【短編】『春の終わりごろに』
通っている高校は街の中心部から少し外れにある。部活が終わっての帰り道、賑やかな方へ向かって歩き出す。まあ、中心だろうが外れだろうがこんな退屈な地方都市では大して変わりはない。二年の僕と一つ上で同じ吹奏楽部のゆかりは付き合ってる訳でもないけれど、退屈なこの街を一緒に歩いて帰るのがいつもの事になっている。小さな公園で桜の若木が花をつけていた。
「花見行きてー」
「うだうだ週末まで待ってたら散ってしまうね」
「じゃー、今晩行く?」とゆかり。
「行くか」と僕。
「わかった、着替