ハイドラント系武器が我々に求めるもの

ハイドラント。それはフルチャージが完了すれば特大威力のインクが敵に向かって高速で飛び込んでいく、全てを対イカ戦闘力に極振りしたロマン武器である。

ただし、フルチャージが完了すればの話である。ハイドラント系武器が持つロマンのための代償となっているものは少なくない。機動力、チャージ時間、塗り、そして射程。ちゃんとハイドラント系武器をある程度の期間使用していれば射程が足りない事も納得が出来ると思うが、そんなごく一部の方に寄り添った記事なんて需要は無いと思う(今までの記事?知らん)ので、少しばかり読んでいってくれればと思う。

まずはこの記事を書く筆者に関してだが、ハイドラントカスタムの使用歴として2021年3月5日現在、ハイカスの塗りpt8666659、勝利数6254、そして最高XPはバレルでXP2520(ハイカスではXP2503)の人間なので最上位層の人間では無いと言う事だけ理解していただきたい。ただ、間違いなくメイン武器ではあるのでエアプでは無い事は確かである。

さて、では本題のハイドラントカスタムと言う武器は使い手に多くの思考を求める武器だ。キル力が魅力だと言う人達もいるにはいるが、長射程武器と言う括りに入れてみると完全なチャージャーの劣化と言っても差し支え無いだろう。射程はほぼ一緒ではあるがチャージ時間は半分で確定数はなんと1発。ハイドラント系武器は良くて確定3発、曲射判定が入ってしまえばそれ以下になってしまう。また、機動力に関してもチャージャーは当ててしまえば勝ちである関係上撃ち合いが基本的に発生しない(発生した時点で負け)なので、イカ速ギア等である程度のものは確保可能なのだ。ハイドラント系の場合は基本的に3~4発の弾を当てなければならないため、撃ち合いのためにヒト速ギアやメイン性能ギアをしこたま積まなければならない。最低限の機動力はイカ速を0.1(MAX3.9換算)を積めば確保可能ではあるが、それでも全武器中最低クラスの機動力の中での話である。

さて、これだけネガキャンしたところで、ではどのようにしてハイドラント系武器は現在のスプラトゥーン2の環境の中で生き残るかと言う話をしたいと思う。

実はハイドラント系武器の性能を他の武器と比較した際に唯一飛び抜けて優秀な分野がある。向かってくる敵を弾幕によってキルする性能だ。準備さえ出来ていれば、要はフルチャージになった状態で向かってくる敵を認識(索敵)出来ていれば基本的にどんな武器であっても相打ちには持っていけると言っても過言では無い。この性能をフルに生かす立ち回りというのがハイドラント系武器の基本的な立ち回りになってくる。

受け身の姿勢で強ポジに陣取り、前線を維持するというのが基本となる。ただしずっと同じポジションにボッ立ちして接近してくる相手をキルすれば良いという訳では無い。スプラトゥーン2というゲームは目まぐるしく展開が変わるゲームである。戦闘が行われる地点は必ずしも一つとも限らないし、同じポジションに何度も敵が来てくれるとは限らないのだ。

ではどうするか、勿論ポジションを変えることが正解となってくる。よくハイドラント系武器の解説に書かれている『前に出る』『中衛的な動きをする』というワードは多分これに相当するのだろうと思う。ただ、少し考えれば分かるとは思うが、普通の中衛武器みたいな立ち回りをすると当たり前のようにデュアルスイーパーやプライムシューター、ケルビンなんかに瞬殺されて瞬く間に戦犯ハイドラントが爆誕する。ハイドラント系武器は自分からキルを取りに行く動きがダントツに弱い武器であるからだ。ハイドラントの強みの受け身のキルとは全く正反対の動きをしていると言える。他の中衛武器とハイドラント系武器の明確な違いは射程にある。つまり中衛武器が本来取るべきポジションよりも後ろから、中衛武器が狙うキルを取ることができるのだ。

つまり、ハイドラント系武器はチャージャーよりも少し前のポジションで前衛が戦っている場所に手出し可能である状態をキープするのが理想の動きなのだ。それに加えてキルしにくる相手を受け身で待ち構えて倒す事が勝利の鍵となるだろう。

ここでもう一つ深く考えてみようと思う。敵がこちらをキルしに来る事を誘発出来ないだろうか?待っていても敵が来なければハイドラントの強みは出ない。ここで重要なのが画面上のイカランプとガチマッチのカウント状況になってくる。

まずイカランプ。こいつは全ての動きの判断の大元となる判断材料になる。相手が何枚落ちているのか、こちらが何枚生存しているのか、この二つを基準にポジションを判断するのが立ち回りのキモになる。理想は生存している相手が大まかにどの位置にいるかを把握、味方の位置と照らし合わせて相手が来そうな場所に予め陣取る事が大事なのだ。とはいえいきなり実行しようとしたところで慣れない事だと頭がパンクしてしまうと思われるので、まずはイカランプで敵味方の生存数をただ認識する所からでも悪くは無いと思われる。

次にカウント。これは単純な理屈で、こちらがカウントで有利を取っていれば、相手は攻めなければならないというものだ。つまりハイドラント系武器の強みはカウントリードしていてこそ発揮されるということになる。簡潔に言わせて貰えば、ハイドラント系武器を持つからには適切で積極的なルール関与を行うことが大事なのだ。ハコフグホコの11カウント等知っておかなければならない知識を正しく身につけて、効率的にカウントリードももぎ取り、焦って攻めてくる相手の前線をどんと待ち構えてキルしていくのがハイドラント系武器の目指す勝利の方程式なのだ。




・・・と、綺麗に締めくくりたかったのだが、残念ながらハイドラント系武器はスプラトゥーン2最長射程武器では無い。上にスプラスコープ、リッター4K、4Kスコープと環境上位に位置する武器が鎮座してしまっているのだ。これらの武器に対してはハイドラント系武器は待ち受ける事も出来ずに最大限の努力をして、何発も弾を外してもらう事を祈るしかない。また、環境最上位武器ジェットスイーパーカスタムの連発するハイパープレッサーには手も足も出ないのが現状なのである。せめてリッターより少し短い程度の射程であれば勝負にはなるものの、これらの武器に対して現状、相手のミスを突かない限りノーチャンスなのだ。つまり、この武器の最大の欠点は性能に対して射程が足りないため、唯一の利点すら全く通じない武器が一定数存在してしまっているという現実そのものなのである。