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サイバーエージェントが初任給42万!固定残業80時間はあり?

皆さま、こんにちは。弁護士をしております、中野秀俊と申します。

今日のテーマですけれども、サイバーエージェント、初任給42万円、固定残業80時間はあり?というお話をしたいと思います。

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時間外労働80時間ってあり?

これについては大々的に報道もされましたし、Twitter、SNSでも話題になったテーマなのでご存知の方も多いかと思います。サイバーエージェントが初任給で42万円という一般的な初任給の倍くらいの金額を出しました。ここで「すごい、高いじゃん!」となったわけですが、よくよく見てみると、時間外労働80時間込み、深夜が46時間あるかもしれないという事が書いてあり、「えっ?こんな残業込みで42万なの?」「実際、そんなに高くなくない?」となったわけです。その是非、これが良いのか悪いかという事は少し置いておいて、法律的にはこれは良いのかというお話です。

固定残業代の法律について

以前も固定残業について、「固定残業代込み」といったお話はしたかと思いますが、なぜそういった事をするのかというと、わざわざ残業を計算しなくてもいいからです。「この基本給には固定残業がこれだけ含まれていますよ」となると、残業代の計算をしなくていいため、労務管理が楽になります。

残業規制の法律

残業についての説明の際にもお話しましたが、36協定というものを結ばなければ残業をする、させる事はできません。ただ、36協定でも無制限に残業をさせる事ができるというわけではなく、原則月45時間、年360時間と決まっています。ただし、特別な事情や労働者側、使用者側が合意する場合には年間720時間以内、月100時間までは残業させる事ができるとされています。ここでも大体平均2ヶ月~6か月の間で80時間以内にする事や、月45時間の残業を超えてOKなのは年6か月、半年までといった細かいルールもあります。今回のサイバーエージェントの固定残業80時間というのは、この基準という事ですね。平均すると80時間くらいまでにするようにとされているので、マックス80時間までの固定残業を設定しているという話なのかと思います。別にこれは固定残業で80時間が含まれているからといって、必ず80時間の残業をさせるというわけではありません。上限80時間まではこの給料に含まれているという意味なので、これより少なくても、残業が0でも当然42万円は支払われるわけです。

残業規制の裁判例

では実際にこの月80時間、マックスで残業をさせた場合これは良いのかという話があるわけです。実はこれには裁判例があります。80時間分の固定残業が含まれているという規定はどうなのかという事について無効とした東京高裁の判例があります。1カ月当たり80時間程度の時間外労働を継続する事は疾病や労働者の健康を害する恐れがあるため、こういった規定は無効だとされています。では、今回の裁判の例も無効なのかというと、そんな事はないと思っています。もちろん、無効かどうかというのはまだ分かりませんが、この裁判例の場合は基本給がかなり低く、さらに個別事情というところもありました。なので、あくまでもこの裁判例のケースでは固定残業80時間込みは無効とされているだけで、80時間分の固定残業だから無効とされているわけではない事は注意が必要かと思います。もちろん、サイバーエージェントも上場企業ですから、その辺はきちんと分かっていると思いますが、一応、固定残業80時間分については無効とされている裁判例もあります。

企業として、「サイバーエージェントがやっているからうちもやっちゃおう」となってしまうと、無効になってしまう可能性もあります。なので、ここは慎重に制度設計をする必要があるかと思います。

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