見出し画像

統計データから見た「住みやすい街ランキング」。その傾向とは?

皆さん、こんにちは!
技研商事インターナショナル カスタマーサクセスチームです。

突然ですが皆さん、街をまたいで引っ越しをして新生活を始めた時、
生活費に関してこんなことを感じたことはないでしょうか?

「引っ越してきたけれど、以前の街に比べて食料が高いな」
「家賃が全然違うな…」
「車がないと生活できない!車の維持費って結構かかるよな~」

引っ越す前と同じような水準の生活をしているはずなのに、なぜかお金が出ていく…。よくよく家計簿を見たら食費が全体的にちょっとずつ高くなっている!…なんて経験が皆さんあるのではないかと思います。

引っ越しが多い方は感じるところだと思いますが、暮らす地域によって生活費は意外と差が出てくるものです。
もちろん、収入も地域によって大きく変わるため、そのバランスがちょうどよい場所が暮らしやすい場所といえるかもしれません。

『じゃあ暮らしやすい場所ってどこなの?』という疑問発の事例を本日はお届けします。
A子さん、B男さん、よろしくお願いします!

----------------------------------------------
A子:ベテラン社員。これまでも幅広い業界のお客様からご相談を受け、分析のお手伝いをしてきた。
最近は卵の価格が高いので大好きなオムライスを作るのを控えぎみ。

B男:技研商事インターナショナルの新入社員。社会人3年目で、分からないことも多いが日々頑張っている。最近は遠方の実家に住む母の味が恋しい。
----------------------------------------------


ある日のお昼休み

B男:お!A子さん、今日もお弁当なんですね。
いつもちゃんとお弁当を作っていてすごいですね。

A子:最近は物価も高くて節約も兼ねてるんだ。
でも、卵とか冷凍食品なんかも高くなって、スーパーでお会計するとき
毎度びっくりしちゃうんだよね。

B男:わかります。うちの母も昨日電話したら同じことを言ってましたね。

A子:B男君の実家は東京じゃないんだっけ?

B男:はい、愛知県のすみっこの市です!一人につき一台車を持っていないと不便な地域で、車の維持費もかかっちゃうんですよね。
でも、今思い返すと東京に比べて、アパートの家賃とか食料品の価格はもう少しやすかったような気もします…。

A子:確かに、都内の方が物価は高い印象あるよね。
そのぶん、住んでいる人の収入も多いのかもしれないけど…。

B男:理想を言えば、物価が低くて平均年収が高かったら暮らしやすそう
ですよね!
物価の高さと収入の高さはそれぞれ地域ごとに差がありそうだけど、
実際にはどこの地域が暮らしやすい地域に当てはまるんでしょうね?
そんな統計データがあったらな~。


統計データ、ありました!

A子:そのものズバリのデータは見つからなかったけど、収入や生活費に関係する地域別の統計データを組み合わせたら代用できるんじゃないかな?

要は、

・年収が高く、生活にかかる支出金額が低い
 =暮らしやすい(生活に余裕を持ちやすい)
・年収が低く、生活にかかる支出金額が高い
 =生活が支出の影響を受けやすい(生活費に圧迫されがち)

ということだから、年収と支出に関わるデータ(※)を使ったらよさそうだよね。

※年収に関わるデータ:年収階級別世帯数データを使用https://www.giken.co.jp/datalineup/censusdata/estimated_income/
支出に関わるデータ:消費支出データを使用https://www.giken.co.jp/datalineup/censusdata/expenditure/



B男:なるほど!
ひとくちに「年収」「支出」といっても個人の年収なのか
世帯の年収なのか、何の支出金額を見るのか、というところで
色々な手法が取れそうですね…。

A子:そうだね、「生活に余裕のあるエリア」なんていうのも定義が
かなり難しいところではあるけれど…。
今回は試しに、こんなやり方でやってみようよ。


① 支出金額は「生活になくてはならないもの」かつ、
なるべく贅沢品の消費額を省く形で以下の項目を合算

 ・自動車等維持費 = 移動に関する費用支出
 ・外食を除く食費 = 日々の食費に関する費用支出
 ・家賃地代 = 住む場所に関する費用支出

② 単位の違う「世帯平均年収」と「消費支出額」という
2つの数値を比較するためにそれぞれを偏差値化


③「世帯平均年収の偏差値」から「消費支出額の偏差値」を引いた値を
算出し、数値が大きくなった地域を「暮らしやすいエリア」として
ランキング化。上位と下位からそれぞれ10地点を切り出して比較。


B男:はい!早速算出してみましょう。

ランキング結果はこうなりました。

【暮らしやすい】エリア上位10地点

下位10地点

偏差値は上限値75、下限値25を設定して算出

B男:ランキングトップには軽井沢がくるんですね!別荘地として名高い
軽井沢を思い浮かべると「なるほど」と納得感もありますね。

別荘地として優雅なイメージのある軽井沢

A子:下位のエリアは政令指定都市が多いみたいだね。
政令指定都市は年収も高いイメージがあったから意外かも。

住みやすさに差が出る要因を、"エリアの特性"から探ってみた。

A子:トップ10は納得感もあるんだけど、下位エリアは要因が気になるよね…。何が要因になってるんだろう?

B男:街の居住特性にヒントがないですかね…。
あっ、A子さん見てください!

エリアの特性を表すデータ(※)を使って、それぞれの街にどんな傾向が出るか見てみたんですが、那覇市は「都心の学生街」、軽井沢町は「子育てを終えた豊かなセカンドライフ」が一番多かったです。

沖縄県那覇市の特性。若年層中心の「都心の学生街」特性が目立つ


長野県北佐久郡軽井沢町の特性。
一番傾向の出ている「子育てを終えた豊かなセカンドライフ」は
マイホームを構え、所得にも比較的余裕のある層。

下位の街はもしかしたら若い人が多く住んでいて、
全体的に世帯年収が低く出ているのも一因としてあるかもしれないですね。

※c-japan®:居住特性や年収、就業、地価や自動車保有傾向などのデータから全国を35の特性に分類したデータ。
https://www.giken.co.jp/products/c-japan/

A子:なるほど!確かに若い世代の一人暮らしだったりすると、
アクセス重視で都心エリアに住みがちになるよね。

ん?支出項目の面でも特徴がありそうだよ!
今回支出金額の集計に使った「家賃地代」の項目を偏差値で
比較してみたんだけど、下位の市区町村は「家賃地代」が高いところが多いみたいなんだよね。

試しに、先ほどの表の上位と下位で比べてみたよ。

偏差値は上限値75、下限値25を設定して算出


B男:なるほど!
政令指定都市や大都市だと家賃が高いというのは、肌感覚でも感じますね。

A子:家賃は生活費の中でも大きい割合を占めがちだしね。
ここが大きいと生活への圧迫感を実感するよね。

まとめ

今回は限られたデータソースを使って、一つの手法として分析してみました。納得の街もあれば、下位のエリアは意外な感じもしますね。
とはいえ、どの街に住んでいても物価高が苦しいのは同じですね。早く卵の値段が下がってほしいものです…。

※今回の結果は統計データで見たランキングで、多くある見方の一つです。あくまで一つの分析手法ということでご理解ください。