【ショートショート】『告白雨雲』
それがやってくる前に
告白すると決めていた
どしゃぶりになる前にいわなくちゃ
彼の右腕を抱えて肩におでこをくっつける
ピカピカの黒のサドルシューズとくしゃくしゃの白のソックス
彼が嫌うものをサキに聞こうとしたけど
知らないという
好きなものの順序はあるみたいだけれど
嫌いなものは知らないらしい
じゃあ好きなものの最下位が嫌いなもの?
それは違うとサキはいった
ピカピカに磨いた靴でおでかけして……暖かいハグ
サキが教えてくれた彼の好きなもの
彼の彼女のサキにきいた
結局のところ私も彼もサキの綺麗な足が好きなの?
違うのよ彼は魂の片割れだから
彼の彼女じゃないの
あなたは彼のことが好きなのねとサキはいった
そうよ私の好きなサキが好きな人だから
彼に後ろからハグされて
そのまま地べたに座りこんで
ぎゅっとされて
キスしてた
まってまだ雨雲は向こうの山を覆っているだけ
やっぱりどしゃぶりじゃなきゃいえないよ
サキもあなたもどっちも大好きなんて
告白雨雲を待ってたなんて
(410文字)
* * *
以上、こちらからお題をいただきました。
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