レンズカラー(ゴーグル、サングラス)について

前回の話題はこちら

 さていよいよ皆さんが知りたい内容の核心とも言えるレンズカラーについての解説です。レンズカラーは滑りのストレスにかなり影響のあることなので、ぜひ参考にしていただければと思います。
※先日Twitterにてアンケートを行いレンズカラーについてご意見を頂いた皆様!ありがとうございました!大変勉強させて頂きました!

3原色と補色

 本題の前にちょっと基礎知識の部分のお話。色は「3原色」というものがあって、赤、緑、青の3色が混ざり合って無限の色をみることが出来ます。え?3原色って赤、青、黄色だって?はい、それは絵の具の話、色の3原色(CMYK)のことで、今回のキーは「光の3原色(RGB)」の方になります。ややこしいですが光の3原色と色の3原色では元となる色が異なるのです。
※厳密には色の3原色はマゼンダ、シアン、イエローで、特にマゼンダと赤、シアンと青は色がそれぞれ異なります。

参考:https://www.shokabo.co.jp/sp_opt/spectrum/color3/color3.htm

 目は赤、緑、青の色をそれぞれ見分けるセンサー(細胞)が別々にあり、それぞれを脳が統合して「色」を認識しています。サングラスなどで色付きのレンズを通した場合、そのレンズの色が見えているのではなく、それ以外の色(補色)がレンズに吸収されてレンズの色のみが目に届いている状態になります。
 例えば青いレンズの場合、青の補色は黄色で、この黄色をレンズが吸収して青い視界を見せています。また最近話題になった「ブルーライトカットメガネ」などは青の補色である黄色系の色のレンズで、レンズが青色を吸収して影響を緩和させようと意図した作りになっているようです。

参考:http://rock77.fc2web.com/main/color/color1-2.html

 話はそれますが目の特定の色の細胞が弱い場合は「色弱」、その細胞が働いていない場合は「色盲」になります。色弱などは意外と多いそうで特に男性に多く見られ、看板がわかりにくいことや、焼肉の焼き加減が色で見えないなどのことがあるそうです。この色の見え方の差異は誰しもあることで、見るのに得意な色、不得意な色などがあるのは当然のことという話です。

 と、ここまでの話を一旦頭になんとなく入れておいて本題に入ります。

レンズカラーとは?

 ウインタースポーツでは見えることが何よりもポテンシャルとストレスに直結します。見にくければそれだけで滑るのは大変ですし、快適に滑ることも出来ません。それを補助してくれるのがアイウェアのレンズの色になります。

 レンズカラーは大体の場合記載がありますが安価なものでは記載がない場合があります。そして外から見た色と実際の色が異なるレンズなんてものも存在します。

 ウインタースポーツで使われるレンズカラーは

ピンク(ローズ)
イエロー
ブラウン
オレンジ
グリーン
グレー(スモーク)
ブルー
クリア
(ミラー)

この辺りに大別されます。メーカーによって違いはややありますが、この7色+クリアがほとんどと言って良い色です。このうち「クリア」は「無色」ですがナイターや室内ゲレンデ、曇天時に効果がある「色」です。が、このクリアがちょっと厄介で、クリアなのに色を乗せている場合が結構あります。そのせいでクリアなのに見づらいことなどあるので、クリアを選ぶ時にはどれくらい減光するのかも合わせて慎重に選ぶ必要があります。

 さて、それぞれの色についてまずは解説します

ピンク(ローズ)

 奇抜な色ですが万能で見やすく、使ってみると愛用したくなる…そんな色です。明るくて雪の凹凸が見やすいので上級者好みの色で、天候変化があっても対応しやすい色です。ただし晴天時は減光効果が弱いのでちょっと苦手です。

イエロー

 明るく見せる効果があるので暗い状況で使うことが多い人に特におすすめです。ダブルレンズと言うゴーグルを買うと2枚ついてくるレンズカラーの一枚にしばしば採用される色で、使うとショッキングな視界ですが慣れると見やすい、そんな色です。雪の凹凸も見やすいですが晴天時は苦手です

ブラウン

 もっともレンズカラーとして多いカラーです。万能性があり晴天時にも有利な色です。見え方がどちらかと言うと自然なので目が疲れにくく、違和感も少ないレンズカラーです。しかし暗く見えがちな面もあり、天候変化にはちょっと弱いです。眩しがりな人にお勧め。

