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夏休みは有給で!これって法律的にOK?

皆さま、こんにちは。
弁護士をしております、中野秀俊と申します。
今日のテーマですけれども、夏休みは有給で!これって法律的にOK?というお話をしたいと思います。

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有給休暇の取得義務

今はちょうど夏休みの時期ですが、これは夏休みに限らず、春休み、秋休みすべてに当てはまる事になります。会社の方で夏季休暇だとされている休暇に「有休を使ってね」とするのは良いのか?というお話です。これはなぜこういった事が行われているかというと、2019年4月から10日以上付与される年次有給休暇に対して、年5日は必ず有給取得を義務付けるという法律となりました。

なので、基本的には有給休暇を余らせてはいけない、5日は必ず取らせなさいとされています。会社側としてはそれを取らせなければいけないけど、どうするのかとなった時に、「有休なんか使うんじゃねぇ」という会社の場合、例えばこの5日を夏季休暇に充てようとなってくるわけです。しかし、本当にこれは良いのか?という事でご説明したいと思います。

夏季休暇の法的性質


まず、夏季休暇というものが就業規則や契約書などにある場合です。「夏季休暇5日」といった規約になっている就業規則がある場合には、これは労働者の権利になります。有給休暇とは別に与えられているものになるので、会社が夏季休暇自体を廃止して有給休暇とするのであれば、就業規則なり契約書を変更するという話になります。契約の変更に関しては、不利益変更といって労働者にとっては不利益になります。このような就業規則や契約の不利益変更については労働者と合意をする必要があります。勝手に変えてはいけません。なので、きちんと合意をとる必要があります。労働者との合意がないと、これは当然、違法になりますし、合意を得たとしても変更後については就業規則がこのように変わったという事をメールなり何なりできちんと周知をしなければいけません。さらに、変更内容には合理性が認められなければいけません。なので、変えたとしても合理性があるのかという点が見られ、労働者と合意をしていたとしても合理性がなければ、それは無効になる可能性もあります。

夏季休暇が就業規則にない場合

では、就業規則に書いていない場合はどうなるのかというと、書いていなかったとしても従業員に夏季休暇みたいなものが有給休暇ではなく、実際上、与えられていた。そして、それが何年も続いていたという事が立証できれば、これは慣行として規約になっていたという事で黙示の同意となり変更する事はできなくなります。
これらの事から、「今年の夏休みは有給でお願いね」という事は一方的には言えません。その場合は、労働者の同意をきちんととり、周知させるという手続きが必要になるという事は十分に注意していただければと思います。

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