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【2023年7月ふくしま部スタディツアー】参加者レポートvol.3

皆さんこんにちは!前々回から3回に渡って、2023年7月に行った福島スタディツアーの模様を参加者の皆さんよりお届けしています。
最後に3日目及び全体を通してレポートをするのは「まさ」さんです!


ふくしま部の主催するツアーに参加しました、まさです。
普段は農業分野のスタートアップに在籍。産地の持続可能性を高めるべく、地域の農協さんとタッグを組んで各地の名産品をPR・ネット販売するなどしています!
福島県はくだもの王国、ぜひ味わってみてください!

くだもの王国・福島の旬の名産品も販売しています!

今回、現地ツアーに参加してみて、

  • 社会人、忙しいけど、ふくしまツアーに参加してほしい!(被災地初心者なら、なおさら!)

  • いまだからこそ、ふくしまツアーに参加してほしい!

と感じました。そんなところが伝わると嬉しいなと思いながら、
感想をシェアできればと思います。よろしくお願いします!


前置き:なぜ参加しようと思ったのか

友人がSNSで告知していたこのツアー。平日も含めた2泊3日の行程のため、社会人、なかなか都合をつけるのは難しいですが、現場にいくことのメリットは多々あります。
最新の情報を知れること、編集されたものを鵜呑みにした「誤解」を回避できること、言語化されない感覚をメンバーと共有できること …etc

ただ、僕が参加を決めた理由は、心の距離が開いてしまったことへの危機感でした。

 1-1. 赴くだけで喜んでもらえる

大学の授業をきっかけとして、三陸沿岸部の地域での学習支援ボランティアやスタディツアーの企画・運営をしていました。
現地でお会いしたのは、東日本大震災を “不幸” と嘆くのではなく、“きっかけ” でもあったと振り返れるよう、奮闘される方々。

「私ひとりくらい、福島に残ろうかな」と、福島ツアーの立役者、木野さん

彼らとお話しして印象的だったのは、足を運んだだけ なのに 大変喜んで いただけたこと。
喜んでもらえるならと現地によく行きましたし、いろんな人を巻き込んだ方がもっと喜んでもらえるだろう!と考え、被災地に人を送り込む活動をしていました。

今回のツアーでも現地に赴くと、「コロナ後、こんなに大勢の方が聞きに来てくださるのは初めてだ!」(東京電力の職員の方)とか「わざわざこんなところまで、ご苦労様です。」(地元の方)とか、皆様、非常に嬉しそうにされていました。
現地に行くことが、支えになる のは変わらないようです。

東京電力廃炉資料館にて、説明を受ける。改めて新しく知ることも多い。

 1-2.被災地と未災地

活動している際に思っていたのは、被災地の直面する問題はまったく被災地特有のものではないということでした。
地域の人口減少や、まちづくりの合意形成など、どこでも課題となりうるテーマがどっと押し寄せています。

また、阪神淡路大震災や熊本地震など甚大な被害を招く地震は少なくなく、豪雨水害も含めれば日本全国、どこでも被災のリスクがあり、未だ被災地ならざるだけの「未災地」といえるはず。

阪神淡路大震災の震災遺構、「神戸の壁」は野島断層保存館に。

したがって、まったく他人事ではありません。どこかで活かせる学びがある、そう考えていました。
もちろん、「未災地」だからといって、必ず災害や被災者への関心を優先する必要はないのでしょうが、被災者に無関心な社会よりも、関心を寄せ合う社会の方が悲しくないなぁとも思っていました。

 1-3. 心の距離への危機感

大学を卒業してからも、定期的に三陸沖には足を運んでいましたが、仕事が忙しくなったことやコロナ禍による外出自粛で、途絶えました。

そんな中、ALPS処理水の問題が報道された折、いま、3.11 の被災地でなにが起こっているのかを知ろうともせず、日常を送るようになってしまった自分にはたと気づいたのです。

人体に影響のないよう工夫を凝らしたALPS処理水。先日(2023年8月)、放流が始まった。

いつしか心の距離まで広がってしまっていた… 危機感を覚えました。
今回のツアーを知ったのは、ちょうどそうしたタイミング。
現地に赴き、いまを知れば、心の距離も埋まるはず。飛びつくように応募しました。

感想:3日間のツアーで印象に残ったこと

前置きが長くなってしまいましたが、3日間のツアーを通して印象に残ったことを2つご紹介できればと思います。

 2-1. ”静” と ”動” の間で ワク・モヤ

避難指定が解除されてから初めて浪江町や双葉町を訪れて、抱いたのは「ワク・モヤ」。
ワクワクとモヤモヤが同居した不思議な感情でした。

2日目の夕方は双葉町の街歩き。倒壊した家屋が並ぶ。

爆発したまま瓦礫が野晒しとなっている1号機や、
2011年3月のカレンダーを飾ったまま放置された倒壊家屋など、
タイムカプセルの中に囚われたかのような落ち着かない「静」の空間がある一方で、
沿岸近くに広がる、だだっ広い原っぱは気持ちよく、落ち着く「静」の空間があり、

東日本大震災・原子力災害伝承館の屋上からみえる景色。空が、広い!