オレンジ

 ブラウンを明るくしたような見え方でこちらも万能です。ブラウンよりも晴天は苦手になりますが曇天に強く、ピンクが苦手と言う方におすすめの万能カラーです。ゴーグルを一つだけと言う方にはぜひ選択肢に入れておいて損のない色です。

グリーン

 ゴーグルでは少ないですがサングラスではしばしば採用されているカラーです。目が疲れやすい方にお勧めな色とされていますが、やや暗く見えがちな色なので天候変化は少し苦手です。反射光を軽減する効果があるのでギラギラしたものを見るのが苦手な方にお勧めのカラーです。

グレー(スモーク)

 晴天時に特に効果がある色で視界の色全体を落とすので見え方が割と自然です。色付きの視界にストレスを感じる場合は選びたいカラーになります。しかし減光力がかなり強いので天候変化や曇天時は叫びたくなるほど見えない場合があり、メインの色として使うのは少しデメリットがあります。

ブルー

 晴天時に効果があるカラーで凹凸が見やすいのが特徴です。晴天率の高い明るいゲレンデにしばしば行かれる方には選択肢に入れておきたいレンズカラーです。暗い色が苦手な方はオレンジなどをお勧めしますが、オールマイティーに使えるレンズカラーです。

(ミラー)

 ミラーはそれぞれの色でレンズが吸収する色を表面で反射させている仕組みのものです。それぞれの基本となるレンズカラーに表面をコーティングしているので見え方は基本となるカラーに依存します。また見た目のカラーと実際の見え方が異なる場合が多いので試着なしで選ぶのをお勧めしません。

 このようにそれぞれの色で違いがあり、見え方や見やすさに違いがあります。特に重要なのが「コントラスト(陰影)」で、このコントラストが見やすいレンズほど凹凸が見やすく、ゲレンデの凸凹や斜面変化、シュプール跡などが見やすくなります。

 このコントラストは「偏光レンズ」の物を使うとよりはっきりくっきり見えます。色+偏光の組み合わせで驚くほど見やすい組み合わせが見つかるとそれだけで大金を払う価値もあるでしょう。

が、落とし穴があります(偏光+カラー)

 偏光レンズは無用な光を減らして見やすくします。そしてレンズカラーによってさらに光は減らされます。つまり偏光+レンズカラーによっては暗くなると余計に視界が暗く見えにくくなる場合があるのです。

 これが「あえて偏光を選ばないメリット」というもので、暗めな色になるブラウン、グリーン、グレー、ブルーなどは偏光じゃない方が天候変化に対してストレスを感じにくくなる場合があるのです。見やすいはずのレンズカラーなのに夕方になると見えにくくなる…そんな時はレンズカラーと偏光のマッチングが良くない可能性があるのです。

 また、人(目)によっては好みの見やすい色があります。中の人の場合はイエロー系の色が見やすく感じるのですが、ブルー系はちょっと苦手です。なので晴天時を重視した場合はオレンジの方が好みで、ピンクも結構好きです。これは何度も買い替えて試した結果なのですが、これまでいくつのゴーグルを買い集めたことか…。
 私の場合、一つのレンズに頼るよりも使い分けることを選びました。さらに大雪や悪天候時、暗い時に有利なようにイエロー系の調光クリアレンズのゴーグルを選びました。また偏光はスマホとの使い勝手の都合で使わなくなったので、余計にレンズカラーに拘って選んでいます。

 とはいえ普通のレジャースキーヤーがいくつものゴーグルやサングラスを持つことはお財布的にも大変なはず。なのでおすすめは2枚以上のレンズをつことです。最初からレンズが2枚ついているゴーグルはお勧めですが、最近のものは交換が簡単な仕組みのゴーグルが多く登場していますので、まずはベーシックなカラーで買って、のちにレンズだけ買い足すという方法は結構お勧めです。「晴天」+「曇天」の2枚あれば、多くのシチュエーションで快適に過ごせるでしょう。
※同じブランドの同じモデルでも年式でレンズに互換性がない場合が稀に存在しますので、購入の際は確認しての購入をお勧めします。

 さて、長らくお待たせしましたがカラーについてはこのようになります。みなさんに頂いたご意見が大変参考になりました!見え方は個人差があるため上記の限りではありませんが、カラー選びの一つの知識として持っておくと、思ったより快適なスキーが楽しめるかと思います。
 特に「よく見える」ということがどれほど楽しさに繋がるかはそれを経験した人でしかわかりません。おでこゴーグルなみなさんは・・・おそらくそういう快感を得る前に見えにくさなどのデメリットを感じてしまったのかもしれませんね。

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