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大人の力に負けたりしない星組ロミオとジュリエットの感想

ロミオとジュリエットって見るたび「オイオイ最高のやつがはじまっちまったな!」と思うの何なんでしょうね。

つうわけで何だか最近恒例となりつつある観劇日記です。

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ロミオとジュリエットつったら「ロミオあなたはどうしてロミオなの!?」みたいな感じっすよね。めちゃくちゃ簡単なあらすじはこう。

なんかもうすんごい対立してる家同士のロミオとジュリエットが結婚。

元々ジュリエットの事が好きだったジュリエットの従兄弟、ティボルトの気持ちがアバアバアバアバアバレンジャーになって揉め散らかり、
なんやかんやでロミオがティボルトを殺害、町から追放されてしまう。

ジュリエットは地元の金持ちとの結婚から逃げるため、神父から貰った仮死状態になる毒を飲み死んだと見せかけ、ロミオとこっそり遠くで生きていく算段を立てる。

しかし神父が思ってた感じと違うルートから連絡を受けたロミオ毒を飲んだジュリエットがマジで死んだと勘違いしジュリエットの横で毒を飲んで自害。起きたジュリエットもロミオが死んでるのに気づいて自害という、報・連・相のミスが招く世界的に有名な悲劇

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(この公演では青い服着てたらロミオ側、赤い服着てたらジュリエットやティボルト側って感じで対立が目で見てめちゃくちゃわかりやすい。)


唯一観られたのが役替りBパターンだったんでその感想になります。


前提として
今までは、ヴェローナの土地を覆う全体的な狂気自体が半端ない故に、両家ともその雰囲気に乗せられて、より加速してる。
街全体が呪われてんじゃ無いか?って感じだったのが、

今回は両家が争っているから街の雰囲気がヤベェんだなという感じがしました。あ〜この争いのせいで治安悪いんだな〜って。

ロミオもティボルトも生まれた家が逆なら、きっとそのまま反対の立場になっただろうな、って実感を伴って思わされるわけです。


若者が、しがらみやら運命やらに翻弄されるさまが滅茶苦茶リアル


ロミオをやってる礼真琴(れいまこと)さんとティボルトをやってる瀬央ゆりあさんが同期というのも大きいかも知れないっすね。

でまあ、ロミオの友人のベンヴォーリオ(綺城ひか理さん)とマーキューシオ(天華えまさん)がまたもうなんつうか

良いんすよ〜〜〜〜!!!


程よく勢いづいた若者感が素晴らしすぎるんすよね。
ああ〜〜いいな〜〜〜つって。俺ら地元じゃ一番みたいな。
なんつうか、あくまで地元。イカれすぎて無いんすよね。



まだ純朴さのある若者って言うんですか?そういう面が残ってる感じで、
その反面危うさがすごい、これから良い方向にも悪い方向にも行く岐路にまさに今立ってる感じなんすよ、明るいけど不穏なんすよ。


いやまさかマーキューシオの場面で泣く日が来るとは。素晴らしかったな〜。

マーキューシオと言えばナイフで刺されて死にかけてるのに歌い出すし(それがミュージカル的な表現なのはもちろんわかるんすけどね)、
刺された傷(これが致命傷になって死ぬ)について
「傷は泉ほど深くないし、教会の門ほど広くも無い」とか唐突にウイットに富み始めるから

いや今うまい事言わなくていいんだよ元気じゃねえか


と思ってしまう瞬間があったんすけど、(ベルばらで蜂の巣になってるのに1曲歌うアンドレ見てる感覚)


今回は、まだ生きていたかった、死にたくなかったって感じが根底にあるように見えて良かったです。ミュージカルの登場人物って感じよりも人間味があった。


でメインのロミオね。出てきた時思いましたわな。

ああ〜これ世界が待ってたやつじゃないすか〜〜〜!!

つって。タンポポの綿毛持って散歩するの世界一似合うな。つって思いませんでした?タンポポの綿毛なんか幼児以外似合う人居るんだねって、居るんだよ。

そんでジュリエットですよ。

キュートの権化か?

私はまだ何も知らない16の乙女だけれど〜♪という斬新な歌詞にあんなに説得力あるのすごくないすか?