さらには地元の文化や産業を盛り立て役の方々のお話には「動」のワクワクがありました。

また、震災直後の日々のことを「本音のところでは早く忘れたい」と述べ、深い悲しみを背負っている方もいれば、
時間の経過とともに移ろい、変化していくかもしれないという救いがあり、
再生しつつある街からは、他の地域以上の賑わいへの期待や希望も抱くわけです。

「静」と「動」の間に置かれ、心がグイッとねじられ、複雑な心情に苛まれる、ワク・モヤ体験。これも現実なのだ、モヤモヤも受け止めなくてはいけないのだと感じていました。

道の駅なみえの巨大ラッキー。幸せ(福)を呼ぶ、「ふくしま応援ポケモン」

なお、ふくしまスタディツアーでは、参加者たちは現場の視察と並行して浜通りエリアと関わるPJTの起案に取り組みました。
福島スタディプログラム 4班

多様性のあるチームメンバーながら、共通する問いが。それは、「復興」の未定さ。
どのような街並みとなっていくのか、
そこにどういった方々が住むようになるのか、
自分たちにとっての日常生活では所与のものとして受け入れている前提の多くが不確実。エーリッヒ=フロムの主張した「逃走」したくなるような「自由さ」を感じていたのだと思います。

10代の参加者も。朝早くに起きて議論。みんなでよく頑張りました(笑)

熱心な議論の末、こうした方がいい!という起案ではなく、住民の方々が方向性を考える、対話の基盤作りをサポートできたらというところで【青空図書館】という企画にまとまりました。本を介したコミュニケーションの活性化を目指します。
さっそく、実行しようと動き始めており、今後に期待ですね。

 2-2. 普段の仕事に生きるぞ、これは

また、普段の仕事に生きると思えたのは想定外の収穫でした。
いや、知っていました。災害は新しい問題を招くというより、災害前から続く問題の深刻化を加速させるといいます。
それは、学生のときにも感じていた通りでした。

ただ、今回は、勉強になるなという感想にとどまらず、浜通りエリアでこんなことをしたらいいんじゃないか?というアイデアや、普段の仕事でこういう工夫をしてみようか?という逆回転の発想も湧き、少し驚きました。

浪江町の高橋大樹さん。「安全は科学、安心は人」というフレーズが響く

社会人になって特定のスキルが身についたからなのでしょうか?学生の時には受け取りきれなかった意味合いが増えました。
そして、思考がより具体的にブレイクダウンされ、「普段の仕事に生きるぞ、これは」と実感していました。

まとめ|ぜひ、現地にいって、復興のいまを感じよう!

振り返って、自分たちにとっての日常から離れ、時が動き出した相双地域を訪れたことは、やはり、とてもよかったと思います。
正直なところ、この訪問が、どのような意味を帯びていくのか、まだまだわからないのですが、なにかの「きっかけ」には間違いなくなるだろうなという予感がしています。

請戸漁港付近の堤防から陸地を望む。今後、どのような街になるのでしょう?

GSC Yokohama Hub ふくしま部のみなさん、有意義なツアーを企画していただいてありがとうございました。
ふくしまツアーは、以下の点で社会人におすすめだと思いました。

  • ふくしまの課題は、日本全国に共通する課題で自分事化できる

    • しかもエネルギー問題など、スケールが大きい

  • 共通の体験を通して、トモダチができる

  • 社会人、フィールドがあるので具体的に考えやすい

  • 意志をもって活動される、実績十分な方々に触発される

加えて、訪問先は移住者や施設がメイン。心の傷を負った方を知らず知らずのうちに傷つけないような配慮がなされているのは安心です。また、参加者の中には初めて福島に来たという方も多く、「いまさら。。。」と尻込みしてしまう方も気楽なのではないかと思います。

希望の象徴?巨大ラッキーの前でNポーズ。

復興に向けた胎動を感じるとともに、次回、同じ景色が広がっているわけではないのでしょう。少しでも関心がある方は、ぜひ、いまの福島を感じに参加してみてください。

以上です。長文・駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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