記憶に灼きつく星組公演「記憶にございません!」感想
宝塚ファンやめたんですかと思われそうなくらい感想の間が空いてる気がするんすけど全然そんなことはなく、書きかけの記事がめっちゃいっぱい下書きにあります。RRRとかもそう。
しかしまあ宝塚版「記憶にございません!」インパクト抜群でしたわな。
元は三谷幸喜さんの映画「記憶にございません!」でどちらも甲乙付け難い名作ですが、やっぱり宝塚ならではの迫力つうもんもね、ありますよ。
見たことありますか?出だしから「年金老後!長引く不況とシャッターが降りた商店街♫」つって。
歌劇団の団員の方々が腹の底から大声で歌ってるとこ、なかなか見れませんよ。
「廃墟になった温泉街、年中やってる閉店セール、半年で入れ替わる飲食店、増える税負担、足りない保育園」
笑えないのに笑うだろ、そんなことしっかり練習して歌われたら。
前回あんなにナートゥを存じ上げていた礼さんですが今回は何も存じ上げない総理大臣の役になってましたね。
猪熊虎象てやりたい放題すぎだろ名前が。
こんな欲張りな名前ありますかって。動物のお祭りかて。
湯婆婆が見たら名前全部剥がされるよ。「アンタの名前は無いよ!!!」て言われるわ。
と思ってたら田原坂46という限りなく発音が宝塚に近い団体の「選挙へ行こう」ソングが始まって爆笑でした。
アイドル集団にしては近年稀に見るメッセージ性の強さ。仕事を選ばないアイドル集団、田原坂46。
石が脳天を直撃した結果
強いものに媚びへつらい、弱いものに当たり散らすと言われたかつての黒田啓介はすっかり鳴りを潜め、気弱で善良な男に成り下がっていた…!!!!
そして…首相と首相夫人はダブル不倫をしていたのだった…!!!!
なんでだよ!!!!
首相は野党の議員と、首相夫人は首相の秘書とそれぞれ秘密の情事をお楽しみということでね。
まあ宝塚ではよくある話で…と思ってたら
私とあなたが〜〜連立合併〜〜〜♫♪
清さ正しさ美しさから一番遠い歌詞の歌が始まって大爆笑でした。
いいのかこれで、110年目の宝塚歌劇団。
演じてらっしゃる方はそりゃ美しいんすけど、なんていうか今まで描かれてきた不倫の中で一番美しくない描写で笑いました。
大声で歌いながら連立合併すな。
他にも、あくどいながらも国民人気の高い官房長官、鶴丸大悟(輝月ゆうまさん)のいやらしいオッサン仕草があまりにリアルすぎて
この方はどうしてタカラジェンヌになのにこんなにあくどいオッサンがお上手なんだよ、
一体何見て学んだらこんなにあくどいオッサンを再現出来るんだよ…と感心したり
ひろ香祐さんの、絶対これをやるために宝塚に入ったわけでは無いんだろうけど与えられた役に全力という宝塚らしさ…と頭部が光り輝くアツい芝居。
もうここまで来るとこの方々は公演の成功が主眼の境地なんだよなと思い、そしてそれを任される実力があるんだな等思い至り、
宝塚っていいよなあと思うわけです、一顧客は。
いや声でけえ!!ひろ香さんもうマイク要らんレベルで声がでけえ!
何より記憶に残る歌「献金マンボ」が何度も脳内でリフレインしたり。
途中でめちゃめちゃ荒削りに挟まれた礼真琴さんのスポンサー、仙台名物萩の月の宣伝に笑ったり。
なのに最後に今回退団される舞空瞳さんと次回公演で退団される礼真琴さんのこれまでの歩みを振り返るようなサービスセリフに心が温まったり。
窓から石をゴルフクラブで叩き飛ばすめちゃくちゃな首相官邸に驚かされたり、いや〜すごいインパクトの演目でした。
献金マーンボ!ウッ!献金マーンボ!ハッ!
観劇しながらずっと「いやなんでだよ!?」と思い続ける公演も悪くない。
何より献金マンボが五線譜に書かれて印刷されて配られて、
その上かなり練習されたんだと思うとしみじみ思うんすわ、宝塚って青春なんだなと。
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