冷静に考えたらどんな歌だよって話じゃないすか。


でも舞空ひとみさんのジュリエットが言うと「そうか〜まだ16の乙女か〜じゃあ何も知らんわな〜」つって納得しちゃうわけです。目ぇキラッキラなんでね、完全に何も知らないですわありゃ。

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(企画展示されてたバルコニー。
ここで16の乙女だけれど〜つうなかなか凄い歌詞の歌を夢見がちな瞳をしたジュリエットが歌います。)

あとは人間でない役の、愛とか死って存在の根源的な部分つうんすかね、そのあたりにも影響ある感じがしました。

愛と死ってそれぞれ物語に直接干渉しない(死はしてるけど)概念的な役じゃないですか。

今までの、土地が呪われてるような雰囲気のロミジュリでの愛と死って役はある意味人間を超えた神とかそういう「人間より上位な存在の一端」っぽいわけです。

一方、土地の治安が悪い雰囲気のロミジュリは(他に言い方無いんかい)愛と死が「人間の思念から生まれた澱」って感じがするんすよね。


人間由来の成分100%、オーガニック愛と死。



特に愛月ひかるさんの演じている死は気がついたらいつでも側でずっっと見てる感じ。なんというか場に存在してるんじゃなくて人間を見てるんすよ、ずっと。近くで。

人の足下に落ちてる影からヌルッと出てきそうな感じがする。


だからなんか今回の愛と死は写真撮ったらボンヤリ写りそうな感じ(おわかりいただけるだろうか)


瀬央さんのティボルト(ロミオに殺される、ジュリエットの事が好きな従兄弟)は

きっと彼も世界の王だった瞬間があったんだな〜。

みたいな部分が大きく感じられ、良い意味で衝撃的でした。
ちゃんと年相応の青年に見えるんすよね。


今までティボルトはなんだかんだ言っても、こっちもキャピュレット家の下っ端の一員みたいな気持ちで観てたんですよ。

ヨッ!兄貴〜カッケーッス!お〜怖え〜!さっすが〜!って。
弱い部分がそこまでは押し出されてなかったというか。強そうなんすよね。

今回も確かにロミオさん家の事憎んではいるんですけど、いるんですけども、
この家に産まれたからにはそうせざるを得ないって感じもしっかりある。良い意味の人間味があるねって。


でもまぁロミオの屍の前でジュリエットに告白しよう〜〜♫って歌うから結局ヤベエ奴なのに変わり無いですけど。


仮にロミオじゃない屍でも、その前で告白してきたら内容頭に入ってこねえからね。


まぁヴェローナ流の若気の至りってそういうことなのかもしれないんでわかりませんが、蛮族すぎるだろって。

大公ももっと本気で取り締まった方が良いですよ。


あともう乳母(有沙瞳さん)と神父(英真なおきさん)も素晴らしかったですね。
あの二人の大人の説得力があるからこの現代に於いて浮世離れした話に大きな違和感が無いんだと思いましたね。
普通に考えたら神父のやってることメチャクチャなんすけど、それも含めて説得力があるって素晴らしいですよね。見るだけで安心しちゃうもんな。

あの神父に勧められたら毒飲む気持ちもわかるってもんですよ。


すげえうまく行きそうな気持ちになる。絶対失敗するんすけどね。
多分そういう事なんすよね。破綻させない存在感があるんですよ。

だからこそ霊廟の悲劇感がガッツリ引き立って、わかってる話でも感動しちゃうんだと思いますわ。


まさかロミジュリの霊廟で泣くと思わなかった。いつもそりゃ可哀想だなあとは思ってたんすけど、今回はこみ上げてくるものがあった。
いや今回のロミジュリ本当に物語に対しての説得力が凄かったっすわ。
これまでのロミジュリもそれぞれ好きなところがあるんですが、
今回また新しく好きだと思えるロミジュリが観られてハッピーでしたねって。

あともうフィナーレとかデュエットとかもなんかもう全体的に半端ない感じに仕上がってたんでね。

これが星組のパッションじゃい

って聞こえてくるようなアツい舞台でした。いや〜。素晴らしい。

しかし願わずにはいられないよな、
東京ではどうか神父とベンヴォーリオの報・連・相がうまく行きますようにつって。


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