高齢者への連絡にはiPadを使おう。

 現在、新型コロナウイルスは、さほど恐れる必要は無くなった。
 なのだがとにかく、事実として一時は、うっかり帰省も出来ないなんて状況になっていたわけだ。
 そしてたぶん、再びそうなる可能性はある。

 なので、遠隔地の家族や親戚との連絡用に、TV電話を用意しておいた方が良いんじゃ無いかな? というのが、筆者的な意見。
 そして現状、それにはたぶん、入念に設定したiPadが最善だ、というのが今回の記事。

 といいますか、入念に設定すれば、スマホはとても使えないような、かなり呆けた老人にも使えるはず。

 および、音声だけの固定電話からiPadのTV電話に切り替えれば、顔をもながらの通話だから、オレオレ詐欺は出来なくなる。
 だから、固定電話なんて時代遅れデバイスはもうお払い箱にしてiPadに切り替えた方が良いんじゃ無かろうか?
 というのも、今回言いたいこと。


1・必要なもの。

(1)iPad。無印でもminiでもAirでも可。中古で良い。
(2)カバー付きの対応ケース。カバーの開閉がオンオフと連動しているもの。そうで無いのは不可。
(3)何らかのインターネット回線。電話番号は不要。
(4)アプリは『FaceTime』と『ショートカット』を使用する。iPadもあまり古いと『ショートカット』が使えないので、ここは注意。
(5)現状、iPhoneでは駄目。他の通話アプリでも駄目。androidも駄目。
(6)応用としてiPadの代わりにiPhoneXSやiPhone11Proでも良い。ただし最新機種は不可。


2・対象

(1)想定するのは、記憶力が衰えてしまい、新しいことは全く記憶できない、そんな高齢者。
(2)普通にスマホが使えるなら、そちらの方が良い。
(3)その高齢者自身では無く、その身内(スマホを熟知した人物)が設定することが前提。


3・iPadの設定

 もちろん実際に使う人次第で、必要に応じてアプリを足すなどして結構。だが基本的には、FaceTime専用機に、それ以外は一切の機能が無いデバイスに、設定する。

(1)パスコードは掛けない。

(2)セキュリティが弱くなるので、不正アクセスされても構わないくらいに、最低限の情報、最低限のデータだけにしておく。(スクリーンタイムの方で徹底的に機能制限し、それによりセキュリティを高めておく)。

(3)FaceTime以外のアプリは、可能な限り全てアンインストールする。

(4)『設定』→『画面表示と明るさ』→『ロック/ロック解除』(対応ケースを装着した場合にだけ出現する)を、オンにする。これで、ケースのカバーの開閉と画面のオンオフが連動する。

(5)『連絡先』には、家族および知人の名前または仇名と、FaceTime用アカウントひとつだけを、登録する。FaceTime通話以外はしない前提なので、他の情報は載せない。

(6)および、設定が完了した後には、『連絡先』アプリもアンインストールする。加えて、『スクリーンタイム』で新たなアプリのインストールを禁止する。これでそのデバイスからの『連絡先』の修正は出来なくなるが、appleアカウントにデータは残り、必要ならwebから修正できる。(そうしておかないと、使用者が操作を誤り、意図せずして『連絡先』情報が書き換えられる恐れがある)。

(7)『ショートカット』を利用し、ホーム画面上のアイコンを一回タップするだけでFaceTime通話が出来るようにする。分かりやすくするため、ホーム画面からは、それ以外のアイコンはカメラもフォトも全て削除する。


4・それでどうなるのか?

