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【基礎から学ぶ人事制度│コンセプト設計編】人事制度のねらいを整理し、人事ポリシー・ペイポリシーを設計する

このコラムは、グローセンパートナーの人気セミナー「動画で学ぶ人事制度」の内容をまとめたものです。人事制度から人材育成・教育に関する全体像を理解し、人事制度設計で押さえるべきポイントを説明します。

動画で学ぶ人事制度とは
動画とテキストに沿って演習や事後課題を進めることで、人事ポリシーの設計、等級・評価・報酬制度の概要設計、教育体系などの概要設計ができるようになっています。より詳しく学びたい方は、ぜひテキストをダウンロードして動画をご覧ください。

今回は、戦略や組織風土から人事ポリシーを導き出す方法、報酬の支払いコンセプトを定めるペイポリシーを導き出す方法など、入り口が分からないと時間がかかりそうな概念設計を演習を通して短時間でできる流れをお伝えします。


人事制度とは

人事制度とは、従業員の処遇に関する仕組みです。主に等級制度、評価制度、報酬制度から成り立っています。人事制度の設計は、非常に難易度が高いです。戦略・組織風土・社員のキャリア・人材育成の方向性・人件費管理など、考慮しなければならない視点が多岐にわたります。また、等級制度・評価制度・報酬制度の設計には、いくつもの整合性を取る必要があります。

最近は、働き方の多様化から、等級制度設計の設計において、地域限定・職種限定・短時間労働など、いろいろな視点を盛り込む必要も出てきています。

人事制度改定のねらいの整理

人事制度改定のタイミングは、会社の状況によりますが、成長ステージが変わって組織構造を変えたい時、特にマネジメント機能を強化したい、組織の階層を増やしたいといった時に必要になってきます。

社会や法律の情勢が変化した時、初任給含めて給与水準を上げたいけど、原資確保が難しい時、中途入社の社員が増えて全体の整合性が取れない時などに相談を受けることが多いです。

人事制度改定を考える時、「攻め」の視点で、人事制度を導入するだけでモチベーションが上がると考えるのは少し大げさです。実際には、いろいろな要素を考慮し、整合性を取りながら変えていくことになります。

それよりも大事なのは「守り」の視点です。人事制度改定は、将来のリスク軽減や仕組みの見える化が大きな狙いになります。特に我々が意識しているのが、「現場でやりたいことを邪魔しない人事制度」の設計です。採用したいが年収水準が合わなくて採用できない、現場で負荷がかかり過ぎて面談ができない、こういったことがないように人事制度の設計を進めています。

人事ポリシーの作り方

経営戦略と人事制度の関連性についてお伝えします。参考にしたいのは、マッキンゼーの7Sモデルです。この7Sモデルの7つの項目、戦略・組織構造・評価システム・求める行動・人材配置・知識/スキル・組織風土の整合性を取ることが大切です。

人事制度では、求める行動・人材配置・評価システムの3つの仕組みを整えることになりますが、知識・スキルの視点(人材育成の視点)も連動性を持ちながら仕組みを変えることで、整合性が取れた施策になります。

人事制度改定の準備として、まずは「経営戦略との整合性」について、経営者と人事担当者が共有した後に着手することが重要です。「人事制度上の問題点の抽出」も事前に整理しておくとよいでしょう。

次に、人件費の増減の目標を事前に定めることが有益です。報酬水準の調整に際しては、2~3年の移行措置を講じることが必要です。これには、一時的な人件費の増加も含まれることを認識しておくべきです。

下記のように戦略・組織風土・求める人材像・人事制度の整合性を持って、人事制度のありたい姿が人事ポリシーになります。

人事制度改定の心構えとして、人事制度の導入だけでなく、人材配置や育成、報酬配分などを考慮することが重要です。マネジャーのマネジメント力やコミュニケーション能力も、評価制度の運用には重要なポイントとなります。人事制度を厳格に運用するあまり、中途採用や昇進に悪影響を与える可能性があります。複雑すぎる評価制度の導入は避けるべきです。

人事制度を変えることは、報酬の再配分をすることです。それに伴う戦略的なストーリーを明確にしておく必要があります。各施策の整合性を確保し、組織風土の改革を促すことで、企業業績に寄与する改革が可能です。経営者は、ぶれないリーダーシップが求められます。

戦略と人事ポリシーを連動させるためには、経営戦略、組織風土、求める人材像、人事制度の視点で「現状」と「将来的な姿」を整理することが必要であり、それにより人事制度改定の方向性が明確化されます。

より詳しい内容は、テキストをダウンロードしてご覧ください。「⼈事制度改定の準備・⼼構え」のチェックリストも載せています。

ペイポリシーの作り方

ペイポリシーとは、報酬をどのように配分するのかという基本的な設計のことです。まずは、自社での一般社員と管理職にどのような貢献を求めるか考えてみましょう。

例えば、管理職には①創出した成果と④役割を求めるとするならば、成果主義・役割主義の折衷になります。この番号を、昇格、給与、賞与の軸に振り分けて考えます。番号を振り分けることで、ペイポリシーの設計が可能になります。

昇格(等級)・給与・賞与・ 年俸制の切り口で分けた例

マネジャークラスで、
①創出した成果 ②成果を出すまでのプロセス ④役割 ⑫人格 が選ばれたとすると、
等級は、役割基準(ポジション)に基づいて決定
給与は、人格を含めて行動基準の評価に基づいて決定
賞与は、目標管理を使って、成果と成果プロセスに基づいて決定
など、ペイポリシーを設計できます。

一般なペイポリシーでは、給与は、管理職は役割に基づき、一般社員は成長や能力に基づき配分されます。賞与は、会社の業績、部門の業績、個人の評価結果に基づいて支給されるケースが大半です。昇格に関しては、過去の評価結果と将来の可能性が考慮されます。

人事制度の構築・再構築は、会社にとって重要なイベントです。ビジネスモデルや、戦略、組織風土、求めるキャリア、働き方の変化、社員の年齢分布、将来の人件費推移、労務リスクの低減などの要素を加味し、シンプルながら効果的な仕組みを設計することが重要です。経営者と人事担当者が議論し、自社に適した人事制度を設計してください。

より詳しく学びたい方へ

より詳しく学びたい方は、動画をご覧ください。テキストと演習用ワークシートは弊社HPからダウンロードできますので、ご利用ください。

動画

テキスト・演習用ワークシート

下記より無料でダウンロードできます。


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