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ブーツの調整について

 ブーツの調整についてブログでかいて欲しいと言う声を耳にしたので、今日はその話題です。

 皆さんはブーツの調整したことありますか?ほとんどの方が買ったままのブーツをそのまま使っていると思います。
 むしろ「ブーツって調整できるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

ブーツと言うディープな世界

 ブーツの世界とスキーワックスの世界は沼です。一度入ったら這い上がることは困難な世界です。正解にたどり着くまでに追求するほどにお金と労力がかかります。

 とりわけブーツは「これが正解」と言うのがなく、一般的にこうしたらいいだろう?位のことしか通じていません。それは人により形も骨格も個人差がある足を、これ以上なく硬く重いスキーブーツに入れるのですから、万人に最適化させるのは困難なものなのです。

ブーツの本来の目的

 スキーブーツの本来の目的は、スキーを確実に装着する事です。そのためにビンディングが生まれ、スキー、ビンディング、ブーツが一体となってスキーは滑れます。

 そのためにスキーブーツに求められたのが「防寒」「耐水」「保持」「保護」です。スキー技術の進化によってこれらは洗練され、スキーブーツは今の形になりました。特に求められたのが「保持」で、スキーブーツは足をしっかり固める事で、スキーをより身体に一体化させることができるようになっています。

 実際に試して頂ければわかりますが、スキーブーツのバックルなどを一切締めずに、ガバガバの大きなスキーブーツを履くとまともに滑れません。※やる場合は十分注意して他人の迷惑にならないように行って下さい。また当方はこれの責任は負いません。

 ブーツを自分にフィットさせるほどスキーは一体化しますが、すると問題になるのが冒頭の「最適化」なのです。

スキーブーツの調整はできることが少ない

 調整としてできるのがバックルの締め加減、そしてカント調整くらいのものです。あとは専門のブーツチューナーに依頼しなければできません。

 このバックルの締め加減は、普段皆さんも履くときにやっていることですが、正しく履けているか解ってない方も多いです。正しくは「足が痛みを感じない程度にしっかり締める」ものなので、毎回同じ位置にバックルを締めるのは正しくありません。ブーツの中で足が前後左右に動かないこと、特にかかとがしっかりと動いたり浮いたりしない締め加減で締めるのが大事です。案外このブーツの締め加減の勘違いだけで滑れなかったりトリックができない!なんて事も多く、正しい締め方で締めるだけでできるようになった!なんて事もあります。

 この時に微調整する為にスキーブーツのバックルはクルクル回ったりして微調整できます。足のむくみ、気温、靴下などの事によって僅かにも変化するので、こうした微調整を行っていつでも同じ状態の締め加減ができるようにしてみて下さい。

 これでもし「痛み」がでる場合はブーツが合っていない可能性が高いです。そのための調整もできますが後で説明します。

 なお、スキーボードでは膝を積極的に動かす為に足首から上のバックルはあまり強く締めない方が良いです。これはフレックスと言うスキーブーツの硬さにもよりますが、硬いブーツほど足首から上はある程度余裕を持たせた方が良いです、私の場合だとすねとブーツとで手が軽く入るくらいの隙間をあけています。しかし足首から下はしっかりとフィットさせているのでブーツの中で足が動くことは有りませんが、足の指は自由に動かせる、そんな締め具合です。そしてスキーで使う場合は足首から上もしっかり締め上げます。
 こんなに締めたとしても私は丸一日緩める事はありません。痛みもほぼ出ません。それはブーツがしっかり自分に適したものを使っているからで、実は足の痛みは足がブーツの中で動くことが原因だったりもするので、休憩でも緩めることはありません。
 ※ただし締めすぎの鬱血も怖いのでこれを推奨する事はありません。自分にとって適切な締め具合を確認して下さい。

正しく履けているのが前提で

 カント調整などは正しく履けていないと調整しても何も意味がありません。しかし正しく履けているのに調子が悪い、何もしていないのに膝が痛むなどあればカント調整が必要です。
 カント調整は足首の曲がりと膝の出る向きを自然にしたり、O脚やX脚のような骨格にブーツを合わせる為の調整です。このカント調整は中級以上のモデルでないと出来ないことも多く、片方だけ、両方と、色々ブーツによって異なります。

 ハッキリ言いましてカント調整はブーツに詳しい方に見てもらいながら調整しなければ正しく調整できません。自分で簡単にできそうですが、知識なく行うと余計に悪くなる事すらあります。自分でやる場合も二人一組で調整すべきものなので、安易に手を出すのは控えておきましょう。

 それと初級モデルなどではカント調整は用意されていません。これらのブーツは価格や快適性を優先しているので保持に遊びがあり、そもそもカント調整の必要がないからです。

調整ったって、自分でできることは少ない!?

