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戦略人事的な人事制度の作り方⑧ ~評価制度④~

今回は「行動評価」についてどう制度に落とし込んでいくかを説明していきたいと思います。
現在は行動評価≒コンピテンシー評価となりますので、どのように具体化していくか、については各社様々です。
コンピテンシーは活躍している人材に行動特性を言語化したものなので、それは会社によって違うのは当たり前で、特に経営者の意思や、実際のハイパフォーマーの特徴を強く反映したいパートです。

1.行動評価項目

行動評価の項目を策定するには、いくつかの進め方があると思いますので、それをご紹介しつつ、具体例まで提示したいと思います。

・経営者の意思

経営者として社員にどのような行動を取ってほしいか、また自身はどのように考えて行動しているのか、というものをインタビューを通じて言語化していく進め方になります。
まだ社員数が少なかったり、トップダウン式のマネジメントを推奨していたりする場合にはとても有効な進め方だと思います。
またインタビュー対象も少ないので、スピード感を持って作成することができます。
インタビューでは、過去の経営者自身の成功体験や信条のようなところから、今後どんな会社にしていきたいか、どんな人と一緒に働きたいか、という現在/未来の視点インタビューをしていきます。また「現在」については、良いところだけではなく課題感も聞くと、そのギャップを埋めるために、今できている人はいないけど、これも入れようという話にもつながるのでオススメです。

・ハイパフォーマーの特徴

こちらも上記同様にインタビュー形式で、成功体験や信条を言語化していきます。このハイパフォーマーの人選は非常に重要なので、慎重に決定していきましょう。
ここでいうハイパフォーマーはただ高い成果を出しているという理由だけで選定するのは安直すぎます。あくまで最後はコンピテンシーにつなげるため、例えば違法スレスレのことをやって営業成績を上げている人や、好業績だが部下がどんどん休職していくマネージャーなどは当然ですが、対象にすべきではありません。(会社によってはそれを良しとするところもあるかもしれませんが・・・)
また、職種や勤続年数などのバランスを見て決めることも重要な要素です。

・バリューの具体化

会社にすでにミッション・ビジョン・バリューなどがある場合は、このバリューを具体化いていくことも良いでしょう。
例えば日本でバリューを強く発信している会社にメルカリがありますが、そのバリューの1つ「Go Bold:大胆にやろう」を行動評価に直結するのは少し難しい気がします。
大胆のレベルは新卒と10年目のマネージャーで同じではダメだと思いますし、ただただ大胆にやれば良いというわけでもないと思います。
そこで「大胆」という言葉の意味のメッシュを細かく定義していく必要がありますが、それができればバリューをベースとした行動評価につなげられるというわけです。

・一般的なコンピテンシーを活用

とりあえず急いで評価制度を構築したいという場合には、ネット上にあるようなコンピテンシーを選択していくという進め方も有ると思います。
一般的なものであれば、そこまで変なコンピテンシーはないと思うので、一旦それを導入しつつ、もっとこんな行動を評価してあげたいとか、このコンピテンシーはあえて評価に入れなくても良いなど、使いながらチューニングしていくアジャイル方式で人事制度の精度を上げていくという方法です。
ただ毎回評価制度が変わると、何を大事にすれば良いのか、メッセージ性がなく、マネジメントツールとしても活用できなくなってしまうので、頻繁な変更は推奨できません。

以下にいくつかネット上に転がっていたコンピテンシーがありましたので紹介します。

・コンピテンシー項目の例

大手企業の「組織マネジメント」の項目の例で、こちらは等級ごとに記載内容を書き分けるパターンです。

大手企業のコンピテンシー項目例

中小企業のコンピテンシーの一部で、こちらは項目ごとに求める等級を定義しているパターンになります。

中小企業のコンピテンシー項目例

2.行動評価の評点

こちらは目標評価と考え方としては同じなのでサラッとご説明したいと思います。
説明は簡単なのですが、評価するほうはとても難しいです。ということで、後段では少しだけその点に触れて説明したいと思います。

・評点

目標設定と同様で何段階で設定するか、それぞれの段階をどう定義するか、というところを決めたら終了となります。
以下5段階で設定するときの例を提示したいと思います。

評点の定義方法

・行動評価をする際に注意点

目標評価のように定量化しにくいので、策定した後に、どうやって評価するのか、具体的にはどのレベルがAなのか、という点について評価者トレーニングなどを通じて評価者全員で共通認識を持つ必要があります。
その時に1つ特に注意したいのが、行動の発揮頻度です。評価をするのは人なのでどうしても目立って良い行動や、悪目立ちしてしまった行動は記憶に残りやすく、それを元に評価してしまいがちです。
ただ理想的には、行動は発揮頻度も加味して最終的な評価をすべきだと思います。Aレベルの行動が8割くらいの確率で発揮できていたら本当にA、Aレベルもたまに発揮されるけど基本はBレベルだとしたら、Bが妥当ということです。

以上です。
今回はここまで。全10回で人事制度について語ろうと思っていたのでもう終盤です。
もう少しだけお付き合いください。

もし何か聞いてみたいことがあればお気軽にご連絡ください。また人事制度について個別に相談に乗ってほしいなんてこともあればそれもお気軽にどうぞ。

数ある中から、お越しくださって、 ありがとうございます。 人事って正解がない。 でもできるだけいい方向に持っていきたい。 そんな事例が自分の中に溜まったら、おすそ分けできるように頑張って体系的にまとめていきます。 ご縁があれば奇跡的に巡り会えますことを・・。