スキーやスキーボードの撮影、動画作りについて(その3・撮影の基本編)
この記事は連載記事になります。
前回は少し判りにくい話でしたが、いよいよ今回から実際の撮影について解説します。まずは「基本」として、スキーなどでの撮影の方法や気をつける事などお伝えします。
撮影にあたって
スキーなどの動画を撮影する場合、必ず周囲の安全を確保し、他の人に迷惑にならないよう十分に注意してください。滑走が不得手な方ほどこうした危険やルール、モラルに気づきにくいので、初めて行う場合は十分知っているゲレンデや仲間の中で撮影をすることをお勧めします。
また、撮影した動画をYoutubeなどで公開する場合、人によっては公開されることを希望しない方や、撮影した相手が意図しない不利益を与えるような動画とならないように、確認や権利、公開前の許諾などを十分に行なって公開するようにお願いします。※GRでも公開者から当方への事前の確認を頂かなかったために、残念ながらのちにトラブルになってしまった件がありました。
そして近年では様々な事情から動画撮影自体を禁止するゲレンデも出てきています。こうした情報はゲレンデのサイトやインフォメーション、告知看板などで案内されていますので、該当するゲレンデでは撮影しないことはもちろん、許可が必要ない撮影できるゲレンデであっても、皆が気持ちよく滑れるようお互いに努力しあえるようにご留意下さい。
まずは立ち止まって撮影してみよう
いきなり滑りながら撮影するいわゆる「追い撮り」は難しいので、ゲレンデの安全な場所から撮影をしてみましょう。最近の性能の良いスマホならば「望遠」モードでの撮影もできるので、多少離れたところからでも結構撮影できます。
立ち止まっての撮影が案外難しいのがGoProやインスタなどのアクションカメラです。こうしたカメラは望遠での撮影をあまり考慮していない設計なので遠いところの撮影は苦手です。撮影してもゴマ粒のように小さく写ってしまいがちです。
逆に得意なのが入学式や運動会でお世話になるハンディカムです。十分なズーム性能があり、バッテリーの持ちもさほど悪くないので止まった撮影は最も強みがあります。特に防水タイプのものは気にせず使えるのでいいですね。
止まって撮影すると気になるのが手ぶれ。手に持っての撮影はどうしても手ブレが出やすく、ズームすると後で見てられないほど揺れてしまいます。そこで役に立つのが三脚で、これを使うだけで凄く撮影しやすくなります。ただ三脚は大きく重いのでそれが負担な場合や一脚というのもお勧めです。一脚は手持ちでの撮影も可能なので、案外汎用性が高いチョイスです。
ここで注意していただくと、三脚などで撮影する場合はゲレンデの端、十分安全なところで撮影するようにしましょう。ゲレンデの中央などで撮影したくもなりますが、基本的にそれは避けるべきです。十分空いているゲレンデでも常に自分が邪魔になっていると思うことが大事、撮影に夢中にならないようにも注意してください。
止まって撮影する場合でもう一つ有効なのが動画ではなく写真撮影です。写真は動画とはまた違った味のある画を与えてくれます。プロなどは一眼レフで撮影したりもしますが、写真をとることに関してはこうした機材が最強ですが、濡れる可能性、壊れるリスクを考えてみると、やはり使えるのがスマホだったりします。
慣れないうちの写真撮影は連写でも良いですが、あえて1枚づつ撮影すると、のちの画角の練習や追い撮りでの撮影後の見え方が想像つくようになります。動画撮影がうまくできない!という方はまず写真撮影で練習してみると良いかもですね。
さあ、滑りながら撮影・・・の前に
まだ知っておくことがあるんです。滑りながら撮影する場合は基本的にストックが使える状況ではありません。なので、ストックがなくても滑れる練習がまず必要です。スノーボードならばストックは使うことがほぼないのですが、スノーボードの場合はスピードコントロールという部分の練習が必要です。
ストックがなくてもという部分ではスキーボードはとても優秀で、こと追い撮りについてスキーボードはかなり強みのあるギアです。板が短いので邪魔にならず機動力も高く、なんなら後ろ向きの滑走すらこなせるスキーボードは、使ってみると長板よりよっぽど楽です。
とは言えまず最初は最も慣れたギアで滑りながら撮影するのが一番です。ストックがなくてもいつも通り滑れるのであれば、滑りながらの撮影も難しくなくなるでしょう。
滑りながらの撮影