 以上のように設定すると、

(1)カバーを開けるだけでスイッチオン、閉じるとスイッチオフとなり、非常に分かりやすい。

(2)ホーム画面上に、家族や友人の名のアイコンが並び、それを一回タップするだけでFaceTime通話が出来る状態となり、これまた非常に分かりやすい。

 だから記憶力が怪しくなった高齢者にも使える、という寸法。および電話番号が無いので迷惑電話と迷惑SMSは絶対に来ない。


5・オプション

(1)必要に応じ、『設定』→『アクセシビリティ』→『タッチ』を調整する。筆者の場合は、『タッチ調整』で、『タップ補助』を「タッチ開始位置を使用」、『タップ補助ゼスチャ開始までの時間』を「4.00秒」、『スワイプゼスチャ』を「オフ」にして家族に渡している。トリッキーな設定と思うが、これだとスワイプで検索やAppライブラリが出てくることが無くなる。筆者的にはお勧め。

(2)必要に応じ、『設定』→『スクリーンタイム』で機能制限する。筆者の場合は、FaceTime以外は何も出来ないよう、徹底して機能制限している。メールも禁止ならsafariも禁止、アプリのインストールも禁止、みたいに。筆者的には、セキュリティの観点から、そうすることをお勧めする。および、スクリーンタイムにパスコードを設定しておくことも。

(3)必要に応じ、『設定』→『アクセシビリティ』→『通話オーディオルーティング』の『自動で電話に出る』を「オン」にする。(1)の設定にする場合、スワイプが出来なくなるので、必ず「オン」にする必要がある。筆者の場合は、そう設定している。

(4)必要に応じ、『設定』→『スクリーンタイム』→『コミュニケーションの制限』で、『許可された通信/通話』を”連絡先のみ”にする。(iPadの代わりにiPhone XS等を使い、通常の通話simを使う場合には、こうした方が良いかもしれない)。


6・あとは実際にお試しください

 とりあえず以上。
 実際にやってみないと分からないし、やってみると一発で分かるので、あとは実地にやってみてください。ただし非常に手間がかかると思うので、時間がある時に腰を据えてやりましょう。

 筆者の場合、艱難辛苦の末に以上のような設定を見いだし、それでやっと高齢の親戚と連絡できるようになった。siriの使い方すら憶えられないくらい、呆けてしまった人だったんだけどね。

 androidには無いapple製品のメリットのひとつは、このように色々と複雑な設定が出来る、という点だ。少々トリッキーなことも出来る。

 応用として、iPhoneもXSや11Proならば、対応するカバー付きケース(手帳型ケース)との組み合わせで、同様のことが出来るはず。
 こちらならば必要に応じて普通の音声通話も出来るように出来るので、ただし迷惑SMS対策の手間が必要になるのだが、人によってはよりよい選択かもしれない。


7・何故、iPadなら良く、スマホでは駄目なのか?

 一応付け足しで、何故スマホでは駄目なのか、説明。

 とは言っても簡単な話。要するに呆けが始まった老人には、電源ボタンがどれなのか記憶できないし、ロック解除の方法も記憶できない、ということ。

 これに対し、iPadならカバーの開閉だけで済むので、間違えようが無い。


8・何故、スマホの音声通話では駄目か?

 さらに付け足し。何故普通の音声通話では駄目なのか?という説明。

 スマホで音声通話しようとすると、画面が切り替わるわけだ。通話画面に。
 健常者なら問題ないんだが、ボケ老人だと、それに惑わされてしまい、うろたえて、触らなくて良いところを触ってしまう。とりわけ、一番大きくて目立つ終話ボタンを。
 少なくとも筆者の親戚の場合はそうで、だから通話することが自体が困難だった。

 これに対してFaceTimeだと、画面は切り替わらないし、大きな終話ボタンも出てこない。だから、惑わずに済んだ。

 ついでに筆者の親戚は、スマホのスピーカーを正しく耳に当てることが出来なかった。これ、ちょっとずれただけでも聞こえなくなる。だからスピーカーフォンで話すしか無く、それには「顔を見ながら話そう」が手っ取り早かった。


9・何故、他の通話アプリでは駄目なのか?