 そうなんです。つまり買うときこそが最も大事なのです。可能な限り自分に適したブーツを選ぶこと。そうしてようやく調整の意味が生まれます。デザインや有名、無名、価格などでスキーブーツを選ぶのは仕方ないですが、あとから調整できることは少なく、もし調整するとしても安くないお金が必要になります。私が昔からスキーブーツは可能な限り履いて確認して買うことをお勧めしているのはこういう理由もあるからです。特に足が独特で痛みが出やすい方は、はじめからプロと相談しながらブーツを決めると良いかと思います。シェル出しような加工もできますが出来ないブーツもあったり、最近だとシェル自体の整形が可能なものもあるので、決して損するような話にはなりません。

 なお、これは中級モデル以上の割と高価なブーツになりますが、熱成型インナーを採用しているものが多数あります。これはインナーブーツを熱で温めて自分のあしに合うように成形できるブーツです。上記のシェル出しなどのように大掛かりな作業ではなく、ほとんどの場合サービスで行って頂けるものなので熱成型インナーのものは必ず「焼いて」もらいましょう。そしてこれは一度焼いても2,3回までなら焼き直して成形しなおすことが出来ます。※やりすぎると成形ができなくなります
 もし使っていて不具合があるならお店に持ち込んで焼き直しを依頼しましょう。じつはこれ、自分でもできなくはないのですがやはり経験が必要なので素直にお店に持ち込むのがベストです。それと熱成型インナーのブーツを、寒いからとあっつあつにヒーターの前などで温めてしまうと折角の成型がダメになってしまいます。ブーツの温めすぎにはご注意ください。
 そして最近のブーツで、履いていると徐々に自分の足の形になじむインナーのブーツもあります。こういうブーツは焼く必要はないので、毎回正確に履くことを意識すると徐々になじんでいい感じになってくれると思います。

 痛みに関しては、ブーツの中で足が動くとそれだけで痛みが出ます。逆に動かなければ痛みは出にくくなります。インナーにパッドを貼るなどして対策もできますが、シェル自体が自分にあっていなければどうしたって痛みが出ます。

 しかしそうは言っても買い換えなんて無理だし…。なので比較的安価に調整できる方法をお伝えします。それはインソールの交換です。既製品のスポーツ用のインソールなら5000円くらい、カスタムインソールだと一万円以上かかりますが、けっこうこれでフィット感が変わったり痛みが軽減したり、膝が正しく使えるようになったりします。可能ならカスタムの方がより自分に合ったフィーリングになりますが、既製品でも驚くような効果すら期待できます。

 私はかなりの扁平足なので、カスタムインソールで土踏まずを作り、足をアーチ型にする事で痛みのでやすい小指をケアしています。また足の裏にピッタリフィットしているので足が動くことがなく、いつも同じ状態で履けるようになっていますし、多少緩く履いても不安なる事も動くこともありません。もしインソールが既製品のままだと、今使っているブーツは多分半日も履いていられないでしょうね。

 そしてカント調整のような調整ができるなら、買ったお店に相談して調整してもらうと良いです。またフレックスについても調整可能なモデルがありますが、そういったモデルはスキーでの基礎用の上位のブーツであることが多く、値段が高く性能的にもスキーボードにはやや不向きかもしれません。こうした購入後に調整可能な部分に関しては予めの説明がない事が多く、慣例で調整を依頼される方=理解している方と思われることが多いので気押されることもあるかと思いますが、高い買い物ですのできちんと確認をして調整が必要なら調整を依頼した方が良いでしょう。

 それとスキーボードにも使えるフリー系の一部メーカーのブーツでは、タンの部分を交換するだけでフレックスを変えられるものがあります。用途によってフレックスを変えたい方には良い仕組みかもしれませんね。

 靴下も調子が良かったときのものは使った方が良いです。二枚重ねで履いたり分厚い靴下も調子が悪くなる原因になるので、自分にあった靴下探しと言うのも安価で効果が期待できます。私のお気に入りはしまむらの靴下ですw

 最後に最も大事なのはいつも正しく履いて同じ状態にする事。これだけで意外なほどスキーは快適に楽しくなります。痛みがでるなら自分でなんとかせずにプロや経験者に相談する事。我慢したって良くないですから、悪化しないうちに改善しておきましょう。

 ブーツの調整とか言って実は何もできることはない。そんな話でしたがどうでしょう?少し自分のスキーブーツの履き方も検討してみたくなってきませんか?

 そこがスキーブーツの沼の入り口です。ようこそ、こちら側へ……

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