その④リーダーシップ

〈シェアド・リーダーシップとは〉
シェアド・リーダーシップとは、職場のメンバーが必要なときに必要なリーダーシップを 発揮し、誰かがリーダーシップを発揮しているときには、他のメンバーはフォロワーシップ に徹するような職場の状態(石川,2016)である。つまり、この状態は、メンバー同士がそれ ぞれを認め合い、受け入れ、支えあっている状態でもあると考えられる。
石川(2013)は、自身の研究分析から「研究開発チームにおいて、シェアド・リーダーシッ プがチーム業績にせいの影響を及ぼすことが明らかになった。また、両者の関係を、タスク不確実性がモデレートすることも明らかとなった。具体的には、タスク不確実性が高い場合、 そうでない場合と比べて、両者の関係は強かった。タスク不確実性が高い場合は、チームリ ーダーでさえも、タスクを達成するために必要な能力・情報を持ち寄って、必要なリーダー シップを発揮していくことが有効なのであろう。逆に、タスク不確実性が低い場合は、タス ク達成のためのプロセスが明確であるため、効率的な作業を行っていくために、チームリー ダーの一方向なリーダーシップの相対的な重要性が高くなると考えられる。」という考察を した。このことから、組織内でシェアド・リーダーシップが発揮されていると、変化する状 況に対して柔軟的な対応ができることがわかる。
つまり、シェアド・リーダーシップを効果的に用いることができれば、現代の職場は活性 化することができると考えられる。

〈シェアド・リーダーシップの日本における先行研究〉

Cinii Article で「シェアド・リーダーシップ」と検索すると、15 件ヒットした。2005 年 12 月から 2019 年 4 月まであり、内容を概観すると、シェアド・リーダーシップとチーム の成果や業績に関する研究がされていることがわかった(石川 2013)。
チーム内の信頼、チームエンパワメントがシェアド・リーダーシップと正の関係性を持つ こと、シェアド・リーダーシップと満足度が正の関係性まではわかっているものの、チーム が形成されてからの期間やチームの多様性などチーム構成については言及されていない。 また、ティール組織の形成のためには中心人物がどう働きかけるかについて研究がされていないのと同様、シェアド・リーダーシップにおいても一人一人が能力を発揮できる環境づ くりの起点となる人物が必要になると考えられるが、そうした人物については言及されて いない。つまり、より個々の能力を発揮できる組織づくりと、それを構成するために必要な スキルやそれを実現する人物の特徴については明らかではない。

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