滑りながらの撮影は基本的に画面操作などできないため、Goproなどのアクションカムが最も簡単になります。のちの編集などでちょっと大変ですが、撮影するだけならinsta360OneX2は最強の一台です。インスタは画角や手ぶれすら気にせずに撮影できるので、本当に楽なアクションカムです。※ただしそのまま撮影データが誰でも見られないので、のちの編集が慣れないと大変です。
撮影にあたってはまず被写体との距離をずっと一定に保って滑ることが大事です。慣れてくれば敢えて距離を変えたり追い越したりとできますが、最初は「同じ速度で」滑ることが大事です。結構これがおろそかで、あとで撮影データをみるとなんか見にくくて不安定になるのは、だいたいこの距離感が原因です。
繰り返していると、同じ速度で撮影してみて段々とどういう距離感で撮影するのが良いのかがわかるようになってきます。アクションカムの場合は思ったよりも近い距離感で撮影する感じですが、こうした部分を補助してくれるのが自撮り棒の役目です。
自撮り棒を使ってみよう
自撮り棒は多くのカメラで使えます。GoProなどは多種多様な専用キットまで売っていますね。
自撮り棒を使うと適切な距離を保ったまま撮影したり、画角を変えたりすることができます。スキーの場合、迫力のある撮影は下から、風景などを織り込んだ撮影は目の高さから、動きを見せる場合は上からなどと、その場の状況や見せ方を想像して撮影できます。
ただしやはり1m以上もあるような棒を振り回すのですから、やはり周囲の安全確保は大事ですし、転倒すると大変なことになることもあるので自撮り棒を使った撮影は十分慣れてから行うと良いです。
自撮り棒を使った撮影は、完全にどういった映像が撮影できているかは経験と勘になります。慣れないうちは編集できる意味でも少し遠くから撮影して、パソコンなどで編集するときにズームすると良いですし手ぶれも気になりにくくなります。また周りの風景が見えていないと「滑ってる感」が見えにくく、滑りの動きも見せにくくなります。
撮影に大事な編集点
編集点という言葉があります。これは実際に動画として使うシーンの前後の無駄な撮影時間を指しますが、これが編集の時は凄く大事になります。撮影する場合も録画開始からだいたい5秒くらい待ってから「スタート!」という感じで被写体に滑ってもらい、撮影後も5秒くらい時間を置いて撮影を止めると、編集時に困ることが少なくなります。
場合によっては滑走前の編集点で「◯◯さんスラローム」などと、カメラにどういうシーンを撮影するか自分で声を入れておくと、あとで動画の整理の時にとても役立ちます。撮影後の編集点で入れておくのも良いですね。
また、ずっと撮影しているとあとで確認するときに凄く長い動画になってしまい、確認や友人らにデータを渡すときにとても困ります。細かく動画を切って撮影するのもファイルが多くなって大変ですが、長く撮る場合には意図的に「何も撮影していない空白時間」を間に入れておくと、動画を編集するときに凄く役立ちます。
これらのことは編集してみると凄く大事なのがわかります。経験ですね。
さあ編集!
帰宅して時間ができ、さあ編集となります。編集ソフトに動画を入れてシーンを選び切った貼ったをして音楽をつけます。最初は特に考えずに、好きなシーンを並べて後から好きな音楽をつけると良いでしょう。そしてその動画の最初にテロップやタイトルを入れれば完成!自動編集機能のあるソフトならそれでも良いですが、時間があるなら自分でやってみると「あ、このシーンもっと近くで撮ればよかった!」や、「こういうシーンが撮影できてたらい良いのになぁ」と、反省がどんどん出てきます。そう、たくさん撮影したつもりでも動画にしてみると案外足りなかったり、動画が使えなかったり使いにくかったり失敗しているものなのです。
私の場合、5分の動画を作るならその10倍くらいの時間は撮影しないと出来ないと考えています。それも画角や雰囲気、撮りたい内容など決めてあってもそれなので、もし動画公開を目的として編集まで考えるならばとにかくたくさん動画を撮影すること、これに限ります。
とはいえせっかくの1日を撮影だけで終わらせるのも勿体無いもの。最初は普通に楽しんで、ビデオブログのような気持ちで編集を考えると良いです。イベントならイベントレポートのような、そういう気軽さです。
そして大事なのが「写真」で、動画撮影ばかりで気になりませんが、写真は動画で困った時やシーンの繋ぎ、導入や雰囲気出しなどで凄く有用です。写真は撮影技術向上にも凄く役立つので、まずはここからチャレンジするのもアリだと思います。
さて、長々とお伝えしましたが次回は「見え方と見せ方」についてもっとディープに行きますよ!※覚悟してくださいw