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BluAgeが21名の内々定を取り消し。内々定の法律的な注意点【解説】

皆さま、こんにちは。
弁護士をしております、中野秀俊と申します。
今日のテーマですけれども、「BluAge」内々定21人取り消し。内々定の法律的な注意点というお話をしたいと思います。

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内々定の法律的な扱いとは

これはTwitter、SNSで話題になり、報道もされましたが、アプリの運営会社であるBluAgeが内々定の47人のうち21人の取り消しをしました。実際に取り消された人がTwitterに書込みをして拡散されているというところです。会社側は最終の採用選考プロセスでの評価で内々定を取り消す可能性があったとしていますが、それについて説明があった、説明がなかったという事で拡散されて炎上したわけです。では、そもそもこの内々定とは何なのか?どういう位置づけなのかという話です。
まずは内々定の一歩進んだ内定という状態が何なのかというと、法律用語でいうと始期付解約権留保付雇用契約となります。漢字が多いですが、簡単にいうとまずは雇用契約です。この内定という段階で雇用契約が締結されているという事をおさえておいて下さい。始期付解約権留保付という話なので、解約する事もできるという留保が付けられているという雇用契約なわけです。内定段階でも雇用契約が締結されているので、内定の取り消し≒解雇となります。解約権が留保されているとはいっても、いわゆる合理的な理由がなければ内定の取り消しはできません。そして日本の場合、合理的な理由というもののハードルが非常に高いです。これは雇用契約の時にもご説明しました。つまり、解雇と同じ形なので内定の取り消しというのは原則的にはできないという話になるわけです。これが内定です。
では内々定とは何かというと、法律的な区分はありませんが内定の決定前の段階です。つまり、正式な内定を追って通知するという段階なので内々定の場合は雇用契約が締結されていません。契約が締結されていないので取り消しても問題はないだろうとなるわけですが、ただ内々定の取り消しが問題となるケースもあります。

内々定の取り消しが法律的に問題となるケース

それは内々定の取り消しが内定の取り消しと同視できる場合です。例えば、内定通知の数日前に内々定が取り消されました。この場合、内定されるものだろうと思って就職活動をやめてしまっているなどの話になると、期待権の侵害にあたり慰謝料の支払い命令がされたという実際の裁判例があります。なので、内々定では雇用契約は締結されていませんが、内々定だからいつでも取り消しても良いわけではないというところは企業側も十分注意が必要です。
 この事例でもそうですが、やはりこういった事があると今はSNSの時代なので書き込まれてしまって、炎上してしまうという可能性があります。実際にこれが違法かどうかは別として、会社への誹謗が出て、今の人を雇う事が難しい時代に会社の悪評が広まってしまうと、今後なかなか人を雇う事ができなくなってしまうかもしれません。なので、内々定を出すにしても慎重に行う必要があるのかと思います。
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