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スタートアップ企業が「投資契約書」を受け取ったときに気をつける条項

皆さま、こんにちは。
弁護士をしております、中野秀俊と申します。
今日のテーマですけれども、スタートアップ企業が「投資契約書」を受け取った場合に気をつける条項という事でお話をしたいと思います。スタートアップ企業が、例えば投資家の方やVCの方からお金を集めて資金調達をしていくという時に、投資契約書というものを締結します。その際、自社で発行する契約書の場合は良いのですが、相手側から受け取るという場合も結構あるかと思いますので、その際にどういうところに気をつけなければいけないのかという事をお話したいと思います。

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新株にまつわる条項

まず気をつける条項としては、基本的なところですが自社が発行する新株数です。更に、発行金額と払込期日、増加する資本、割当方法といったお金まわりの条項について確認をして下さい。結局、当たり前の事ですが、資金調達なのでお金をいくら調達するのか、そして株式をいくら放出するのかというところが肝になってくるので、ここをきちんと把握するという事が大事かなと思います。まれに、当初約束していたものと契約書の内容が違っているのに、そこを見ないでハンコを押してしまって後から大変な事になるという例があります。なので、ここは基本的なところですが、今一度確認をして下さい。

表明保証条項

その他に、表明保証条項というものがあります。これは何かというと、スタートアップ側は色々な情報を開示します。例えば、決算書、売上、現状はこういう状況だという事を投資家に開示しますが、これが真実であるという事を表明するものになります。この表明保証条項については、表明保証とタイトルが書いてありますので、ここについては今一度チェックをして下さい。なぜかというと、表明保証条項違反の場合については契約が解除されて、株式を買い戻す義務が生じ、損害賠償が発生する可能性があります。なので、色々と書かれていますが、難しい言葉があった場合はきちんと調べるなどして、何を保証しているのかというところを確認して下さい。保証をしているという事は、これが破られた場合には契約が解除され、お金を返さなければならない可能性も出てくるので、何に対して保証をしているのかというところはきちんと把握をして下さい。よく設けられている条項に注意しなければいけない条項があります。それは少し長いのですが、「会社および株主は、投資家による株式引受の判断に影響を与え得る重大な事項をすべて報告しており、そのほかに重大な事項はなく、また今後重大な事項が発生するおそれもないこと」という様な条項です。「自分たちが投資家たちに与えた情報は、重大な事項は全て報告している」という事や、また「今後重大な事項が発生するおそれもない」という事を保証しているという契約書になっているわけです。特に、例えば「今後重大な事項が発生するおそれもない」という事を保証してしまうと、スタートアップは何があるか分からないので、そこまで保証しても良いのかという事にもなってきてしまうわけです。こういったものが紛れ込んでいたりする事があるので、表明保証条項については特にどういう事が書かれているのかをきちんと把握する様にして下さい。「今後重大な事項が発生するおそれもない」という条項については、そこまで保証できるのかという部分があるので、削除する事が難しいのであれば、「会社が知る限り」という形で、我々が知る限りという様な条項を足す事で、仮に今後重大な事項が発生した場合でも、その時は知らなかったという事で逃げるというテクニックもあります。
いずれにしても、投資契約書については、相手から送られてくるから、VCといって大きなところから送られてくるから大丈夫だろうと思っていても、基本的なお金の部分や株式数、表明保証についてはきちんとチェックをする事が大事かなと思います。

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