ソールに絵を描く方法

 昨日、仕事部屋の大掃除のおりにソールデザインの習作で保管していた板が出てきたので呟いたところ・・・以外といい反応が!

ということで、この作成方法をお伝え致します!

<ご注意!>
 この方法によって発生する損害などは全て自己責任で行って下さい。特に火気を使用するため、火災などの危険があることを理解し、安全に作業して下さい。なおどのような場合でも当方は一才責任をおいません。また意図的に板を破損させる行為となりますので、メーカーの保証が受けられないくなります。
 ご了承いただけない方は以下の記事をご覧にならないようお願い致します。

<用意するもの>

スキー板(透明な滑走面のもの。エクストリューデッドソールが望ましい)
リペアキャンドル(黒)
彫刻刀(よく切れるもの)
メタルスクレーパー
網やすり(#120 #240 #400)
原画(可能な限り線画で)
少し太めの色鉛筆
カーボンペーパー(転写用紙・板に転写するのに必要)
クレヨンコート(板に転写したデザインを一時的に保護するもの)
ワックス(ホットワックス。お好みのもの)
ワクシングアイロン

<1>板に原画を転写する

 最初に原画を用意します。原画はのちに彫刻刀で掘るので、線画が簡単です。面の色付けはかなり難しいので面でデザインになるものは避けた方が無難です。
 線画作成は「線画作成」で検索すると自動的に処理してくれるサイトがありますので、それを利用すると簡単です。出来上がったら大きさを調整して印刷します。

 印刷した線画を板の上に置き、配置を考えます。滑ることを考えればできるだけたわまない部分か、雪が触れない部分にデザインするとのちに取れにくくなります。たわむ部分や、滑走で力のかかりやすい部分はどうしても剥がれる可能性があるので、できればその部分は避けて配置します。

 配置したら軽くテープで原画を固定し、その板と原画の間にカーボンペーパーを敷いて原画を固定します。カーボンペーパーは表裏があるものがあるので注意して下さい。

 固定したら線画を上からなぞります。なぞった部分がわかるように赤色鉛筆などが使いやすいです。あまり細いと掘る時に大変な他、細い線は剥がれやすいので少し先を丸めた鉛筆でなぞると後が簡単になります。

 一通りなぞったらずらさないように転写ができているかそっと覗いて、問題なければ原画などを剥がします。そのままだと触れただけで線が消えてしまうので、それを保護するためにクレヨンコートを吹き付けます。

 クレヨンコートを使う時は換気などを行いつつ使用してください。

<2>線画を彫る

 彫刻刀で線画を彫ります。まず注意なのが彫った線が細すぎたり浅すぎるとデザインが乗りません。また彫りすぎると滑走面を超えて板の印刷面、芯材まで掘ってしまうので、印刷面に達しない程度の深さで彫ります。

 彫る深さは線の太さに限らず同じ深さにすると剥がれにくくなります。また、エッジの脇はギリギリ周囲を残した方がのちに剥がれにくくなります。彫りはじめは徐々に深くせずに刃を入れ、一定の深さで一息に彫ります。滑走面は柔らかいので簡単に彫れますが、逆に柔らかすぎて力が入りすぎると彫りすぎてしまうので、よく切れる彫刻刀があれば楽になります。丸刀、小丸刀、三角刀で線質がかわるので、原画に合わせて掘っていきます。

 彫った線はギザギザになるとのちにギザギザに仕上がりになります。その点注意しながら彫ります。クレヨンコートで保護していますがこすると転写絵が消えてしまうので、注意しながら彫ります。

 また、彫ると線がなくなるので彫った部分がわかりにくくなるので、原画を横に置いて彫り進めると彫り間違いや掘り忘れを防げます。

 一番大変なのは、間違ったら修正ができません。一刀一刀集中して彫ります。

<3>リペアキャンドルで線を描く

 全て彫ったらリペアキャンドルで線を埋めます。リペアキャンドルは火をつけて使うので換気など気をつけて、リペアキャンドルの使用方法の通りに火をつけて使います。手近なところに灰皿など置いておくと使いやすく、火をつけるライターも十分に炙って使うのでチャッカマンなどのライターが良いです。

