うすいしろ

短編小説を書いたり、衣装を考えたりするのが好きです。猫も好きです。

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思春期の苦悩と「じごくトニック」 ㅤ感想

ロングコートダディの単独「じごくトニック」を観た。 芸人の単独公演というものに手を出すのは初めてだったので、相場もよく分かっていない金欠学生の僕は、 「DVD、3800円か…ちょっと高いな…」と 足踏みしていたけれど、今となっては本当に買ってよかったと思う。 あのときの僕、ナイス。 これはこの単独を見た人全員が言うことだろうが、曲を使った演出が本当に良かった。 今でも「じごくトニック」の空気を感じたくなったときは、曲を流して頭の中で上映している。 というのも、DVDって結

    • 1月9日(日) 日記

      誕生日プレゼントに女の原木をもらった。 キノコの原木とは違って、管理も簡単だ。 これで当分女には困らない。 ただひとつ、どうやら生えてくる女はみんな視力が悪いらしかった。 次から次へと生えてくる女に、おれはひとつづつ眼鏡をかけてあげた。

      • 12月30日(木) 日記

        大掃除をしていると、窓をドンドンと叩く男の子が。 高校にいくのでついてきてほしいと言われ、ちょうど年末を持て余していた僕は、ついていくことに。 男の子に手を引かれて、知らない高校の廊下を歩く。 場違いな世界に迷い込んでしまったような ゆらゆらとした浮遊感が、変に気持ちよかった。 一番奥の教室に入ると、男の子が黒板に何かを書き始めた。 冬の冷たい光が差し込み、心地のよい静寂を味わう。 そういえば、この子、何歳なんだろう。 男の子は、しょうゆの容器の体積を計算していた。すご

        • 12月28日(火) 日記

          今日は、吉祥寺で買い物をした。 帰り道、井の頭線に乗っていると、目の前に座っていた女が、きゅきゅきゅと泣きだした。 しくしくでも、ぐすんぐすんでもなく、きゅきゅきゅと泣いていた。 女はこちらを見ていた。 目が合って、思わず「大丈夫ですか」と言ったが、 女は「きゅきゅきゅ」とだけ言った。 こちらも「きゅきゅきゅ」と言ってみると 女は心底悲しそうな顔をして、涙を流した。 僕は「ごめんなさい」と言って そのまま電車に揺られた。 その後も、女はきゅきゅきゅと泣き続けた。 女のマス

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