(1)FaceTimeなら、ホーム画面上のショートカットを一回タップするだけで通話できるよう、設定できる。他のアプリではそれが出来ないし、記憶力に障害がある人物にはアプリの使い方など憶えられない。

(2)記憶力に障害がある人物は、ホーム画面への戻り方すら記憶できない。FaceTimeなら、通話を終了した後、自動でホーム画面に戻る。他のアプリでは、そうならない。


10・結局、高齢者への配慮が足りない。特に記憶力に障害がある人への。

 iPhoneには、障害者のための設定が色々とある。
 なのだが、世の中には記憶に障害がある人物が現実にいるわけだ。および、スマホはもちろんパソコンすら使ったことの無い高齢者で、しかも脳の障害のため新しいことは全く記憶できないという人物も。

 そして、現在の高度なテクノロジーをもってすれば、そんな人物のための製品も開発できるはずだ。および、これからの日本は老人大国であり、だからそれは大きなビジネスチャンスでもあるはずだ。

 しかるに、特定の企業とかではなく社会全体として、そのような方面への配慮があまりに不足しているんじゃ無かろうか?
 筆者的には、それが非常に不満だ。

 世の中には、単に家族や友人とのTV電話が出来るだけで良い、それ以外の機能は一切不要、写真も撮れなくて良い、音楽も聴けなくて良い、SMSやメールの機能は詐欺の恐れがあるので不要、という需要もあるはずだ。
 しかるに、現状、そのようなデバイスは存在しない。あるのは不要な機能てんこ盛りのものばかり。
 これは間違っている、と筆者的には思う。


11・でもまあとにかく、スマホを買うならiPhoneにしましょう。

 これまた筆者の親戚の話だが、以上のようにFaceTime通話は出来るようにした。
 ところが、その友人はandroidユーザーで、だからその人とは顔を見ての通話は出来なかった。昔ながらに電話で話せば良いだけのことなんだけどね。なのだがとにかく、その人もiPhoneユーザーであってくれれば、良かったのに。

 という非常に個人的な経験から、やっぱり言いたい。スマホを買うならiPhoneにしましょう、と。apple製品といえども決して完璧では無いが、現状、androidより良いところが多いからだ。
 筆者自身は現状androidプラスiPadユーザーで、そして最近のミドルグレードandroidは非常に気に入っているのだが、それでも他人にはそうお勧めする。


12・でも本当はこういうデバイスが欲しい

 筆者的には、高齢者向けにこんなデバイスが欲しいと思う。

(1)固定電話を置き換える自宅のみで使うもの。バッテリーは無く(非常用などのために有っても良い)、コンセントにつないで使う。
(2)TV電話専用機。音声通話なんて時代遅れな機能は無くしたいが、「詐欺電話の可能性があります」などの表示を出した上で出来るようにしても良い。
(3)もちろんタッチパネル操作。誤操作をさけるため、ボタンは一切無い。(初期化スイッチは必要だろうが、それ以外は)。消音も音量調整も、そのデバイス本体からは出来ない。および、ホーム画面上のアイコンを一回タップするだけで通話が始まる設計で、ホーム画面上にはそれ以外は一切無い。
(4)これも肝心だがそれ以外の機能は一切無い。文字情報のやりとりも出来ない、グループ通話も出来ない、何も出来ない。(とはいっても、天気予報ぐらいは表示されても良い。また、テザリングは有っても良い。しかし広告は、無駄に困惑させるだけなので、駄目)。
(5)安否確認できるよう、着信は自動でつながる。(プライバシーのためカメラカバーが有っても良い)。および、だから連絡先以外からの着信は一切拒否、迷惑電話は一切つながらない。
(6)設定は、他のスマホにインストールしたアプリから行う。そのデバイス本体からは出来ない。故に、勝手に設定変更できず、ここからのトラブルも有り得ない。

 と、大体そういったもの。こういうデバイスならば、認知症老人にも幼児にも使えるはずだ。

 改めて言いたいが、固定電話なんて時代遅れデバイスをいつまで使い続けるのか? 時代は変わったし、テクノロジーも進歩した。いい加減お払い箱にしましょう。
 そして、オレオレ詐欺だけでも根絶しましょう。どうせこの世から悪は消えないし、詐欺もなくなりはしないけど。

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