 リペアキャンドルが準備できたらゆっくり線を盛っていきます。空気が入らないように端からじっくりと垂らしていきます。ぽたぽたと垂らすのでなく、火のついた先を近づけてスーッと伸ばすように垂らします。これは簡単でないので、先に少し練習しておいた方が良いです。
 キャンドルで盛ったところは冷めると少し収縮するので、やや多めに盛りますが、デザイン以外のところにキャンドルが載ると、その部分が少しキャンドルの色に染まって汚くなるので、できるだけ線以外の部分に垂らさないように使います。

 リペアキャンドルが正しく使うと煙が出ず、青い炎のままで使えます。煙が出たりススが出る場合は火をしっかり回して使い、赤い火が出ている時も十分溶けるのを待って使います。ただしまっすぐ立ててローソクのように火を保つといつまで経っても赤い火のままになるので、逆さに角度をつけて持って、無駄に垂らさないように使います。※これが難しい。ちゃんと使えてないと仕上がりが悪くなります。火傷や火災には十分注意して下さい!

 全て垂らしたら十分冷まして乾燥させます。すぐに剥がすと剥がれてしまうので、ここは慌てずに待ちましょう。一晩くらい置いておくのをお勧めします。

<4>余分な盛りを削る

 盛ったリペアキャンドルが十分冷めたらメタルスクレーパーで削ります。力を入れると一発でデザインごと剥がれてしまうので、軽い力で少しずつ削ります。

 ここを急いでしまうとリペアからやり直しになるので、軽い力で徐々に削っていきます。メタルスクレーパーはよく研いで角を立てておくと良いです。カッターの刃など使いたくもなりますが、カッターの刃は難しいのでメタルスクレーパーの方が失敗が少ないと思います。
 ※この作業を行うとどれくらいの太さが必要かなんとなくわかるようになります。細い線はだいたい剥がれるので、もし剥がれたらのちにその部分だけ彫りを広げてリペアするとなんとか補修できます。

 削り方も全体を徐々に削っていく方法が良いです。高さに差が出るとそこに引っかかってデザインが剥がれてしまうので、時間をかけて削りましょう。線以外にはみ出た部分も黒く染まってしまうので、黒い部分を剥がそうと頑張りすぎると削りすぎる場合があるので、素手で触って平らになっていればOKです。

 一通りメタルスクレーパーで削ったら網やすりで仕上げます。粗い番手から力をかけずに擦って仕上げます。力を入れすぎてしまうと余計に傷がついてしまうので、この作業も一定の軽い力で仕上げます。平な板などに巻きつけて、板の前後方向に擦って仕上げるとのちの作業が楽になります。板の左右方向はあまり擦らないように使って下さい。#400くらいまで擦って仕上げるとだいぶ良い感じになっていると思います。

<5>ワックスで最終仕上げ

 最後にホットワックスを行うことで作業面をきれいにするほか、ケバや小傷を除去し、デザイン箇所に熱を入れることで定着させます。可能なら140度くらいで使う硬いワックスで仕上げるときれいに仕上がります。
 ワックスを使ったらワックスを浸透させて剥がします。使い方はそれぞれのワックスの使い方と変わりませんが、デザインが剥がれないように気をつけて剥がします。ブラッシングなども同じ作業になります。

 以上で仕上がりです!これであなたのお好みのデザインが滑走面に!

<補足>

 この方法でデザインしたものは滑走などで剥がれてしまう可能性があります。十分理解して作業して下さい。またシンタード系の滑走面へのデザインは難しくなりますのでお勧めしません。滑走面の材質については販売店などにご確認ください。

 彫刻刀の扱いには十分ご注意ください。また火など使うため、火気に十分注意し、換気など適切に行って作業して下さい。

 以上となります。これらは私が方法になりますのであくまでもご参考としてご理解ください。
 そしてもし上手にできましたら、ぜひ見せていただければ嬉しいです!

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