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社員の引き抜きで5,000万円の賠償命令!引き抜き行為はOK?NG?

皆さま、こんにちは。弁護士をしております、中野秀俊と申します。

今日のテーマですけれども、引き抜きで5,000万円の賠償命令!引き抜き行為はOK?NG?というお話をしたいと思います。引き抜きについては以前もご説明しましたが、これについて結構、衝撃的な裁判例が出たのでご紹介をしたいと思います。

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引き抜き行為に賠償命令が出た!

引き抜き行為に賠償命令が出ました。デロイトトーマツコンサルティングの元役員が転職先の競合他社に元部下を引き抜いたという、いわゆる引き抜きの事例です。これについて東京地裁が5,000万円の支払いを命じたというものです。結構、大きな額の支払いが命じられました。以前もご説明しましたが、引き抜き行為は良いのか?悪いのか?という事になると、原則的には違法性はないとされています。従業員の引き抜き行為自体は原則として違法性はないとされています。これは営業活動の一環という部分もありますので、最終的に決めるのは労働者の方ですし、それに対して引き抜く、引き抜かれるという事は営業行為、競争行為の範囲内であるというのが原則的な考え方です。

引き抜きが違法な場合

ただし、違法な場合というのがあります。これは何かというと、社会的相当性を逸脱し、極めて背信的な方法で行われた場合です。つまり、引き抜き行為自体は合法だけれども、そのやり方が汚い、ダメな場合には違法となり、損害賠償になるという形になっています。引き抜き行為が違法になる場合としては、例えば、在職中や退職から間がない場合に引き抜きがある場合です。在職中に行われた場合や辞めてすぐだと悪質性が高いとされます。また、会社や経営者の誹謗中傷をする、あること無い事を言う、「会社、倒産しそうらしいよ」などといった嘘を言う事もいけません。更に、顧客への働きかけの有無や引き抜かれた従業員の数なども問題となります。100人いる中の50人を引き抜いたなど、大量の従業員を引き抜いたという場合は明らかにやり過ぎとされます。また、引き抜きによって元の会社の損害が大きい場合も問題となります。これらを総合的に判断します。どれか1つが当てはまると違法というわけではなく、総合的に判断をしてその引き抜き行為自体に悪質性があるのかという事を判断するとされています。

引抜き行為違法の判決のポイント

では、今回の5,000万が認められたケースはどうだったのかというと、プライベートなメールを使って複数の従業員を秘密裏に勧誘していました。これは在職中に行っていました。更に、転職後の給与額や配属先を確約し、デロイト社を批判する記事をネットに掲載する事に加担していたなど、あまりにも悪質性が高いとされて5,000万円の損害賠償請求が認められたわけです。

なので、このように引き抜かれた方からすると、とんでもないという話になるので、損害賠償を請求したいというご相談は弊所にもたくさんきます。ただ、その時にはどういう対応で引き抜きをされたのか?という事が重要になってきます。実際に勧誘されたけども、まだ残っているという人たちに対してきちんと裏をとるなどして証拠を固めていくという事が大事かと思います。裁判例としてこれが認められたという事はかなり画期的かと思います。きちんと悪質性があれば引き抜き行為も損害賠償の対象になるという事が認められた事は画期的だと思っています。

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