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四国遊び遍路 71番〜75番

四国八十八カ所札所を区切り打ちを20年前からしています。
お遍路をしていると、 時々不思議な体験をすることがあります。

これは2017年4月、67歳の春に香川県71番から75番までを打ったときのことでした。
71番の弥谷寺の山門、前を歩いておられる先達さんの後ろ姿が映り込んでいます。

六十歳で定年退職して、遅れてきた仕事人生はピークを迎えていました。
平成天皇の退位に関する報道が流れる日々でした。

時間に追われ、この年も春のお彼岸のお遍路に出そびれていたら、お大師さんからのお呼びがかかりました。とにかく来なさい!香川は桜が満開🌸ですよ〜。
4月に入って三日だけ時間が取れたので、あたふたと四国に向かいました。
急な呼び出しでした。その通り、香川はどストライクの桜が満開、春爛漫の候でした。

時間がとれないこともあり、JRから遍路道に入りやすい場所ということでの71番から75番でした。香川は70番札所まではかなり前に区切り打ちしています。
この回は、愛媛のお遍路の定宿に一泊して出遅れた朝、予讃線でみの駅に降りて歩き始めましたが、初めはなかなかお遍路道が見つからなくて空模様も怪しくて不安になります。

遍路道に合流する道が分かった途端、不思議なことに、濃い春霧で塞がれた空から陽がのぞきます !
これで歩ける!魂が喜んでいる!と思うと、ここで気持ちが解けたように泣けてきたのです。

ここから山に入っていくという遍路道への合流点、一人で不安な私にとつてお大師さん?代行さん?のような人が現れたのです。その方はお遍路のベテランさんでした。
山の中の道はいつも不安です。案の定、イノシシが掘り返して荒れた道が続きました。一人ではとても怖かったところでした。
ブレーキになるだろうと、申し訳ない気持ちもありましたが、山の道でお大師さんに会えた気分で、有難くご一緒していただきました。同行三人でした。

第71番札所 弥谷寺

不思議なことが続きました。
71番弥谷寺、まさに山岳の密教寺院で磨崖仏もあり、鬱蒼とし冷厳な空気感のある所でした。本堂の奥の岩の祠に踏み入るなり、懐かしいような優しいエネルギーに満たされて、いきなり涙が溢れ出てきます。
そこから出たあともしばらく気持ちのよい涙が止まりませんでした。

お大師さん代行さんは、涙をながす姿を見て
「そういう感動がお遍路の醍醐味だよ!」
「折角、お遍路していても、そういう経験ができない人もいるんだよ!」
「あなたは今いい経験をしている!素晴らしい!」
「きれいな涙だ!」
と、声をかけてくださいます。有難くて、また、涙…。

そこからは、途中までもう一人、足を痛めた方が加わって、同行四人。

第73番札所 出釈迦寺

私のヨタ話が面白いから今日は一日同行するよとご一緒して下さいました。

第72番札所 曼荼羅寺

第74番札所 甲山寺

雨は降ったり止んだり、不思議と歩いている時は止むの繰り返し・・・
麦秋の畑の中を風が渡っていく。 問わず語りして歩く、満ち足りた道。途中ではタイミングよく、おうどんの出汁が匂ってくる。麦畑の中に突然、製麺所が現れて、お腹を満たしてくれる。

第75番札所 善通寺

その日のゴールではついに本降りになりました。

休みは明日まで、明日もかなりの雨の模様。帰ってからの仕事のことを考えて、歩きたい思いに蓋をして打ち止めとしJR善通寺駅に向かいました。

人の情けが染み入るお遍路でした。小林さん、渡辺さんありがとうございました。

朝、1時間出るのが遅れたのは、そういう訳があったのです。〜我が計らいにあらず〜。あのタイミングを外したら、代行さんには会えていませんでした。

このような体験が続く。毎回、四国に足を一歩踏み入れたその瞬間から、「魂が喜んでいる」その感覚があるのです。だからお遍路はやめられない。それはお四国病だと言う人もいます。

また、コロナの隙を見て、四国に舞い戻ります。
体力も気力も経済力も衰えても、きっと四国に足を踏み入れたら元気になるはず。何とでもなるはずです。

代行さんが話していた雲辺寺のシャクナゲが美しいこと。
いつか、シャクナゲを尋ねて 雲辺寺、山登りします。
私のお遍路は、ついでにお花見の遊び遍路なので、寄り道だらけですが・・・。

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