目の障害とアイウェア(ゴーグル、サングラス)

 先日のアンケート結果を受けまして、皆さんにアイウェアについてご案内したいと思います。まずは「目の障害とアイウェア」と言うことでちょっと難しい話になりますが、話の基礎となるのでぜひご一読下さい。

目の異常?

 目はとっても大事なものです。ですが異常が起こっても分かりにくく、気がつけば大変なことになっていた、なんてのも冗談でないのがこの目の特徴です。

 目に異常が出た場合は「急性的」なものは即座に症状がでて違和感や痛み、目のしょぼしょぼ感などで異常が起こったことがすぐに分かります。ですが徐々に症状が進行していくような異常に関しては、医者にかかって初めて気がついたなどの事があったりもします。特に今回の話で出てくる「白内障」は、昔は年配の方の病気とされてきましたが今ではそうでもなく、その原因が「紫外線」にもあると言う事がわかってきています。

目と紫外線

 日の光の下では目は皮膚同様に絶えず紫外線に晒されています。一般に日焼けと言ったら肌が真っ赤に焼けてしまってしばらく痛みなどに耐えることもみなさん経験があるかと思いますが、目も日焼けします。角膜は基本的には紫外線の多くを吸収しますが、目の日焼けは角膜炎、「雪目」とも言われ、主に目の表面の角膜が強い紫外線によって焼けてダメージを受けてしまい、真っ赤になってしまう症状を言います。「雪目」で検索するとその怖い症状がいくつも出てきますが、目の充血、ゴロゴロ感、涙までなら良いのですが、最悪は失明も有り得る怖い状態です。

 この雪目は急性的なのですぐに以上に気が付きますが、割と注意が必要なのが子供の雪目で、子供は嫌がってゴーグルを外してしまったり、曇って見えないからと自分から外して滑ってしまう事が多くあります。そして子供の角膜は大人よりも薄いのでダメージが出やすく、大人が積極的に注意してあげないと困ったことになりかねません。

 この雪目を防ぐにはアイウェアの使用が必須で、紫外線をカットするだけでずいぶん軽減されます。

 ちなみにこの紫外線、よく晴れたゲレンデであれば平地の3倍とも言われるほど強くなります。これは高原であるので空気が澄んでいて遮るものがなく、太陽が近くて雪からの反射もあるのでゲレンデの1時間は平地の3時間に、半日過ごしたら丸一日紫外線に晒されたくらいの影響があります。肌は日焼け止めがあるので良いですが目はそうもいきません。これだけでもアイウェアの大切さは感じられるかと思います。

水晶体への影響

 角膜が吸収しきれないほどの紫外線は水晶体という目の中の大事なレンズに影響を及ぼします。水晶体は基本的には透明なものですが、加齢などで白く濁り始める「白内障」になると見え方が悪くなります。進行するとかすみがかったような見え方になりますがその進行がゆっくりしたもので、診察を受けて初めて気が付くなどのことも多い異常です。

 これが紫外線を受ける機会が多い人ほど若年で症状が進行してしまう事があり、問題になっています。白内障は悪くなると見えにくいために手術が必要になる異常なので、普段の生活などにも大いに影響が出てしまいます。

 網膜への影響

 見るための最も大事な部分、網膜に紫外線が到達してしまうとより深刻な異常が出てしまう可能性が高くなります。黄斑変性症も加齢が原因とされる目の障害で、これは視界が徐々に失われてしまう怖い異常ですが、紫外線の影響もあるとされています。手術によって回復の見込みがある白内障と違い黄斑変成症はなってしまったらもう回復は望めないような怖い異常ですから、これを最大限軽減させるためにもアイウェアは必要なものと感じられると思います。

とにかく「紫外線を遮断できればいい」

 結論的にはそう言う事です。角膜で十分吸収できる程度の紫外線量に落とす事ができれば、深刻な白内障や黄斑変成症は影響を軽減する事ができます。そのために必要なのが適切なアイウェアで、スキーにおけるアイウェアはもはや見やすくするためのものではなく、守るためのもの、と言って差し支えないのです。
 これは試した事がないので分かりませんが、紫外線カットをうたうコンタクトレンズは案外理想的なものかもしれません。しかし普段コンタクトレンズを使わない人が紫外線の為にわざわざ使うのも勧められるものではありません。コンタクトレンズはとても大事なものですが、適切な指導なしに安易な使い方ができるほどのものではないからです。

目の乾燥と異物

 そしてコンタクトレンズが向かない理由に「目の乾燥」があります。雪山は気温が低いために水分量が低く、乾きやすいのです。これは「飽和水蒸気量」と「湿度」で調べていただくとより分かりやすくなりますが、よく晴れた雪山はびっくりするくらい乾燥しやすい状態なのです。さらに滑走によって目が空気に晒され余計に渇きますから、コンタクトレンズだけで滑るのはすごくストレスがあると伺っています。裸眼で滑った時に急激に目に涙が浮かんできてしまった経験はあるかと思いますが、これは急激な乾燥さら角膜を守る為に目が涙をだして守っている状態なのです。

 アイウェアはこの目の乾燥を保護すると言う点でも非常に重要なものになります。そして目を覆うことで目に入ってくるゴミや氷などの異物から守ることもできます。スキーは雪の中で滑ることも多いスポーツですから、目を異物から守るもの安全に滑るためには重要な機能となります。

 このようにアイウェアはとても有用なものです。なのにいまいち使い勝手が悪く感じるのは、アイウェアの選び方にコツや知っておくべき事が多くあるからです。次回はこのあたりを解説したいと思います。

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