【勝てた試合?負けてた試合?】Arsenalマッチレビュー@PL第9節vsChelsea(A)/23.10.22
試合前トピックス
・2週間の代表ウィーク明け
・サリバ爪先の怪我で欠場の噂
マッチレポート
試合結果
ハイライト映像
スターティングイレブン
試合トピックス
沈黙の立ち上がりに不安定な前半
2週間の代表ウィークが明け、久々のプレミアリーグでビッグ6同士の対決が行われた。アーセナルはサリバが何事もなくスタメン入り、アンカーにはジョルジーニョ。対するチェルシーは闘争心の高く球際に強いククレジャが左SB、パーマーがCFに入る4-2-3-1。守備時は中盤のギャラガーがパーマーと共に中央に防波堤を築く4-2-4のコンパクトな陣形を作った。
立ち上がりからアーセナルは雲行きの怪しいプレーを連発。開始早々するすると中央を突破され高い位置に侵入したエンソのシュートから始まり、続いてジンチェンコとジョルジーニョそれぞれの自陣ロストから連続してピンチを招く。衛星のように前線を漂うパーマーを捕まえきれず前進の糸口を作られていた。
また攻撃面ではマルティネッリとサカがほとんど存在感を発揮できないという大きな問題を抱えることに。対面のギュストとククレジャはとにかく粘り強いコンタクトでゴール方向へのプレーを制限し、特にサカは後ろ向きで受けるのを強制させるククレジャの素早い寄せで大外の起点づくりを咎められ続けていた。
追い打ちとなったのはサリバのPK献上。クロスに合わせたムドリクのヘディング弾にジャンプ時振り上げた手が当たりOFRの結果ハンド。内容結果共にアーセナルにとって向かい風が吹く展開が続いた。
だが20分あたりを境に徐々にアーセナルも見せ場を作り始める。ラインブレイクでCBを引っ張るジェズスのランに合わせライスがハーフスペースを抜けシュートを撃ったシーンから流れを掴み、サイド攻撃も左右それぞれ打開方法を模索する。マルティネッリはラヤの左CB×ジンチェンコの純正大外SBロールが発動するとギュストからのプレスがそこまで強くかからず前向きで勝負を仕掛けられるように。サカもカットインでククレジャを引っ張り空いたスペースへホワイトが上がってくることで前進に成功。1vs1での勝負にこだわらずホワイトからのリターンを受けよりチェルシーゴールに近い場所でプレー出来るようになった。
これでミドルサード攻略は一定の結果が担保されたものの後方ビルドアップは依然改善の目途は立たず。コンパクトな4-2-4陣形に楔を差し込む余地は無くライスやウーデゴールが中央でボールを受けるシーンはあまり見られなかった。我慢出来ないライスの列落ちが見られたり、機を見てハイプレスをかけてくるチェルシーに対しラヤのCB化もままならず成功の頻度はお世辞にも高いとは言えなかった。押し込む時間帯は無くはないが、同点弾を決めきれず1点ビハインドで後半を迎えた。
出鼻(?)を挫く追加点にはめげない
前半スターリングへの対応に四苦八苦していたジンチェンコに代わり冨安をハーフタイムで投入。ここ最近では割と早い冨安の交代出場となった。
冨安の早い交代にも見られるようにアルテタなりに修正を施し迎えた後半だったが、48分に恐らくミスであろうムドリクの流れたクロスがラヤの頭上を越えチェルシーの追加点となってしまう不運が起こる。前半のサリバハンドも完全に事故でどうにも歯がゆい展開に拍車がかかる後半の立ち上がりとなった。
失点直後は前半よりもビルドアップの改善と両翼個人の迫力が増した。具体的にはライスの列下げが見られた前半と対比してジョルジーニョが意識的に右SB化の列落ちを行うように。こうするとホワイトが自然と高い位置取りを行え、サカへのサポートランと詰まった際のボールの逃げ道を提供。サカ、マルティネッリ単体の突破力も前半の感触を生かし素早い仕掛けで抜くシーンが見られるようになったのは追いつきたいアーセナルの明確な武器となった。
だがそれでもゴールは遠かった。ラヤの被パスカットからパーマーとの1vs1を招く懸念点があったりと、未だ自信なさげなプレーに終始しキーパスが見られない展開が続いた。
明暗分かれる交代選手と今季の勝負強さ
0-2で推移し負けも覚悟して迎えた77分。突如訪れたサンチェスのパスミスをライスが見逃さず、先日見たというベッカムのドキュメンタリーからインスピレーションを受けた(?)スーパーなミドルシュートでまずは1点を返す。
さらにその7分後の84分。今度はサカのクロスにファーに走りこんでいたトロサールが右足アウトサイドで流し込み立て続けの得点で同点に追いつく。降って湧いたチャンスと必ず数字を残す男トロサールの活躍で残り10分前後に希望を見出す流れに。パフォーマンスに関わらず得点を取り切るところに調子が悪くても最低限の結果を叩き出す今季の勝負強さが垣間見えた。
時計の針が進み、最終盤の攻勢では交代選手達のパフォーマンスに差異が見られた。イコライザーを沈めたトロサールは言わずもがな、マークを引き連れスペースを生み前線の収めどころとしてまずまずの結果を出したハヴァーツの2人は良い働きをしたといえる。
問題はエンケティアとスミスロウだ。ここ最近のプレーでは共に良い面を評価されていた2人だが今節ははっきり言って酷かった。特に怠慢プレスに関しては擁護のしようがない。スタメンを奪うような気迫は見られず、終了間際のオープンな展開ではいくらでもやりようがあったのに攻撃参加でも光るものを見せられなかった。
勝ち点3ptをどんな形でももぎ取りたい両者だったがゴール前のクオリティ不足で決定機を逃し続ける。前半の内容だけで見れば負けなかっただけ良かったとも取れるし、後半の巻き返しを見れば勝てたかもしれないとも取れる、なんとも不思議な試合は2-2ドローで幕を閉じた。
ゲーム総評
今季でも最低レベルのパフォーマンス。試合を通して支配してやろうという気概が見られずパス選択は安全択ばかりでプレスの連動も尻切れトンボ。失点シーンはある種事故のようなものだが、内容をフェアにジャッジすれば0-2負けでも異論はないような残念な結果だった。
それでも少ないチャンスをものにして2点を返し、あわよくば3点目も狙えたんじゃないかという後半の追い上げっぷりはそれとは別で称賛されるべきポイントだ。
強いチームというのはコンディションの好/不調に関わらず勝ち点という結果を持って帰れるチームだと私は考えているので、そういった側面からこの試合を見ると決してネガティブ要素ばかりではなかったというのもまた事実だ。あと100億の男ライスの圧巻パフォーマンスには頭が上がらない。
次節のCLvsセビージャ戦は今節とCLでの前節の敗戦を払拭する快勝を収め、中断前シティに勝った時のチームの勢いを是非とも取り戻して欲しい。
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