール処理が光り事なきを得る。

 ラスト15分は交代で入ったマルティネッリが最終ラインへの吸収を徹底。チーム全体で守る。

 しかし86分、ライスが死角にいたデイビスを蹴ってしまいPK献上。これをソンが左上隅に叩き込み2点目。会場のボルテージは更に上がりどう転んでもおかしくない状況に。

 たまらずアルテタはキヴィオルを入れ5バック。ウーデゴールを下げたのは議論の余地があるか。

 5バックに留まらず後ろ7,8枚になりながら命からがらスパーズの猛攻を退け続ける。優勝争いを考えると引き分けは実質負けというとてつもない重圧も重なり死に物狂いで守る。

 それでも何とか逃げ切ったアーセナルがアウェイでのダービーをものにし勝ち点3ptを持ち帰る。心身両面で大きく疲弊した試合となった。


ゲーム総評

 前半は多くの時間帯を劣勢で過ごしながらも訪れるチャンスを悉くモノにし3点を獲得、後半になり均衡が保たれるようになると敵陣地へ押し込む時間を作る事によって相手を自陣ゴールから遠ざけ結果的に良い守備になるなど、試合巧者ぶりが光る試合となった。

 ラヤのビルドアップミスや致し方ないライスの痛恨PK献上ファールで一時は流れが変わると思わされたが、シーズン終盤戦は内容よりも結果。最後の最後まで泥臭く守り切り、無事勝利を収め消化数が2少ないシティへプレッシャーをかけることに。

 ここまで来たらとにかく信じる、ただそれだけ。トーマス冨安らは今節も良い働きを見せ今チーム全体が上向きに。この雰囲気を最終節まで継続させ、あとは天命を待つだけだ。

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