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残業代は歩合給に含まれる?タクシー会社に残業代の支払い命令!

皆さま、こんにちは。
弁護士をしております、中野秀俊と申します。
今日のテーマですけれども、残業代は歩合給に含まれる?タクシー会社に残業代支払い命令というお話をしたいと思います。

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残業代は歩合給に含まれる…これってOK?


これは報道でもありましたが、京都地裁で実際にあった事件です。
タクシー会社で運転手の方が原告です。タクシー会社の場合、基本給と歩合制、つまり儲けた額に応じて支払われるという二段階になっている事が多いかと思います。このタクシー会社も同様に給料とプラスして売上に応じて変動する基準外手当というものが支給されていました。ここで原告は何を言ったかというと、残業代と深夜帯に働いた分の割増賃金を払うように請求しました。これに対して会社側は、残業、深夜・早朝労働は基準外手当に含まれており、他に出すものはないと主張しました。しかし原告側は、基準外手当は残業代などではなく、あくまでも総労働時間の対価であると主張しました。ポイントとしては、この基準外手当、歩合給というものに残業代、深夜・早朝の割増賃金が含まれているのかどうかという点です。

歩合給に残業代が含まれるための要件

歩合給に残業代などが含まれるのかという事に関しては、最高裁判例があり、労働時間賃金と割増賃金が判別できる事が必要だとされています。なので、「〇〇手当」といった場合に、この「〇〇手当」に残業代などが含まれているとする為には、その手当がどういう記載をされていて、何の名目で出されているのかという趣旨や契約書の記載内容、つまり「残業代を含む」と記載されているのかという事が大事で、それで考慮していきましょうとされているわけです。

歩合給を残業代に含みたい場合には、明記することが必要

今回の判決では、このタクシー会社では基準外手当が残業代の対価や深夜・早朝の割増賃金の対価であるという事が書かれていませんでした。また、売上に応じて算出されている事から純粋な歩合給であるとされ、残業代や割増賃金が含まれるとはいえないという事で原告の請求が認められました。
歩合給を採用している会社では「歩合給を払っているのだから、残業代とかもここに含まれている」とは言えないわけです。残業代などを含みたい場合は、必ず雇用契約書なり就業規則なりに書いておかなければいけません。「基準外手当、歩合給には残業〇〇時間分、深夜の割増賃金の〇〇時間分を含む」という事を書いておかないと、割増賃金とはいえないという点は十分に注意が必要かと思います。

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